全米で展開するファーストフードチェーンChipotle Mexican Grillは、同社のベンチャーファンドCultivate Nextを通じて代替油脂スタートアップのZero Acre Farmsに出資したことを発表した。出資額は非公開。
Chipotleは、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツに3,200近くのレストランを所有しており、ESG目標を達成できる企業に初期段階で出資している。
Zero Acre Farmsは、食品業界の植物油脂への依存を終わらせることを使命に、健康的で持続可能な油脂に焦点を当てたフードテック企業であり、発酵で作られた代替油脂を開発している。
Chipotleによると、今日膨大に生産されている植物油脂は、記録的な速度の森林伐採と二酸化炭素排出量をもたらしている。
Zero Acre Farmsの共同創業者Jeff Nobbs氏は、食品1kgあたり3kgの二酸化炭素を排出する主要な食用作物5つのうち、4つがパーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油の植物油であることを指摘している。
ChipotleでCTOを務めるCurt Garner氏は今回の出資について、「Zero Acre Farmsのような企業には世界を変える力があると信じています。Chipotleが30年近く前にファーストフードの認識を変えたように、Zero Acre Farmsは健康的でより環境に優しい製品で調理油を再定義しています」とコメントしている。
2020年に設立されたZero Acre Farmsは昨年7月、最初の製品「Cultured Oil」を発売した。同製品は、微生物による発酵反応で生産された培養物を圧搾して油を抽出して製造されている。
Nobbs氏は、「昨年8月、消費者や家庭料理用に最初の製品の出荷を開始してから、影響力の拡大に重点を置いてきました。その実現のため、当社に関心を寄せるレストランに、より利用しやすいソリューションをまもなくご提供します」と述べている。
ココナッツオイルやパーム油など環境負荷を伴う植物油脂に代わる持続可能な油脂や脂肪を開発する企業は増えている。
Zero Acre Farmsのほかにも、微生物を活用して代替油脂を開発する企業には、英Clean Food Group、スウェーデンのMelt&Marble、エストニアのÄIO、オーストラリアのNourish Ingredientsなどがいる。
国内では昨年、不二製油が新潟薬科大学とのプロジェクトで油脂酵母を活用して培養液1L当たり98gの代替パーム油を生産し、世界トップレベルの生産量を実現した。
参考記事
CHIPOTLE ANNOUNCES 2023 ENVIRONMENTAL, SOCIAL AND GOVERNANCE GOALS TIED TO EXECUTIVE COMPENSATION
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アイキャッチ画像の出典:Zero Acre Farms