代替プロテイン

Betterland foodsがパーフェクトデイのアニマルフリーなホエイタンパク質を使ったチョコレートバーを発売

 

持続可能性を重視した食品を開発するスタートアップ企業のbetterland foodsは先月、アニマルフリーなチョコレートバー「WOO」を発売した

「WOO」には米パーフェクトデイが開発したアニマルフリーなホエイタンパク質が使用されており、動物成分、乳糖は含まれていない。「WOO」は精密発酵により生産したホエイタンパク質を使った初のチョコレートバーとなる。

先月末よりオンラインでの販売を開始し、今年9月には小売で発売される。

精密発酵ミルクに続くアニマルフリーなチョコレート製品「WOO」

出典:betterland foods

「WOO」は、betterland foodsがパーフェクトデイの乳タンパク質を使った2つ目の商品となる。最初の商品となる代替ミルク「betterland milk」は今年夏の市販化が予定されている。

「WOO」は従来のチョコレートバーと比較して、半分の砂糖(9グラム)と2倍のタンパク質(8グラム)を含み、1本あたり200カロリーとなる。原材料表示には「牛フリーなホエイタンパク質(COW-FREE WHEY PROTEIN)」と表示されている。

世界のチョコレート市場は2019年に約1400億ドルに達し、2026年までに1870億ドルを超えると見込まれる

betterland foodsのCEOであるLizanne Falsetto氏は「20グラムのタンパク質を含む無糖な栄養バーthink!」をリリースし、プロテインバーという概念を業界に持ち込んだ人物として知られる。

Falsetto氏は、チョコレート菓子市場が何年にもわたり「ヒトと地球にとってより良い原材料を使用して、消費者が本当に望んでいる味と楽しみに取り組むのではなく、大部分のイノベーションが砂糖量、摂取量管理、包装の調整にあてられている」とコメントし、健康と環境の改善に焦点をあてた食品開発をする必要性を強調している。

牛由来よりサステイナブルなホエイタンパク質

出典:betterland foods

「WOO」に使用されるホエイタンパク質は、遺伝子組換え微生物を活用して牛に頼らずに生産されたもので、牛乳に含まれるものと同じタンパク質となる。

特定の遺伝子を導入した微生物を培養することで、アルコールの代わりに目的のタンパク質を生産する手法は精密発酵と呼ばれ、パーフェクトデイはこの技術を食品領域に導入した先駆的企業として知られる。

同社のホエイタンパク質は、水消費量を最大99%温室効果ガス排出量を最大97%エネルギー消費量を最大60%削減できるため、従来の乳牛由来のホエイタンパク質よりも持続可能なものとなる。

betterland foodsはパーフェクトデイのパートナー企業に選ばれ、今後展開する製品でも同社のアニマルフリーな乳タンパク質を使用していく。

精密発酵チョコレートの開発も進む

出典:QQA

パーフェクトデイはバイオテクノロジーの力で動物に頼らずに乳タンパク質を生産しているが、チョコレートに伴う児童労働や森林伐採などの課題に取り組むため、カカオを使わずにチョコレートそのものを再現しようとしている企業も登場している。

ドイツのQOAは、カカオパウダーとバターを精密発酵で生産し、100%カカオフリーなチョコレートを開発している。発酵の原料にはオリーブ、ブドウ種子、ひまわり油の生産で発生する残留物を使用するため、アップサイクルもかねている。

チョコレートは5番目に温室効果ガスを排出する食品とされ、1キログラムのカカオを生産するのに24,000リットルの水が必要となり、必要な水は牛肉生産より多い

こうした点から、持続可能性を重視するbetterland foodsがパーフェクトデイのほかに、QOAや細胞培養によるチョコレート開発を手掛けるCalifornia Culturedなどの企業と提携し、パートナーシップを拡大していくことも考えられる。

 

参考記事

betterland foods™ Launches New Animal-Free Chocolate Bar Made With Perfect Day’s Whey Protein

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:betterland foods

 

関連記事

  1. Upside Foodsが業界史上最大の約510億円を調達、年内…
  2. ドイツのBluu Seafoodが欧州で初めて培養魚製品を発表、…
  3. 培養うなぎセミナー動画(北里大学・池田大介先生)|2023年9月…
  4. ケンタッキー、ビヨンド・ミートの代替フライドチキンを全米で販売
  5. 米SCiFi Foodsが培養牛肉の最初の商用生産を完了、来年培…
  6. 培養肉はどんな産業を生み出すのか?|SKSJ2020参加レポート…
  7. 香港グリーンマンデーがイギリス飲食店に進出、今年中に本格展開へ
  8. 仏培養肉のVital Meatがイギリスで新規食品の承認申請を実…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

Umami BioworksとCell AgriTech、東南アジア最大の培養肉工場計画を発表

シンガポールの培養シーフード企業Umami Bioworksとそのパートナーであ…

CulNet Systemからイネ、微細藻類を活用した低コストで持続可能な培養液開発の今|第5回細胞農業会議レポート

培養肉の生産コストの大部分を占めるといわれるのが、細胞を育てるために必要な培養液…

Vowがシンガポールで培養ウズラ肉の販売認可を取得、今月レストランで限定提供

細胞性食品とも呼ばれる培養肉は、動物を犠牲にすることなく動物肉を生産でき、環境負…

代替油脂の米Lypidが台湾大手コーヒーチェーンと提携、500店舗に導入

植物由来の代替油脂を開発する米Lypidが、台湾大手コーヒーチェーンのLouis…

培養シーフードを開発するShiok Meatsが資金調達、シンガポールに生産工場建設へ

培養シーフードを開発するシンガポールのShiok Meatsが、Woowa Br…

オランダのUpstream Foods、植物シーフード向上のためサーモンの培養脂肪を開発

細胞由来・植物由来の代替肉や代替魚の開発が世界的に進む中、本物ならではの風味を補…

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(07/26 13:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 22:36時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/27 02:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/26 19:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/26 11:34時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(07/26 22:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP