Foovo Deep

オランダのFarmless、約7.5億円を調達し農地不要のタンパク質生産へ|新資金でパイロット工場の建設へ前進

 

微生物、二酸化炭素、水素、再生エネルギーを活用して農地に依存しない代替タンパク質を開発するオランダのFarmlessがシードラウンドで480万ユーロ(約7億5000万円)を調達した。これは今年5月に約1.8億円を調達したプレシードラウンドに続く調達となり、調達総額は600万ユーロ(約9億4000万円)となった。

Farmlessは調達した資金で、アムステルダムにパイロット施設を建設し、発酵プラットフォームを開発するとともに、規制当局への承認申請も進めていく予定だ。

プレスリリースによると、最初の製品は、肉、乳製品、卵の代替品に使用できる必須アミノ酸をすべて含んだ機能性タンパク質となる。

Farmlessは、再生可能エネルギーに由来する液体原料を使用した微生物による発酵反応で、新しい食品レパートリーを創出する可能性を秘めた発酵プラットフォームの構築を目標としている。同社の研究チームはすでに、肉、乳製品、卵の代替品として使用できる初期製品を生成している。

Farmlessのタンパク質プラットフォームは、最終的に動物タンパク質を経済的に上回るよう設計されているという。

牛乳の5000分の1の土地で生産される機能性タンパク質

出典:Farmless

Farmlessは人口増加と食料需要の増加に対応するため、タンパク質生産を動物と農地から切り離す使命のもと、物理学者で起業家のAdnan Oner氏によって2022年に設立された。

Farmlessは砂糖の代わりに、二酸化炭素、水素、窒素、再生可能エネルギーから作られた液体を原料として使用している。このプロセスのメリットは、広大な農地が不要になるだけでなく、牛肉生産で必要になる土地の5,000分の1というわずかなスペースでタンパク質を生産できることだという。

生産プロセスではまず、二酸化炭素、水、窒素、再生可能エネルギーから液体原料を作り、これにミネラルを追加し、微生物による発酵反応でタンパク質が生成される

Farmlessが有する他のメリットは、原料が液体であり、既存のサプライチェーンがあるため、世界中どこでも生産、輸送、保管が可能になることだという。Oner氏は、「当社の原料は、再生可能エネルギーと空気のみで製造でき、輸送が容易な点で他社とは一線を画しています」とリンクトインで述べている

今回のラウンドを主導したWorld FundのNadine Geiser博士は、「発酵原料として砂糖からの脱却は、発酵由来の食品生産における二酸化炭素排出量を削減する絶好の機会となります」と述べている。

メチロトローフを活用した有用物質の生産

出典:Farmless

Green queenの報道によると、Farmlessはメタンやメタノールを利用する微生物であるメチロトローフを使用している。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Farmless

 

関連記事

  1. 精密発酵セミナー開催のお知らせ|2023年4月20日(木)
  2. ソーラーフーズがフィンランド薬局年金基金から約13億円を調達
  3. オーストラリアのVowが約67億円を調達、来年始めにシンガポール…
  4. 世界初|スペインの乳製品メーカー、細胞農業による乳製品開発を支援…
  5. イート・ジャストの代替卵JUST EggがEU当局の認可を取得
  6. バイオ3Dプリンターで代替肉を開発するスペイン企業Cocuusが…
  7. 【現地レポ】ソーラーフーズ、ソレインを商用生産する工場を稼働/ソ…
  8. 精密発酵で生まれた甘味タンパク質──Oobliのチョコレートを試…

おすすめ記事

インテグリカルチャーが培養フォアグラの開発に成功、試食を実施

培養肉を開発する日本のインテグリカルチャーは今月、アヒル肝臓由来細胞を培養した培…

ブラジル企業Cellva Ingredients、培養豚脂肪に続き、コーヒー副産物から代替甘味料の開発へ

ブラジルのフードテック企業Cellva Ingredientsは代替甘味料の開発…

TurtleTree、精密発酵ラクトフェリンで世界初のGRAS認証|制度変化の狭間で前進

精密発酵でラクトフェリンを開発するTurtleTreeは今月、アメリカ食品医薬品…

培養肉生産の複雑さを乗り越える(Gelatex-Athanasios Garoufas氏による寄稿文)

本記事は、Gelatex Technologies(エストニア企業)で最高事業開…

世界初!アレフ・ファームズが3Dプリンターで培養リブロース肉を開発

イスラエルのアレフ・ファームズ(Aleph Farms)が培養リブロース肉の3D…

個人から企業まで|貼るだけで果物の鮮度を保持するシールを開発したRyp Labsとは

アメリカ、ワシントン州を拠点とするRyp Labsは、果物の保存期間を最大14日…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/11 15:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/12 01:27時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/12 05:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/11 21:30時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/11 13:30時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/12 00:37時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP