菌糸体からブロック肉を開発する米Meati Foodsが、シリーズBで5000万ドル(約55億円)の資金調達を実施した。
このラウンドはAcre Venture PartnersとBONDが主導し、Prelude Ventures、Congruent Ventures、Tao Capitalが参加した。
この調達により、Meatiの調達総額は1億2710万ドル(約139億円)となる。
生産プロセスにかかる時間はわずか1日
Meatiはキノコの根の部分に相当する菌糸体を使って、高タンパク質、高繊維、栄養価の高い代替ブロック肉を開発している。
現在、鶏むね肉、ステーキ、ジャーキーの開発の最終段階にあり、今後は豚ヒレ肉、調理済み肉なども開発する予定だという。
栄養面については、Meatiのステーキ肉約127グラムあたり、タンパク質を25グラム、1日に必要な食物繊維の3分の1以上を含むほか、ビタミンやミネラルも含んでいる。
使用する技術は、代替タンパク質で昨今話題の微生物発酵技術。糖質、水など栄養を与え、室内施設で菌糸体を成長させる。
Meatiは独自の菌株を独自プロセスで成長させて、化学薬品や処理を行わずに、自然な繊維質の食感を持つブロック肉を作り上げている。
完全に成長するまでにかかる時間はわずか約18時間。
大量生産が実現すると、1日に4500頭の牛に相当する量の代替肉を生産でき、使用される水と土地は従来の畜産の1%未満になる。
Meatiは昨年7月にはコロラドのレストランでテスト販売を実施していた。
投資家が注目する第3の代替タンパク質「微生物発酵」
Meatiが使用する微生物発酵は、植物肉、培養肉に続く代替タンパク質の第3の柱として注目されるもの。
投資家らは、大豆やえんどう豆を原料にする植物ベースと比べ、省スペース(原料を栽培する土地が不要)で少ない原料で生産でき、加工プロセスが少なく、製造時間が短い発酵タンパク質に可能性を感じている。
現に、2020年に植物ベース食品に集まった投資額31億ドルのうち、約6億ドルは微生物発酵技術に集中した。
現在、世界には51社の発酵タンパク質企業がいるが、半数以上の28社は過去2年に誕生している。
微生物発酵は、微生物そのものを成長させて食用タンパク質にするバイオマス発酵と、微生物に必要なタンパク質を作らせる精密発酵に大きく分類される。
Meatiは前者に相当し、競合には同じくアメリカ発のAtlast Foodsがいる。
「ブロック肉に革命を起こす」
Meatiは今回調達した資金で、8万平方フィート(約7432㎡)の生産工場の建設を完了し、2022年に最初の商品を市場へ投入する。
この工場が稼働を開始すると1日に4500頭の牛に相当する量の代替肉を生産できるようになり、同社が目指す、動物肉との同等価格の実現につながる。
プレスリリースでは
「この資本により、世界で初めて代替ブロック肉の大量生産が可能となり、これによりMeatiは、今後数年以内にブロック肉領域に革命を起こすことができます」
とコメントしている。
調達した資金でチームの拡充も可能となり、投資家・アドバイザーが追加された。
この中には、アパレル企業パタゴニアの元CEOであるローズ・マーカリオ氏、元ホールフーズCEOのWalter Robb氏、サラダ専門のレストランチェーンであるSweetgreenの共同創業者Nicolas Jammet氏、Jonathan Neman氏などが含まれる。
Meatiは、野外生物学に従事していたTyler Huggins氏と材料工学が専門のJustin Whiteley氏がコロラド大学で出会い、2019年に立ち上げた。
「私たちのチームは、これまでにない方法で製品を成長させる能力を構築し、最適化するために熱心に取り組んできました。
Meatiは予想していたよりも速い軌道に乗ることができています。すべての人にMeatiをお届けするという目標に急速に近づいていることを嬉しく思います」
(共同創業者・CTOのJustin Whiteley氏)
参考記事
Expect Fungi-Based Steak On Your Plate By 2022: Meati Raises $50 Million
Meati Foods Secures $50M Series B to Advance the Future of Protein with Clean, Mycelium-Based Meats
Meati Raises $50M Series B for Mycelium-Based Meat Alternatives
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アイキャッチ画像の出典:Meati Foods