イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは今月、同社初の製品ブランド「Aleph Cuts」として最初に販売される予定の「Petit Steak」を発表した。
同製品は規制当局の承認を待つ状態にあり、シンガポールとイスラエルで今年後半に発売が予想されている。発売されると、世界初の培養ステーキ肉となる。
アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発表
「Aleph Cuts」は、米カリフォルニア州の農場で育ったアンガス牛「Lucy」から1回に限り受精卵を調達し、これを短期間成長させた細胞を使用している。バイオリアクターの中で細胞を増やした後、異なるバイオリアクターに移して、筋肉やコラーゲンと異なる細胞に成長させる。次に大豆や小麦で作られた足場を使用して構造化し、収穫する。生産に要する期間はわずか4週間となる。
公式サイトによると、生産プロセスで使用される成長因子は、精密発酵技術を使用して生産されたものとなり、培養肉産業初期に使用されていたFBSなど動物由来血清は使用していない。
プレスリリースによると、アレフ・ファームズは1つの受精卵から何千トンもの培養肉を生産することができる。これにより、生産プロセスで動物を犠牲にしない、持続可能で安全な食料システムへの移行が可能となる。
世界初の培養ステーキ肉上市に向けて
培養肉企業の多くがひき肉開発に着手していた2018年にアレフ・ファームズは、世界初の培養薄切りステーキ肉を発表するなど、初期からステーキ肉の開発に注力してきた。
2021年には3Dプリンターを使用して培養リブロース肉を開発し、2022年には培養コラーゲン事業への参入を発表した。今年3月には、シンガポールの培養肉CDMO、ESCO Asterと提携したほか、イスラエルのバイオテック企業の製造施設を買収するなど、商用化に向けて生産能力を増強している。
現在、培養肉が販売されている唯一の国はシンガポールとなる。シンガポールは2020年12月、世界に先駆けて培養肉の販売を認め、培養肉の先駆的な地域となった。アメリカでも、Upside Foodsに続き、今年にはGOOD MeatがFDAの安全性審査をクリアするなど前進が見られている。
国内でも今年3月、大阪大学、島津製作所など5団体が、3Dプリンターを活用した培養肉製造技術の社会実装に向けて「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立し、培養肉食用化の実現を目指している。
参考記事
Aleph Farms Launches New Product Brand Aleph Cuts
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アイキャッチ画像の出典:Aleph Farms