フードロス

青果物の鮮度保持期間を延ばすHazel Technologiesが約76億円を調達

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アメリカ農務省(USDA)によると、アメリカでは供給される食料の30-40%が廃棄されており、これは1610億ドルの食品に相当するとされる。非営利団体のReFedも2019年にアメリカでは食品の35%が廃棄されていることを報告している。

膨大な食料廃棄量を削減するため、アメリカは2030年までに食品廃棄物を半分にするという目標を設定している。

こうしたフードロス削減に取り組む企業は増えており、今回紹介するHazel Technologiesもその1つとなる。

同社は今月、シリーズCラウンドで7000万ドル(約76億円)を調達した。プレスリリースによると、これまでの調達総額は8700万ドル(約94億円)を超える。

農産物の箱に入れるだけで、保存期間を最大3倍に延ばせる小袋タイプのHazel®を開発している。

野菜・果物の箱に小袋を入れるだけで鮮度を延長

出典:Hazel Technologies

野菜や果物は熟成するときにエチレンガスを放出する。これは自身の熟成を促す働きがある一方、植物の老化にも寄与している。

シカゴを拠点とするHazel Technologiesは独自技術によって、植物の老化に不可欠なエチレンガスを放出させないよう働きかけるソリューションを編み出した。

同社の主力製品は、1-メチルシクロプロペン(1-MCP)を封入した小袋Hazel®

1-メチルシクロプロペンは構造的に植物ホルモンのエチレンと似ており、植物のエチレン受容体に結合し、エチレンが効果を発揮するのを防ぐ働きがある。

出典:Hazel Technologies

同成分は作物の鮮度を維持する成分としてすでに知られているが、Hazel Technologies はこれを固形物にして、小袋から時間をかけて1-メチルシクロプロペンが放出されるよう徐放性にした

つまり、新しい成分を見出したのではなく、産業で既知の成分に動的な挙動をもたせた。

また、作物が異なれば呼吸速度やエチレンの放出量も異なるため、作物の種類ごとにHazel®を開発している。

現在、アボカド、メロン、リンゴ、オクラ、キウイフルーツ、桃、洋梨など14種類のHazel®がある。

クライアントは12カ国、160社とグローバルに展開

Hazel Technologies は現在12カ国、160社と協業している。

クライアントの中には世界的なアボカドの生産・販売業者であるMission Avocado(ミッション・アボカド)、大手キウイフルーツメーカーのZespri(ゼスプリ)、カナダの大手メーカー Oppyなどが含まれる。

食品の鮮度を保持するHazel®のほか、昨年12月にはジャガイモの発芽を抑制する新商品Hazel Rootを発表した。

これは保管中のじゃがいもの品質を保つためのもので、Hazel®と同様、小袋タイプで、じゃがいもの入った箱に入れて使用する。

出典:Hazel Technologies

Hazel Technologies は2021年だけで、同社ソリューションが63億ポンド(約285万トン)を超える生鮮品に使用され、5億ポンド(約22万トン)の食品の廃棄を阻止できるだろうと予想している。

創業から2021年末までに削減した食品廃棄量は10億ポンド(約45万トン)に達するとも予想している。

今回の資金調達を受けて、CEOのAidan Mouat氏は次のように述べている。

「食品廃棄物が国であるとすれば、それはアメリカ、中国に次ぐ第3の温室効果ガス排出国となります。

当社は創業当初から、フードロスを減らすため、既存のサプライチェーンに簡単に導入できる技術開発に注力してきました。

今回の資金調達により、当社の成功したソリューションを生産者から消費者まで世界規模で商用化できると確信しています」(CEOのAidan Mouat氏)

スプレーでフードロスを削減する競合Apeel Sciences

今回のラウンドはアメリカを拠点とするPontifax Global Food and Agriculture Technology Fund(Pontifax AgTech)、シンガポール政府が所有する投資会社テマセクが主導。

このほか、S2G Ventures、Pangea Ventures、Rhapsody Venture Partners、旭化成ベンチャーズ、Jordan Park Group、Jeremy and Hannelore Grantham Environmental Trustが参加した。

出典:Hazel Technologies

Hazel Technologiesのように収穫後、サプライチェーンにおける損失や廃棄を防ぐソリューションを提供する競合には、同じくアメリカ発のApeel Sciencesがいる。

Apeelは野菜の皮や種などからオイルを抽出し、パウダー状にしたものを水に溶かして吹きかけることで、野菜を長持ちさせるソリューションを開発した。

Apeelは先進国でのフードロス問題に加え、発展途上国などコールドチェーンのインフラが整備されていない地域をターゲットに、農家が生産した農作物を販売できる状態で市場に届ける支援もしたいと考えている。

ApeelとHazelの鮮度維持効果の比較が気になるところだが、野菜や果物にスプレーを吹きかけるApeelに対し、箱や袋に小袋Hazel®を入れるだけのHazelのソリューションはさらに手間のかからないものだといえる。

 

参考記事

Hazel Technologies Closes $70 Million Series C Financing

Hazel Technologies Raises $70M in Series C Funding to Fight Food Waste

 

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