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培養ロブスターを開発する米Cultured Decadenceが約1億7000万円を調達、州政府による細胞農業企業への初出資

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細胞農業スタートアップのCultured Decadenceがプレシードで160万ドル(約1億7000万円)を調達した。

ベンチャーキャピタルからの出資のほか、同社は技術商業化センター(CTC)が管理するウィスコンシン州経済開発公社から非希薄化(Non-dilutive)*による資金提供を受けた。

*非希薄化な資金調達とは、資金調達後に既存株主の株比率が減らないものをいう。

 

プレスリリースによると、これは州政府が細胞農業企業に出資した初の事例となる。

Cultured Decadenceはウィスコンシンを拠点とする培養シーフード企業

ロブスターなど甲殻類の細胞を培養して、甲殻類を使うことなく本物よりクリーンで環境負荷のないシーフード肉を開発している。

同社は環境への負荷が劇的に少なく、栄養価が高く、市場の商品より安く、持続可能なシーフード商品を作るためにJohn Pattison氏とIan Johnson氏によって設立された。

1年内に試作品を発表予定

設立から1年のCultured Decadenceは、すでに最初の試作品(約0.5g)を開発しているが、今後1年以内に味覚テスト用の試作品を公開したいと考えている。

製法は培養肉と同様で、ロブスターから小さな組織を採取する。次に組織から細胞を単離し、栄養を十分に含んだ培地で培養してロブスター肉にする。

出典:Cultured Decadence

こうして作られる代替シーフード肉は、持続可能で、環境にやさしく、形・機能において海由来の本物と区別がつかない。

Cultured Decadenceは調達した資金でチームを拡充し、商用化に先立ち、培養ロブスターの試作品を開発する。

最初の商品はロブスターとなるが、プレスリリースによると、同社技術はカニ、エビなどほかのシーフードにも応用できる

海洋生態系に影響を及ぼす海洋酸性化

シーフードは畜産肉よりも環境への負荷が少ないと考えられがちだが、漁業では燃料に由来する二酸化炭素が発生する。

特に、エビやロブスターなどの甲殻類は、漁獲に使用される網などがほかの生物よりもはるかに重いため、1回の漁獲量あたり推定1万リットルの燃料が必要とされる。

海水中に溶けこむ二酸化炭素が増えることで懸念されるのが、海洋酸性化だ。

海洋酸性化とは、大気中の二酸化炭素が海水に溶けこみ、海水中で化学変化が起こることをいう。

海水中の二酸化炭素が増えると、サンゴ、ヒトデなどの生物に必要な炭酸イオンが減少し、殻の成分となる炭酸カルシウムを作りにくくなる

サンゴは海洋中の二酸化炭素が一定濃度を超えると死滅することがわかっており、海洋酸性化はサンゴ礁を捕食するロブスターやカニなど、食物連鎖の上位に位置する生物にも影響を及ぼす

この海洋酸性化の要因は二酸化炭素であるため、Cultured Decadenceは漁業に頼らないシーフードを提供することで、環境への負荷を減らしたいと考えている。

出典:Cultured Decadence

ロブスター、カニ、エビなどを含むシーフード市場は1600億ドル規模とされる。

漁業に頼らない代替シーフードを商用化できれば、人口増加で高まる食料供給のニーズを満たす解決策にもなり、海洋養殖・漁業に伴う二酸化炭素排出量を削減し、過剰漁獲による海洋生態系への悪影響に終止符を打てる可能性がある。

また、海へ行かなくても陸で効率的にシーフードを作れるようになれば、生産性の点で効率がよい。ロブスターを通じて、人間がマイクロプラスチックを摂取する可能性も排除できる。

「海洋の酸性化と温暖化は、動物と漁業に有害な影響を及ぼします。長期的に漁業に頼ることなく、甲殻類、特にロブスターへの高まる需要に対するソリューションを開発したいと思ったのです」(CEOのJohn Pattison氏)

増える培養シーフードへの投資

培養ロブスターに取り組む企業はほかにもある。

シンガポール発のShiok Meatsは昨年11月に培養ロブスターの試食会を実施し、世界初の培養ロブスター試作品を発表した。

Cultured Decadence同様、ロブスター、エビ、カニを開発対象としており、2022年までの商品化を目指している。

出典:Cultured Decadence

シーフード全体でみれば、培養シーフードに取り組む企業は増えている。

その中でも、最初に市場へ商品をリリースすると予想されるのが、アメリカのBlueNaluだ。同社は今年1月に約62億円という巨額の資金調達を実施し、年内にアメリカのレストランなど飲食店でテスト販売するとしている。

代替タンパク質全体では培養シーフードはまだ初期段階といえるが、昨年には培養シーフード企業3社がシリーズAへ進み、2020年に代替シーフードに集まった投資額は前年の4倍となっている。

直近では欧州初の培養魚スタートアップBluu Biosciencesが約9億円を調達している。

今回のラウンドにはBluestein Ventures、Joyance Partners、Revolution’s Rise of the Rest Seed Fundなどが参加した。

 

参考記事

Cultured Decadence Raises $1.6M Pre-Seed Round and Receives Government Grant to Develop Cell-Cultured Lobster in Wisconsin

Cultured Decadence Raises $1.6M to Make Lobster in a Lab

Lobster’s Lab-Grown Path to Surviving Warmer Seas

Cultured Decadence Nets US$1.6M Pre-Seed & State Grant To Become First U.S. Cell-Based Shellfish Maker

 

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