細胞培養によるコラーゲンを開発する米Jellatechは今月、独自の細胞株から、三重らせんで生物学的に同等かつ機能的なヒト全長コラーゲンの開発に成功したことを発表した。
Jellatechは昨年6月、ウシ全長コラーゲンの生産に成功した。ウシコラーゲンの成功から8ヵ月後、Jellatechはヒトコラーゲンを細胞培養により作り出すことに成功した。
現在流通しているコラーゲンは牛、豚、家禽、海洋生物由来であり、牛由来のコラーゲンの割合が最も多い。コラーゲンは、食肉処理場で発生する副産物を原料に作られており、家畜や水産資源がコラーゲンの原料供給を支えていることになる。
Jellatechは細胞農業により、天然コラーゲンの生産プロセスから動物を排除し、より持続可能でスマートな高品質コラーゲンの生産を目指している。
プレスリリースによると、ヒトコラーゲンは、組織工学、関節炎治療、再生医療、ダーマルフィラー(皮膚充填剤)、バイオ3Dオプリンティングなど、生物医学・臨床分野で幅広く使用されている。

創業者兼CEOのStephanie Michelsen氏 手にしているのは細胞培養ウシコラーゲン 出典:Jellatech
Jellatechは具体的な生産プロセスを公開していないが、特許明細書から、クラゲなど海洋動物、畜産動物の細胞にヒトコラーゲンの遺伝子を組み込み、これらの細胞を培養して、ヒトコラーゲンを産生させていると考えられる。
Jellatechで研究チームを率いるRob Schutte氏は、「今回のマイルストーンは、高品質なコラーゲンを効率的に生産する当社のプラットフォーム技術が、複数の種の細胞で翻訳可能であることを示しました」と述べている。
Jellatechは現在、生産をスケールアップし、商用化に移行するために資金調達を計画している。コラーゲンには幅広い用途があるため、Jellatechは持続可能なコラーゲンを世界中に提供するため、提携、協業を模索していくとしている。
参考記事
Jellatech Announces Development of Cell Based Human Collagen
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アイキャッチ画像の出典:Jellatech