リテール

小売大手のLidl、植物由来食品の販売比率を2030年までに20%増加へ|31ヵ国を対象としたグローバル目標

 

ドイツの大手スーパーマーケットチェーンLidlは、2030年までに植物タンパク質、果物、野菜、全粒穀物などの植物由来食品の販売比率を、2023年比で20%増やすという新たなグローバル目標を発表した

さらに、2025年以降、この取り組みの進捗を毎年公開する方針も明らかにした。

Lidlのグローバル戦略

出典:Lidl

Lidlは欧州を中心とした世界31ヵ国で展開する大手スーパーチェーン。

同社はこのほど、世界自然保護基金(WWF)による支援を得て、すべての進出国において植物由来食品の販売比率を20%引き上げるとのグローバル戦略を打ち出した。

Lidlは、環境負荷を軽減し、健康的な食生活を推奨する「プラネタリーヘルスダイエット」に沿って、植物タンパク質の割合を増やすことに取り組んでいる。

これまでドイツイギリスオランダなど、市場ごとに独自の代替タンパク質戦略を展開してきた。

Lidlドイツでは、2030年までに販売するタンパク質の20%を植物タンパク質にする目標を掲げている。この目標達成に向けて、2023年にはビーガン食品の価格を動物性食品と同等にする施策を実施した

出典:Lidlドイツ

Lidlドイツのサステナビリティレポートによると、2023年度の植物タンパク質の売上は前年の11.1%から11.8%に、代替乳製品の売上比率は前年の6.1%から6.6%へとわずかに増加している(上記)。

Lidlイギリスでは、2030年までに販売するタンパク質の25%を植物タンパク質にする目標を設定。また、同期間に代替乳製品の売上を2倍にすることも目指している。

イギリスでは2023年度の植物タンパク質の売上比率は17.6%を記録。2024年10月には、過去1年間で植物由来食品の需要が12%増加したことを受け、取り扱い数を3倍以上に増やす計画を発表した

さらにLidlオランダでは、2030年までに植物タンパク質の売上比率を60%に引き上げる目標を掲げている。その一環として、2024年夏には、植物由来と動物由来を組み合わせたハイブリッド商品を初導入した。40%がエンドウ豆タンパク質、60%が肉からなるひき肉製品を低価格で販売するキャンペーンを実施。さらに、植物由来食品の価格について恒久的な引き下げ実施した

今回、Lidlは進出するすべての市場で植物タンパク質の販売比率向上に関する目標を発表したことについて、「食品カテゴリの透明性を確立した最初の食品小売業者」であると述べている。

スーパーマーケットは、植物由来食品への移行を促進する重要な存在であり、消費者の選択肢を広げるとともに、持続可能な食料システムの構築にも寄与する。特にLidlのような大手スーパーチェーンが積極的に取り組むことで、市場全体の変革を加速させることが期待される。

なお、こうした動きはLidlに限らず、他国でも広がっている。

オランダではLidlを含む11社のスーパーが、2030年までに販売する食品の60%を植物タンパク質にする目標を発表している。ドイツの小売REWE Groupは昨年、同社初となるビーガン専門のスーパーマーケットを開設した

 

参考記事

Lidl stärkt sein internationales Engagement für bewusste Ernährung mit dem WWF Netzwerk

Lidl: German Grocery Leader Bets on Plant-Based, Promises 20% Sales Share Boost in Scope 3 Push

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Lidl

 

関連記事

  1. アイルランド企業Evoccoは食料品レシートから気候変動への影響…
  2. 英培養肉企業Ivy Farmとバイオテック企業BSF Enter…
  3. サムスンがIoTアプリに買い物機能を備えた「SmartThing…
  4. アフリカ発の培養肉企業Mzansi Meat、2022年後半の市…
  5. 欧州大手小売のREWEグループ、欧州の業界団体「Food Fer…
  6. 培養肉セミナー動画(日本細胞農業協会理事・岡田健成氏)|2024…
  7. 香港培養肉スタートアップAvant Meatsが約3億2千万円を…
  8. Nourish Ingredients、精密発酵由来の脂肪「Ta…

おすすめ記事

米スーパー大手クローガーがドローンによる食料品配達を正式に実施

アメリカのスーパーマーケット大手クローガーは6月に、ドローンを使った食料品配達を…

英Fermtech、ビール粕×麹菌でゼロカーボンな代替タンパク質を開発

2025年3月25日:本記事で参照した公式リンクの内容はその後大きく変更されておりますが、記事内では…

イスラエルのImagindairy、精密発酵乳タンパク質を生産する工業規模の自社生産ラインを発表

イスラエルの精密発酵企業Imagindairyが、アメリカでのGRAS認証取得に…

農家に植物の「内なる声」を伝えるInnerPlantが約6.2億円を調達、植物のSOSを事前にキャッチ

自らSOSを発する「センサー植物」を開発するInnerPlantがプレシード、シ…

【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用したミルクを試食@シンガポール|精密発酵ミルクの現在地を確認

精密発酵技術で生成された食品がアメリカ、シンガポールなどで販売されている。…

英ReNewFood、精密発酵で新たなヘムタンパク質を開発 – 2027年の市場投入へ|創業者インタビュー

英国のスタートアップReNewFoodは、精密発酵技術を活用し、タンパク質由来の…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/24 16:17時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/25 02:57時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/25 06:30時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/24 22:19時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/24 14:18時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/25 01:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP