3Dプリンター

アレフ・ファームズ、イギリスで培養肉の申請書類を提出

 

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは今月、イギリスで培養ステーキ肉を販売するための申請書類を英国食品基準局(FSA)に提出したことを発表した。これは同社がスイス当局へ培養肉の申請を行ったわずか数日後の発表となった。

これまでに培養肉が販売されたのはシンガポール(2020年12月)アメリカ(2023年7月)に限定される。欧州地域で申請を行ったのはアレフ・ファームズが初となる。

マーク・ポスト教授が世界に向けて初めて培養肉を発表した2013年8月5日から10周年のタイミングで、欧州2ヵ国での申請完了が発表されたことは培養肉業界における新たなマイルストーンになるだろう。

Just Foodの報道によると、イギリスでの審査プロセスには最大2年かかる可能性がある。FSAは申請が公開される「規制製品申請の登録(register of regulated product applications)」に記載されるまで、受領したこと以上のコメントはできないと述べているという。

出典:Aleph Farms

アレフ・ファームズが欧米の消費者に実施した調査によると、Z世代(1990年代半ば~2010年代序盤の出生)の88%、ミレニアル世代(1981年~1997年出生)の85%、X世代(1965年~1981年出生)の77%、ベビーブーマー世代(1946年~1964年出生)の72%が、少なくともある程度は培養肉を試すことに意欲的だったという結果が得られている

イギリス政府は今年4月、バース大学が主導する細胞農業製造ハブ(CARMA)に1200万ポンド(約21億円)を投じることを発表した。CARMAは7年間運営され、培養肉や精密発酵などに向けた研究エコシステムの構築を目指している。

出典:Aleph Farms

今年1月にはイギリスの国家機関Innovate UKが、持続可能な新規食品開発を支援するために1600万ポンド(当時約25億円)の投資も発表するなど、培養肉の社会実装を後押しする動きがイギリスで確認されている。

昨今、イギリス政府が新規食品規制の修正を検討するなど、培養肉を受け入れる姿勢が以前よりオープンになっている兆候が確認されていた中、初の培養肉申請が行われたことは、先行する市場を検討せざるを得なかったイギリスの培養肉企業にとって追い風となる動きになるだろう。

イギリスの培養肉企業には、Uncommon3D Bio-TissuesHoxton Farms(脂肪に特化)、Ivy Farmが確認されている。

 

参考記事

Aleph Farms Submits Dossier to Launch Cultivated Beef Steaks in the UK

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Aleph Farms

 

関連記事

  1. アニマルフリーな乳タンパク質を開発するイスラエルRemilkが約…
  2. 細胞農業によるキャビア製造でGeneus Biotechがヴァー…
  3. 【現地レポ】米GOOD Meatの培養肉実食レビュー@シンガポー…
  4. 培養肉用の食用足場を開発する米Matrix Meatsがシードラ…
  5. ドイツのBluu Seafoodと中国のCellXが「細胞農業を…
  6. 中国の植物肉企業Starfieldが約114億円を調達、湖北省に…
  7. 「本物のようにほぐれる」ホールカットの代替タラを開発するアイルラ…
  8. 英Meatlyがイギリスで培養ペットフードの販売認可を取得、年内…

おすすめ記事

微生物とAIで新素材を発見するKingdom Superculturesが約28億円を調達

天然の微生物を組み合わせて新しい素材を開発する米Kingdom Supercul…

中国の培養肉企業Jimi Biotechnologyが100%培養鶏肉の開発に成功

中国・杭州を拠点とする培養肉企業Jimi Biotechnology(极麋生物)…

お多福醸造・オタフクソースがマイコプロテイン事業に参入

お好みソースで知られるお多福醸造・オタフクソースがマイコプロテイン事業に参入する…

アレフ・ファームズ、タイで培養肉の承認申請を初提出|世界の申請・認可状況も

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズが、培養ステーキ牛肉「Aleph Cut…

おがくずから代替油脂を開発するÄIOが約9.9億円を調達、デモプラントの建設へ

当初の記事では「実証プラント」としていましたが、「デモプラント」に表現を修正しました(2025年3月…

イスラエルのSteakholder Foods、3Dプリンターで生成した世界初の植物性ウナギを発表

3Dプリンターで持続可能な代替肉・代替シーフードを開発するイスラエル企業Stea…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(03/28 14:53時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/29 00:40時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/28 04:34時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/28 20:51時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/28 13:00時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/28 23:53時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP