代替プロテイン

ナイジェリア初の植物肉企業VeggieVictoryに世界の投資家が注目

 

ナイジェリア初の植物ベース代替肉企業VeggieVictoryが投資家の注目を集めている。

VeggieVictoryはこのほど、プレシードでの資金調達完了を発表した。

このラウンドにはサステイナブル・フード・ベンチャー(SFV)、プラントベースのベンチャーキャピタルCapital V、スウェーデンのKale UnitedThrive Worldwideが参加した。

SFVはエンジェルリスト初のローリングファンド(四半期ごとに投資するサブスクリプション型のファンド)で、ビーガンペットブランドWild EarthのCEOライアン・ベザンコート氏と元Finless FoodsのMariliis Holm氏が立ち上げたもの。

 

プレシードでの調達額は明らかにされていないが、VeggieVictoryは昨年の8月にもベザンコート氏、Plant CEO創業者Anant Joshi氏などエンジェル投資家から出資を受けていた。

今回はVeggieVictoryの2回目の資金調達となる。

ナイジェリア初の植物肉フードテック企業VeggieVictory

Vchunks 出典:VeggieVictory

現在、同社の代表商品はVchunksという代替肉で、ナイジェリアの12の州で販売されている。

Vchunksはスープ、シチュー、シャワルマ、めん類、チャーハンなどあらゆる食事で使うことができる。タンパク質を豊富に含み、コレステロールフリーなVchunksはナイジェリアで製造、包装されている。

VeggieVictoryは調達した資金で、プラントベースの代替肉の種類を増やすとし、Vchunksに次いでヴィーガン用ビーフジャーキー「Kilishi」をリリースする予定だ。

出典:VeggieVictory

現在はナイジェリア国内でのみ販売しているが、アフリカのほかの国、さらには米国や欧州への展開も視野にいれている。

共同創業者のHakeem Jimo氏は、今回の資金調達について次のように語っている。

「VeggieVictoryだけでなく、プラントベース運動の次のフロンティアとしてアフリカに対し、著名な投資方の方々からご支援をいただいたことを非常に嬉しく思います」

ナイジェリアのレストランでも提供

VeggieVictoryは1月にナイジェリアの代表的な健康志向レストランNuliと提携、Nuliで100%植物ベースのVchunksを提供している。

レストランで代替肉とは知らずに料理を食べた人の反応を動画で確認できる。

Nuliとの提携のほかに、VeggieVictoryはラゴスでレストランも経営している。

アフリカが秘める代替肉市場の可能性

米シンクタンク・ピュー・リサーチ・センターの報告によると、現在、世界で最も人口の多い10カ国のうち4カ国は2100年の時点でもはやトップ10に含まれなくなる。

かわりに4カ国すべてがアフリカで急成長する国に代わるという。

現在はブラジル、バングラデシュ、ロシア、メキシコが世界で最も人口の多い10カ国に含まれるが、2100年までに、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、エジプトがこれら4カ国を追い抜くと予想される。

さらに2100年に世界の人口トップ10に入る国の5カ国がアフリカとなり、第3位がナイジェリアになることが予想されている。

この予想どおりになると、2100年にはアフリカの人口第1位はナイジェリアとなる。

これは、アフリカの代替肉市場には大きな可能性とチャンスがあることを示しており、VeggieVictoryが狙うのがここだ。

同社は「アフリカトップのプラントベースブランドとなる」ことを目指している。

出典:VeggieVictory

現在、アフリカには植物肉のスタートアップ企業は多くない。よく知られた会社にInfinite Foodsがある。

ボツワナを拠点とするInfinite Foodsはビヨンドミート(代替肉)オータリー(代替ミルク)Good Catch(代替魚)といった有名なプラントベースブランド食品をスーパー、レストラン、ECサイトで販売している。

培養肉では、南アフリカを拠点とするMzansi Meatがある。アフリカ初の培養肉企業は2020年3月に設立された。

Mzansi Meatもまた、ライアン・ベザンコート氏から出資を受けていることは注目に値する。

ほかの培養肉企業にはMogale Meatもある。

昨今の動きをみると、中国で登場する代替肉企業が増え、中国へ進出する海外製も増えているが、次の競争の舞台がアフリカとなるのは間違いなさそうだ

 

参考記事

VeggieVictory: Global Investors Back Nigeria’s First Plant-Based Food Tech In Pre-Seed Round

VeggieVictory Closes Pre-Seed Round, Aims to Bring More Plant-Based Meats to Nigeria and Africa

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:VeggieVictory

 

関連記事

  1. シンガポール・イスラーム評議会、特定条件下で培養肉をハラールと認…
  2. 代替肉の米インポッシブルフーズが約560億円を調達、調達総額は2…
  3. 中国のJoes Future Foodが豚の培養脂肪のパイロット…
  4. 精密発酵で食用コラーゲンを開発するスタートアップ企業3社
  5. 精密発酵プラットフォーマーのLiberation Labsが約2…
  6. 米Wild Earth、2023年に細胞培養によるペットフード製…
  7. イスラエルの培養肉企業Believer Meats、アブダビでの…
  8. 副産物を価値に──オランダのMaGie Creations、ビー…

おすすめ記事

Vowの培養ウズラ肉、シンガポールのレストランがメニューに導入、来月提供へ

オーストラリアの培養肉企業Vowが先月、シンガポールで培養肉の販売認可を取得した…

スイスの培養肉企業Mirai Foodsがシードで約2億3千万円を追加調達

スイスの培養肉企業Mirai Foodsが追加で180万ユーロ(約2億3千万円)…

最短30秒で調理する自律調理ロボットを開発したRoboEatz、1台目をラトビアに設置予定

カナダ、米国、ラトビアに拠点を置くRoboEatzは、自社の調理ロボットを「世界…

【2024年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ

2024年12月10日追記:目次を追記しました。2024年度版精密発酵レ…

ブラジル初の培養脂肪企業Cellva Ingredientsが約2億円を調達

南米初の培養脂肪企業Cellva Ingredientsがシードラウンドで650…

韓国政府、2022年の国家計画に培養肉のガイドラインを追加

韓国の食品医薬品安全処が、国家計画に初めて代替タンパク質に関するガイドラインを盛…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/24 16:17時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/24 02:57時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/24 06:29時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/23 22:19時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/24 14:18時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/24 01:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP