代替プロテイン

細胞培養ソーセージを開発するNew Age Meatsが約28億円を調達、実証プラント建設へ

 

培養ソーセージを開発するNew Age Meatsが9月にシリーズAで2500万ドル(約28億円)を調達した。同社は2022年までに細胞培養による代替ソーセージをアメリカで発売する予定。

このラウンドは2月のシードラウンドの約2億1000万円の資金調達に続くもので、調達した資金でカリフォルニアに実証プラントを建設する。

クランチベースによると、同社の調達総額は3200万ドル(約36億円)となる。

2022年までに米国で培養ソーセージ発売へ

出典:New Age Meats

New Age Meatsはカリフォルニア州バークレーを拠点とするスタートアップ企業。同社は培養肉と植物肉をブレンドした豚肉ソーセージを開発している。

ソフトウェア開発、12年間の化学系エンジニアのキャリアを有するBrian Spears氏が2018年に創業者した。プレスリリースによると、FDA承認を経て、2022年までに生産を開始し、アメリカで「さまざまなソーセージ製品」の発売を目指している。

同社は調達した資金で、カリフォルニア州アラメダに20000平方フィートの実証プラントを建設し、スタッフを2倍に増やす。

海外進出はアジアから

出典:New Age Meats

New Age MeatsはFDAの承認を得られ次第、アメリカで商品を発売するが、最初の海外進出先としてアジアを狙う。

具体的な国名は明らかにされていないが、世界の豚肉の約半分を消費する中国、世界に先駆けて培養肉の販売を許可したシンガポールを想定している可能性が考えられる。

マッキンゼーの報告によると、他国と比較してアジアの食肉消費量は突出している。豚肉の消費量でもアジアが他の地域よりとりわけ多い。

青色は豚肉を示す 出典:マッキンゼー

今回のラウンドは韓国の財閥企業ハンファグループの1つ、ハンファソリューションズが主導、IndieBioTechU VenturesSiddhi Capitalなどが参加した。ハンファソリューションズの出資が、New Age Meatsのアジア進出の追い風となると考えて間違いない。

Spears氏は今回の資金調達について、2022年までに生産を開始するうえで「重要なマイルストーン」だと表現している。

ハイブリッド戦略で迅速な市場投入を狙う

出典:New Age Meats

New Age Meatsは、市場投入を迅速にするために培養肉と植物肉をブレンドするハイブリッド戦略をとる。

イスラエルのFuture Meatも同様の戦略を採用する。最近では中国の植物肉企業HeroteinとアメリカのMission Barnsがハイブリッド肉の開発で提携している。

「パンデミックと気候危機が何かを強調しているとすれば、動物に危害を与えたり、環境をさらに傷つけたりすることなく、何十億という人々の高まるタンパク質需要を満たすために、世界は劇的に良い方法を見つける必要があるということです。」

(創業者・CEOのBrian Spears氏)

「培養肉と植物性タンパク質を組み合わせるハイブリッド製品がまさにこれを実現すると信じています」とSpears氏は述べ、「手頃な代替肉に対する世界的な需要の高まりに対応するために可能な限り迅速に行動していく」とコメントしている。

 

参考記事

New Age Meats Raises $25M in Series A Funding To Speed Development of Cultured Meat

New Age Meats To Launch Cell-Based Sausages By 2022 After $25M Series A

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:New Age Meats

 

関連記事

  1. イスラエルのEver After Foodsが「破壊的な」培養肉…
  2. インドの代替卵企業Evo Foodsが約8900万円を調達
  3. Shiruと味の素、AIを活用した未発見の甘味タンパク質の発見・…
  4. イスラエルの培養肉企業Steakholder Foodsが日本で…
  5. アニマルフリーな乳製品を開発する英Better Dairyが約2…
  6. スイスの小売大手ミグロスがビーガンゆで卵を発売
  7. 菌糸体生産のB2Bソリューションを開発するKyndaがドイツ政府…
  8. 精密発酵スタートアップが欧州の「不透明な」規制枠組みの改善に向け…

おすすめ記事

MeliBio、高級レストランで蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間限定で開始

精密発酵により蜜蜂を使うことなくハチミツを開発する米MeliBioが、サンフラン…

培養肉生産の複雑さを乗り越える(Gelatex-Athanasios Garoufas氏による寄稿文)

本記事は、Gelatex Technologies(エストニア企業)で最高事業開…

青果物の鮮度を延ばす“未来の冷蔵庫”Tomorrow Fridge|2つのアプローチでフードロスを削減

シアトルを拠点とするスタートアップTomorrowは、フードロスを削減する従来と…

日本のDAIZエンジニアリング、新大豆タンパク質を2025年に欧州市場へ投入

2025年7月1日:変更後の社名を追記東京・熊本を拠点とするDAIZエンジニアリング(現在の…

EUが出資するFEASTSが発足:欧州における培養肉・培養シーフードの未来を拓く共同研究コンソーシアム

先月、培養肉・培養シーフードに関する欧州のコンソーシアムFEASTS(Foste…

ドイツのMeatosys、農家の培養肉生産を可能にするモジュール型コンテナを開発

培養肉を広く供給するには、工業規模の工場が必要になるが、ドイツでは農場で培養肉生…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/02 15:49時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/03 02:04時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/03 05:47時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/02 21:49時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/02 13:44時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/03 01:04時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP