フードロス

食品ロスに取り組むFlashfoodが約14.7億円を調達、アメリカ食料品店との連携を強化

 

食品ロスに取り組むアプリを提供しているカナダ企業FlashfoodがシリーズAで1230万ドル(約14億7000万円)を調達した

今回のラウンドにはS2Gベンチャーズらが出資しており、S2Gベンチャーズの専務取締役でありOpenTable(レストランのオンライン予約サービス)の創業者でもあるChuck Templeton氏がFlashfoodの取締役会へ参画する。

FlashfoodはiOSとAndroidで無料の食品ロスアプリを提供しており、アメリカ・カナダの多くの食料品店と連携している。そのアプリ内では、1,200を超える店舗から賞味期限が近くなった商品を見つけ、最大50%割引でその商品を購入することができる

消費者はアプリをダウンロードすると、すべての参加店の入手可能商品を見ることができる。アプリ内で直接購入ができるため、店内での会計を減らすことができる。また、購入者は日中いつでも参加店内にあるFlashfoodゾーンから受け取ることができるという。

Flashfoodが削減した食品ロスは約1.4トンに

出典:Flashfood

賞味期限が近い食品を食料品店が消費者に提供できるようになったことで、これまでにFlashfoodは3300万ポンド(約15000トン)を超える食品ロスを削減することができ、消費者は1億ドル(約120億円)以上を節約できたという。

創業者でありCEOのJosh Domingues氏は「今回の資金調達はFlashfoodがさらに必要とされているタイミングに実施された。これにより、アメリカのサステイナビリティを大切にしている食料品店がより多くの購入者やパートナーへアプローチできるよう、当社の機能がさらに強化されていくだろう」とコメントしている。

生産から輸送工程で25%~40%が捨てられてしまう現状

出典:Flashfood

現在、食料品店がより大きな持続可能な目標を達成するための方法を探っている。近年Food Industry Associationは食料品店に対して食品ロスに取り組むよう呼び掛けており、産業と家庭合わせると生産、加工、輸送で25%~40%の食品が捨てられてしまっているという

そして小売の段階では、370億ドル(約4兆円)分の賞味期限が切れた余剰食品が消費者へ届く機会を持たずにロスになっている

Flashfoodはデジタルの力を借りてこの現状を変えようとしており、余った食料品を売り二酸化炭素排出量を減らすだけでなく、それにより食料品店の利益を上げることも目指している。

食品ロスへ取り組む企業の資金調達が加速

出典:Flashfood

食品ロスに取り組む他企業も昨今、大きな資金調達をしており、農作物のロス削減に取り組むApeelは昨年夏に約274億円を調達し、食品の貯蔵期間延長に取り組むHazel Technologiesは約76億円を調達している。

日本でも食品ロスへ取り組む企業は増えてきており、余った食材をお得に入手できる「TABETE」というアプリや賞味期限が近い食品のクーポン発行アプリ「No Food Loss」などがリリースされている。

フードロス問題は消費者と近い問題であり、今後もさらなる発展が必要とされている。

 

参考記事

Flashfood Raises $12.3M Series A to Scale Grocery Partnerships Throughout the U.S. to Tackle Retail Food Waste

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Flashfood

 

関連記事

  1. ポーランド企業Fresh Insetセミナー動画(英語)|202…
  2. 規格外・余剰農産物のB2B販売プラットフォームを提供するFull…
  3. Apeel Sciencesが約31億円を資金調達、小規模農家の…
  4. フードロス削減×栄養インスタント食品、イスラエル企業Aninaが…
  5. Evigence Sensorsが約23億円を調達、食品鮮度をリ…
  6. 機械学習でフードロス削減に取り組むFloWasteが約1億240…
  7. Big Idea Venturesの第3コホートに参加する15社…
  8. バナナの追熟をAIで予測する米Strellaのソリューション

おすすめ記事

インドネシア企業Mycotech Labが開発した動物を犠牲にしないキノコ由来の皮革Myleaとは

インドネシアにはテンペという伝統食品がある。テンペは日本の納豆のように大…

パーフェクトデイの子会社The Urgent Companyがアイスクリーム企業を買収、精密発酵タンパク質の普及がさらに加速

パーフェクトデイの子会社であるThe Urgent Companyが2021年1…

Redefine Meatが3Dプリントされた植物ステーキ肉を欧州で発売

3Dプリンターで代替肉を開発するイスラエル企業Redefine Meatが、欧州…

米The Better Meat Co.がマイコプロテインに対しGRAS認証を取得、米国で4社目

マイコプロテインを開発する米The Better Meat Co.が今月12日、…

レタスを活用して乳タンパク質を開発するイスラエル企業Pigmentum

植物を使った代替乳製品や、微生物を活用した精密発酵による代替乳製品の開発が進むな…

Yali Bioが植物由来の培養脂肪生産のためにシードラウンドで約4.5億円を調達

カリフォルニアを拠点として植物代替肉や乳製品向けにデザインした脂肪の生産に取り組…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(03/20 14:50時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/21 00:35時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/21 04:28時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/20 20:47時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/21 12:58時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/20 23:48時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP