代替プロテイン

中国ファーストフード大手DicosがStarfieldと提携、植物肉バーガーを全国で一斉発売

 

中国のファーストフード大手Dicosが植物由来代替肉に取り組む中国企業Starfieldとの提携を発表した。

中国本土のDicos2600店舗で、Starfieldの植物肉を使ったチキンバーガーが提供される。

出典:Starfield

中国大手ファーストフードDicosはStarfieldの植物肉を使った新しいバーガーの発売開始を発表した。

植物バーガーの価格は20元(約310円)。Dicosで販売されるほか、アリババが運営するECサイト天猫(Tmall)などでも販売される。

Starfieldの植物肉はこれまでに、腸粉(米を原料とするライスロール)で有名な深圳を中心に展開するファーストフード「紅荔村(honglicun)」、ステーキ・サラダ・バーガーを主力とするアメリカ発のファーストフード「シズラー(Sizzler)」などで、ハンバーガー、サンドイッチ、スパゲッティ、腸粉などさまざまなラインナップで提供されている。

Starfieldは2019年に設立された中国のスタートアップ。海藻を使った代替ひき肉を開発する同社は、今年初頭の大手レストランとのトライアル実施後、設立からわずか1年で中国の20以上のフードチェーンと提携するなど、急成長をとげている

資金調達額では中国最大のフードテック企業

8月にはシリーズAラウンドで1000万ドル(約10億円)を調達。出資者には、中国のアーリーステージに特化したベンチャーキャピタルSky9 Capital、フードテックに特化したベンチャーキャピタルNew Crop Capital、中国の植物肉・培養肉プレーヤーへの出資に特化したDao Foods Internationalなどがいる。

同社は資金の使途として、深圳に研究開発施設の建設に言及している。毎月、新製品4つをハイペースで開発していくという。現在の生産量は月1700トン、年間2万トン以上だ。

出典:四川在线

競争が激化する中国代替市場

今回、Dicosが国内初のStarfieldとの協業に踏み出したのは、中国で高まる健康志向のほかに、ビヨンドミート、グリーンマンデーなど他社の動きがあるだろう。

今年6月には、一部のKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)、ピザハット、タコベルなどのファーストフード店でビヨンドミートの代替肉の提供が開始された。

スターバックス中国は今年はじめに、Oatly、ビヨンドミート、オムニポークを使ったベジタリアンメニューの提供を開始。注目したいのは、スターバックス中国と協業する代替肉プレーヤーに中国本土の企業はいないことだ。

香港発のグリーンマンデーは一足先に、香港・マカオのマクドナルドと協業に成功、全店舗に植物性メニューを導入している。この協業の発表直後には、香港のセブンイレブンとの提携を発表している。

代替肉の黒船ビヨンドミートの中国本格進出は秒読みだ。

といっても、DicosとStarfieldの協業にはビヨンドミートにない優性がある

価格導入規模だ。

 

Starfieldの植物肉はDicos2600店舗で一斉に提供される。全国規模で植物肉バーガーを提供するのは、Dicosが初となる。

価格面でも優性がある。これまでの植物肉製品は数十元~数百元となっていたが、Dicosで販売される植物肉バーガーは20元(約310円)。会員なら15元(約230円)で、通常のバーガーと同等の価格だ

DicosとStarfieldとの協業により、中国発の植物肉スタートアップの存在感は増したものの、2021年にはビヨンドミートの現地工場が稼働する。

中国発の植物肉スタートアップHey Maetや、元ビヨンドミート、インポッシブルフーズの研究開発メンバーが参画するHero Proteinなど、中国発のプレーヤーも増えており、今後の中国代替肉市場から目が離せない。

 

参考記事

Chinese KFC-Rival Dicos Rolls Out Starfield’s Plant-Based Chicken Nationwide

植物肉市场的春天来了?德克士新品能否改变植物肉“炒概念”质疑

アイキャッチ画像の出典:Starfield

 

関連記事

  1. インテグリカルチャーが培養フォアグラの開発に成功、試食を実施
  2. カンガルーの培養肉を開発するオーストラリア企業Vow、食の変革に…
  3. NotCoが約95億円を調達、食品業界向けのAIプラットフォーム…
  4. 培養肉生産用のアニマルフリーな血清を開発するMultus Med…
  5. 二酸化炭素からタンパク質を作るDeepBranchが約2億900…
  6. オーストラリアの培養羊肉企業Magic Valley、アニマルフ…
  7. 代替エビを開発するNew Wave Foodsが約18億円を調達…
  8. Steakholder Foodsが3Dプリンティングによる培養…

おすすめ記事

【参加レポート】第1回フードテックジャパン展示会

日本初となる第1回フードテックジャパン展示会が開催された(2020年11月25-…

米Ayana Bio、植物細胞培養でカカオなどの生理活性物質の開発を加速

アメリカ、ボストンを拠点とするAyana Bioは、カカオ、レモンバーム、エキナ…

オーストラリアの培養羊肉企業Magic Valley、アニマルフリーな「骨付きラムチョップ」の開発も視野に

現在、世界には60社ほどの培養肉企業があるが、スタートアップの多くは、牛肉、豚肉…

植物性チーズを開発するスウェーデン企業Stockeld Dreamery、今年前半に初商品の発売へ

植物性チーズのシェアは大きくないが、代替チーズに取り組む企業は増えつつある。…

ロボットハンバーガー店のCreatorがリニューアル、「パーソナライズ化」を導入

2018年にサンフランシスコにオープンし、話題となったロボットレストランCrea…

AIエンジンで代替タンパク質を開発するThe Live Green Coが精密発酵に参入

独自のAIレコメンドエンジン「Charaka」を活用し、動物由来原料や高度に加工…

精密発酵レポート予約注文受付中

培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/04 18:04時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/04 21:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/04 15:13時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/05 08:24時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(06/04 17:47時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP