Foovo Deep

ジャガイモで卵白タンパク質を開発するPoLoPo、2026年の上市に向けて米国農務省(USDA)に申請

 

イスラエルの植物分子農業スタートアップPoLoPoは先月、遺伝子組み換えジャガイモを使用して卵白タンパク質を開発する自社プラットフォームについて、米国農務省(USDA)に承認申請を行った。

同社は2026年を目標に、CPGメーカーや外食サービスにB2Bで卵白タンパク質を供給することを目指している

ジャガイモで卵白タンパク質を開発するPoLoPo、USDAに申請

出典:PoLoPo

植物を生産工場とする分子農業で作られたタンパク質をアメリカで商用化する場合、まず第1ステップとしてUSDA-APHIS(動植物検疫課)に対し規制ステータス評価Regulatory Status ReviewRSR)を申請し、使用植物が規制の対象になるかの評価を行ってもらう。第2ステップとして米国食品医薬品局(FDA)から原料の承認を得る必要がある

RSRで従来の植物と比較して害虫リスクの可能性が低いと結論づけられると、栽培、輸入、州を超えた移動などに許可が不要になる

PoLoPoはこのための第1ステップの申請を行ったことになり、Green queenの報道によると6ヵ月以内に承認される見込みだという。Foovoの認識では、第1ステップをクリアしている企業はMoolec Scienceのみとなる。

独自のSuperAAプラットフォーム

出典:PoLoPo

PoLoPoは今年3月、遺伝子組み換えジャガイモを使用して動物タンパク質を生産するためのSuperAAプラットフォームを発表した

同社は卵白に含まれるオボアルブミとジャガイモに含まれるパタチンの2種類のタンパク質を開発している。ジャガイモの塊茎で標的アミノ酸を生成し、塊茎が十分に成長したら収穫して、タンパク質を抽出・乾燥させて粉末製品にする仕組みだ。

PoLoPoはSuperAAプラットフォームについてUSDAの承認を求めている。USDAから同プラットフォームについて承認を得られると、オボアルブミンだけでなく他のタンパク質を発現するさまざまな品種について比較的迅速な承認につながるとPoLoPoはGreen queenに述べている。

世界の植物分子農業は21社|イスラエル企業は6社

PoLoPoはイスラエルの分子農業企業の中で、最初にアメリカでの承認プロセスを開始した企業だと述べている。

この領域で最も先行しているのは前述の通り、ルクセンブルクに拠点を置くMoolec Scienceだ。Moolecは今年4月、遺伝子組み換え大豆「Piggy Sooy」についてUSDAの承認を得たことを発表した。現在はFDAとの協議を続けている。

世界の分子農業は2021年の4社から昨年4月には17社に増え、現時点では21社が確認されている。まとめると次のようになる。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:PoLoPo

 

関連記事

  1. 米Wild Earth、2023年に細胞培養によるペットフード製…
  2. 精密発酵でカゼインを開発するEden Brewが約37億円を調達…
  3. 米Puretureが植物性の代替カゼインの開発を発表
  4. なぜ今、食品メーカーが手を組むのか?|共通課題に挑む「未来型食品…
  5. ヘンプシードとかぼちゃの種から生まれた植物性チーズ: Seedu…
  6. モサミートが培養肉の工業生産に向けて生産施設を拡大
  7. MicroSaltは通常の半分量で、同じ塩味を実現する画期的な塩…
  8. 酵母由来の代替パーム油を開発するオランダのNoPalm Ingr…

おすすめ記事

Doehlerが代替パーム油を生産する英Clean Food Groupと提携

酵母を活用して代替パーム油を開発するClean Food Groupは今月、ドイ…

代替肉のビヨンド・ミートがマクドナルド、ヤム・ブランズとの提携を発表

カリフォルニアを拠点とする代表的な代替肉企業ビヨンド・ミートは、マクドナルドとヤ…

代替コーヒー開発の最前線:注目のスタートアップ10社とその市場投入動向

2025年2月:一部情報を更新コーヒーは世界的に人気のある飲料だが、コー…

コンタクトレスなキオスク型スムージーロボットBlendid、株式投資型クラウドファンディングを開始

新型コロナウイルスの発生で、急速な変化を求められている分野の1つがフードロボット…

All G Foodsが約24億円を調達、細胞農業に特化したVC主導のインフラ構築進む

精密発酵による乳タンパク質、植物由来の代替肉を開発するオーストラリア企業All …

スイス初の培養肉企業Mirai Foodsが初の資金調達、培養肉の市販化を目指す

スイスの培養肉企業Mirai Foodsが初となるシードラウンドで210万スイス…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

培養魚企業レポート予約注文受付中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(06/26 15:23時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/26 01:21時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/26 05:17時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/26 21:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/26 13:27時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(06/26 00:30時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP