オランダのフードテック企業Farmlessは今月、プレシードラウンドで120万ユーロ(約1億8000万円)を調達したことを発表した。Farmlessは、微生物、二酸化炭素、水素、再生エネルギーを活用したバイオマス発酵により、機能性タンパク質を生産している。
このラウンドはドイツのベンチャーキャピタルRevent、Nucleus Capital、Possible Venturesが主導した。
Farmlessは、食品生産を農地から切り離すことを使命に設立された。砂糖を使用する代わりに、二酸化炭素、水素、再生エネルギーから作られた液体原料を機能性タンパク質に変換するプラットフォームを開発している。
最初の製品となる機能性タンパク質は、すべての必須アミノ酸を含み、必要な土地は動物タンパク質の1/250~1/500、植物タンパク質の1/10~1/25になるという。
世界中どこでも生産可能なタンパク質

出典:Farmless
公式サイトによると、Farmlessは適切な微生物を選択することで、大掛かりな後処理を必要とせずに、タンパク質、ビタミン、炭水化物、不飽和脂肪などの主要栄養素を最適化できるという。
Farmlessは高含有の完全タンパク質を生産する非遺伝子組換え微生物を使用している。バイオマスを収穫して、汎用性のある「カーボンネガティブ」な食品成分を生成している。原料に使用する炭素源は明らかにしていないが、「二酸化炭素と水素から液体原料を作り、窒素源・一部のミネラル源としてアンモニアを使用」しているとAgFunderに回答している。
同社のアプローチは、エア・プロテインと呼ばれる空気中の二酸化炭素を原料にする企業のアプローチと似ているが、技術は異なるようだ。空気を原料とするエア・プロテインでは特別な設備が必要になり、コストが増すのに対し、Farmlessの原料は液体で、既存のサプライチェーンがあるため、世界中どこでも生産、輸送、保管が可能になるという。
創業者のAdnan Oner氏は、「再生可能エネルギーを使用できる場所であれば、どこでも稼働できます」とAgFunderのインタビューで述べている。
食料生産を農地から切り離す

出典:Farmless
Farmlessは、未解決の重要な課題として、太陽光や農地に依存せずに運営できる食料システム、限られた土地で食料を生産できる食料システムを思い描いたOner氏によって2022年に設立された。
これを実現する方法が、発酵と再生可能エネルギーを結び付けて、食料生産を農地から切り離すことだった。
「当社の発酵プラットフォームにより、畜産を劇的に上回る、低コストなタンパク質を地球規模で確実に生産することを目指しています。私たちは、この技術が工場畜産を終わらせ、地球を自然な状態に戻し、数ギガトンもの炭素を削減する可能性を秘めていると信じています」
(Farmlessの創業者 Adnan Oner氏)
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