代替プロテイン

精密発酵カゼインを開発するThose Vegan Cowboys、大手チーズメーカーHochlandと提携

 

精密発酵カゼインを開発するベルギーのThose Vegan Cowboysは先月、95年以上の歴史を誇るドイツの大手チーズ企業Hochland Groupと共同開発契約の締結を発表した

二社は、精密発酵カゼインを使用したハードチーズ、セミハードチーズを共同開発する。

Those Vegan Cowboysによると、年内にアメリカ市場への進出を計画するとともに、オランダでは精密発酵カゼインを使用したチーズの初試食会を開催する予定だ。2026年にはアジア市場への進出を目指している

ビーガンチーズブランドの成功体験を持つHochland

出典:Those Vegan Cowboys

精密発酵カゼインの分野では、昨年7月にオランダ企業Fooditiveが大手モッツアレラチーズメーカーLeprino Foodsとの提携を発表。フランスのStanding Ovationも先月、同国の欧州味の素食品と提携した。

今回の提携は、Hochlandがすでにビーガンチーズの開発・市場展開で成功を収めた大手チーズメーカーである点で、これまでの事例とは異なる意味を持つ。

Hochlandはビーガンチーズを開発・販売した経験があり、これが精密発酵カゼインを活用した新たなチーズ開発にも貢献すると期待される。

欧州大手のチーズ企業であるHochlandは、動物性チーズブランドAlmetteGrünländer & Patrosなどを展開している

Hochlandがビーガンチーズに参入したのは2014年

ビーガンチーズ開発に向けてドイツ法人E.V.Aを設立し、2015年にアーモンドをベースとした植物由来チーズブランドSimply Vを立ち上げた(公開されている情報の範囲では、E.V.Aは買収によるものではなく、Hochlandにより設立された企業であると考えられる)。

出典:Simply V

以来、Simply Vのポートフォリオは17種類まで拡大し、Hochlandのアメリカ法人Franklin Foodsにより2023年2月にはアメリカ市場に進出Hochlandのグローバル拠点一覧)。

Simply Vの製品には、スライスチーズ、ブロックチーズ、チーズ用のシュレッドチーズなどがある。

着想から1年で市場投入を実現したSimply Vの経験を有するHochlandと提携することで、Those Vegan Cowboysは、製品開発のスピードと市場導入のノウハウを活かし、精密発酵カゼインを使用したチーズの商業化を加速させることが期待される。

特に、既存のビーガンチーズ市場での成功と、欧州・アメリカ進出した経験をもとに、消費者の嗜好や流通戦略に関する知見を共有することで、精密発酵技術を活用した新製品の市場導入をスムーズに進められると思われる。

Green queenの報道によると、Those Vegan CowboysはHochlandとの提携を通じ、ハイブリッドチーズも含め、大衆市場と高級市場に向けたチーズをB2B、B2Cで供給していきたいとしている。

 

参考記事

Those Vegan Cowboys LinkedIn

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Those Vegan Cowboys

 

関連記事

  1. 二酸化炭素からタンパク質を作る英ディープ・ブランチ、アイスランド…
  2. Helaina、精密発酵によるラクトフェリンの商用化へ移行、機能…
  3. オーストラリアのVowが約67億円を調達、来年始めにシンガポール…
  4. 世界初!シンガポールOsomeFoodが開発したマイコプロテイン…
  5. 代替肉のネクストミーツが新潟に代替肉の自社工場を建設、2022年…
  6. イート・ジャストが中国上海に初の料理スタジオをオープン、中国市場…
  7. イスラエル大手食品会社Tnuva、代替タンパク質特化のR&Dセン…
  8. プラスチック使用削減のために食用スプーンを開発したIncrEDI…

おすすめ記事

リング型カクテルメーカーBarsys 360|自宅のミクソロジーを新たな高みに

家庭用カクテルメーカーを開発する米スタートアップ企業Barsysがユニークな新し…

発酵技術で代替シーフードに挑むAqua Cultured Foodsがプレシードで約2億4000万円を調達

微生物発酵でシーフードを開発する米Aqua Cultured Foodsがプレシ…

NewFishが微細藻類由来のタンパク質粉末を開発、米国スポーツ栄養市場進出を目指す

微細藻類を活用した代替タンパク質を開発するニュージーランドのNewFishは今月…

オーストラリアが培養肉承認に向けて一歩前進|FSANZがVowの培養ウズラに関する意見募集を開始

オーストラリア・ニュージーランドの独立系シンクタンクFood Frontierは…

培養肉ベンチャー企業20社まとめ【2020年】

この記事では、培養肉開発に取り組む国内外のベンチャー企業20社を紹介する。…

米Bond Pet Foods、精密発酵由来の動物タンパク質2トンをペットフード会社に納品

精密発酵によりペットフードを開発する米Bond Pet Foodsが、精密発酵で…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(03/09 14:48時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/09 00:32時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/09 04:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/09 20:45時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/09 12:55時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/08 23:44時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP