代替プロテイン

イート・ジャストの代替卵JUST Eggが欧州の安全性承認を取得

 

米イート・ジャストの代替卵JUST Egg(ジャスト・エッグ)の主要成分が、欧州食品安全機関(EFSA)の安全性承認を取得した。欧州委員会の審査完了後、同社は2022年半ばまでにヨーロッパでのJUST Egg発売を目指す。

JUST Eggは緑豆を主成分とする代替卵で、イート・ジャストの代表的商品としてアメリカ、カナダ、香港、シンガポール、中国、南アフリカ、韓国で販売されている。念願の欧州進出が実現すれば、同社の国際的な存在感がさらに高まることとなる。

イート・ジャストは2020年3月に欧州当局に申請書類を提出していた。EFSAは報告書の中で「緑豆タンパク質は提出された使用条件において安全である」と回答。これにより、同社の代替卵JUST Eggは、EFSAの栄養、新規食品、食品アレルギーに関するパネルで安全であることが承認された。

プレスリリースによると、同社は、新規食品に関する資料作成とEFSAへの提出で、健康製品の規制に特化したコンサルティング機関analyze & realize GmbHと協力したと発表している。

2022年のヨーロッパ進出を目指す

出典:Eat Just

イート・ジャストが最初に欧州進出を発表したのは1年前にさかのぼる。当初、EUの承認を得られ次第、ドイツ、イタリア、オランダなど西ヨーロッパへの2021年の進出を目指していたが、予定より遅れる形となった。

今回のプレスリリースでは、ヨーロッパのどの国に進出予定かは言及されていない。

ヨーロッパでは植物ベース食品への関心、需要が高まっており、2019年から2020年にかけて植物ベース食品の小売売上は28%増え、36億ユーロとなった。ヨーロッパのヴィーガン人口は、2016年の130万人から2020年には260万人に増え、4年で倍増している。

2020年5月に発表された欧州委員会の「Farm to Fork戦略」などの政府プログラムも、より健康的で環境的に持続可能な食品システムを提唱している。欧州植物由来食品同盟などの業界団体は、欧州委員会、欧州議会、EU評議会の加盟国に対し、植物ベース食品セクターの成長を可能にし、気候変動、公衆衛生などの問題に貢献するよう呼びかけている。

こうした流れを背景に、代替卵市場は今後さらに伸びる可能性が高い。

培養肉でも業界をリード

出典:GOOD Meat

イート・ジャストは代替卵のほか、培養肉の開発も手掛ける。

昨年にはシンガポールで、世界で最初に培養肉料理を販売した企業となった。今年には同国で培養肉料理の世界初のデリバリーも実施している。

代替卵の国際展開に続き、培養肉でもシンガポールに続き、アメリカ、カタールでの販売を目指しており、同社の培養肉部門GOOD Meatは今年になってから300億円以上を調達している。

同社は今年後半から来年にかけて新規株式公開(IPO)すると予測される。

 

参考記事

JUST Egg’s Key Ingredient Receives European Safety Approval, Paves Way for Launch

Eat Just Gets European Safety Approval For Key Ingredient In JUST Egg, Plans European Launch

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:イート・ジャスト

 

関連記事

  1. ソーラーフーズ、CO2由来の微生物タンパク質「ソレイン」で米国G…
  2. 動物肉と同等価格の植物肉が生産可能な自動化技術をシアトルの企業が…
  3. ビヨンドミートが中国ECに初進出、中国市場向けの代替豚肉「ビヨン…
  4. QuornとPrime Rootsが菌糸体由来肉の市場拡大に向け…
  5. 精密発酵でカカオバターを開発する米Seminal Bioscie…
  6. ソーラーフーズ、シンガポールでソレインの販売認可を取得
  7. 植物から短鎖状の食物繊維を取り出す米One Bioが約42億円を…
  8. 培養ウナギ肉の開発に取り組む北里大学・池田大介准教授にインタビュ…

おすすめ記事

Mirai Foodsが厚さ1.5cm以上の培養テンダーロインステーキ肉の作製を発表

スイスの培養肉企業Mirai Foodsは今月、厚さ1.5cm以上の培養テンダー…

Vowの培養ウズラ、ついに地元オーストラリアでFSANZが承認|大臣会合を経て販売へ

2025年4月9日更新オーストラリアの培養肉スタートアップVowが申請した培養ウズラについて…

代替マグロの切り身を開発する米Impact Food、年内の市販化を目指す

水産資源の枯渇が懸念される中、カリフォルニア州サンマテオに新たな代替シーフード企…

KFCがシンガポールで植物肉バーガーの販売を期間限定でスタート

シンガポールのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が植物肉バーガーを期間限定…

ドイツ企業Infinite Rootsの菌糸体由来肉が韓国上市へ|マイコプロテインの2024年注目トピック

ドイツの菌糸体スタートアップ企業Infinite Roots(旧称Mushlab…

細胞由来のウナギ、マグロ、タイを開発するUmami Meatsが約2.7億円を調達

写真はイメージ画像ウナギ、マグロなどの培養シーフードを開発するシンガポー…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/15 15:28時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/16 01:28時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/16 05:25時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/15 21:31時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/15 13:31時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/16 00:37時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP