代替プロテイン

チリのNotCoが米国進出、全米のホールフーズで代替ミルクの販売を開始

チリの代替プロテインスタートアップのNotCoが米国に進出した。

NotCoは11月1日から全米のホールフーズで代替ミルク「NOT MILK」の販売を開始。全脂タイプ(Whole)と脂肪分2%の低脂肪タイプ(2% Reduced Fat)が発売される。

出典:NotCo

今回の米国進出前の9月、同社は約89億円の資金調達に成功していた。その使途に米国をはじめとする海外展開に言及しており、それが現実となった形だ。

NOTMILKを取り扱うホールフーズ 計算すると50店舗はある 出典:NotCo

NotCoの代替ミルクは、えんどう豆、パイナップル、ココナッツ、キャベツなど複数の植物をベースとしているのが特徴。自社の人工知能(AI)を搭載した機械学習ソフトウェアGiuseppeを用いて、独自に蓄積した膨大な植物プロファイルから、動物性たんぱく質にマッチする理想的な植物成分を割り当てる。

出典:NotCo

つまり、生物学的に加工された食品を作るのではなく、既存の食品を分類し、どの植物成分を組み合わせれば代替したい動物製品に近くなるかに焦点を当てている。こうして、肉や乳製品の味だけでなく、食感、匂い、口当たりを再現している。

NotCoの代替ミルクを1日1本飲むと、

 

●シャワー52分で使う水

●電球12時間分の電気

●車で25マイル走行すると排出される二酸化炭素

 

を節約できるという。

NotCoは代替ミルクのほかに代替マヨネーズ、代替肉、代替アイスクリームなど、特定の製品に特化しない施策を打ち出していたが、現在ホームページにある製品は代替ミルクの「NOT MILK」のみとなっている。

創業メンバー、左からKarim Pichara、Matías Muchnick、Pablo Zamora 出典:NotCo

米国で代替ミルクを展開するスタートアップはほかに、OatlyTake Twoなどがある。

スウェーデン発のOatlyは代替ミルクOATMILKを全米の小売・オンラインショップで販売している。Take Twoは2020年に設立されたオレゴン発のスタートアップで、大麦プロテインを使ったミルクを開発している。

このほか、代替肉の代表格インポッシブルフーズは先月、代替ミルク「インポッシブルミルク」を開発中であることを発表したばかり。

NotCoはこうした競合と戦っていくことになる。

同社はこれまでに総額1億1500万ドル(約120億円)を調達しており、出資者にはアマゾンの共同創設者であるジェフ・ベゾスによるベンチャー・キャピタルベゾス・エクスペディションズ(Bezos Expeditions)がいる。

共同創業者のMatías Muchnickはテッククランチのインタビューに、2024年までに事業の7割を米国拠点としたいと語っており、ホールフーズでの販売開始はこの第一歩となった。

 

参考記事

NotCo’s Milk Alternative Launches in the U.S. Today

Oat Milk Pioneer Oatly Raises $200 Million on $2 Billion Valuation

Competing with both Perfect day and beyond meat, Chile’s NotCo raises 85 million to expand to the US

 

 

アイキャッチ画像の出典:NotCo

 

関連記事

  1. 代替肉のRedefine Meatがイスラエルで5つの新商品を発…
  2. 【現地レポ】シンガポール・スーパーマーケットでの精密発酵食品の販…
  3. イスラエル企業Remilk、アメリカで精密発酵乳タンパク質の認可…
  4. 英培養肉企業Ivy Farmとバイオテック企業BSF Enter…
  5. 【3/25】最新の研究事例から見る ! 細胞性食品(培養肉)セミ…
  6. インドEvo Foodsが代替卵を年内に販売開始、2021年4月…
  7. 代替マグロ開発中の米フードテックKuleana、年内に全米へ代替…
  8. 筑波大学の萩原大祐准教授、麹菌による代替肉の事業化に向けてクラウ…

おすすめ記事

牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約139億円を調達

精密発酵によりアニマルフリーな乳製品を開発するイスラエル企業Remilkがシリー…

バイオ3Dプリンターで植物性代替サーモンを開発するLegendary Vish

このニュースのポイント●オーストリアのLegen…

培養肉シンポジウム「CMS Japan」初開催|細胞農業スタートアップが語る“いま”と“これから”【イベントレポート】

Cultured Meat Symposium主催者のAlex Shirazi氏2025年3月2…

培養魚のWanda Fishがタフツ大学と独占的ライセンス契約を締結

イスラエルの培養魚スタートアップWanda Fishは、培養魚の開発でタフツ大学…

代替魚・代替シーフードベンチャー企業25社まとめ【2021年版カオスマップ】

この記事では、代替魚・代替シーフードの開発に取り組む国内外のベンチャー・スタート…

マクドナルドがアメリカでマックプラントの試験販売を終了

マクドナルドは先月、アメリカで植物性バーガー・マックプラントの試験販売を終了した…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/18 15:28時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/19 01:28時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/19 05:25時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/18 21:32時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/18 13:31時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/19 00:37時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP