代替プロテイン

ケーキも作れる代替卵のスタートアップZero Eggが約5億2千万円を資金調達

 

このニュースのポイント

 

●代替卵スタートアップZero Eggが約5億2千万円を調達

●Zero Eggの代替卵はケーキ、クッキーなど焼き菓子も作れる

現在はB2Bで展開、2021年にユーザーへの直接販売へ

 

 

代替卵スタートアップZero EggがシリーズAラウンドで500万ドル(約5億2千万円)を調達した。これまでの総調達額は800万ドル(約8億4千万円)となる。

Zero Eggは2018年にイスラエルで登場した植物性卵のスタートアップ。先月、米国進出をはたしたばかり

同社の主力製品は大豆タンパク質、えんどう豆粉末をベースとしており、次の2つのラインナップがある。

製品名 作れるもの
EGG Basics スクランブルエッグ、オムレツ、キッシュ、クッキー、フリッタータ、ソースなど
BAKE Basics ケーキ、マフィン、カップケーキ、クッキー、パンケーキ、ワッフル、パスタ、マヨネーズなど

このうち、ユーザーが特に喜ぶのは、BAKE Basicsではないだろうか?

焼き菓子が作れるからだ。

出典:Zero Egg

使い方はシンプルで、代替卵粉末、水、少量の油をフードプロセッサーに入れて20秒ほど混ぜるだけ。冷蔵庫で20分ねかせてから使うとさらに良いという。

本当に焼き菓子が作れるのか信じがたい人はこの動画を見てほしい。

▼この写真はZero EggのBAKE Basicsを使って作ったマフィンだ。

出典:Zero Egg

Zero Eggは現在、食品会社やレストランなどB2Bで商品を提供しており、米国の流通・小売業者ゴードン・フード・サービスと提携している。

イスラエルでは複数のレストランやベーカリーショップと提携しているが、来年には小売用の商品を手掛け、ユーザーに直接販売したいと考えている

Zero Eggは今回調達した資金を、米国でのブランド確立と新商品発売にあてるとしている。

急速に成長する代替卵市場

植物性代替卵の市場シェアはまだ小さいが、最も急速に伸びている分野である。

出典:GFI

Good Food Institute (GFI)によると、植物性代替食品の40%のシェアを占める代替ミルクは2019年の時点で売上高が20憶ドルであったのに対し、植物性代替卵の売上高は2019年の時点でわずか1000万ドル。市場規模で見ると代替卵はまだ小さいものの、この2年で売上高が228%、1年では192%になるなど、最も急速に伸びている分野だ

そして、下記グラフが示すように、動物性食品の売上の減少率が最も高いのも卵だ。

出典:GFI

 

イギリスのCrackdは、えんどう豆タンパク質・酵母をベースとした代替卵を開発。ケーキやキッシュ、クッキーを作ることができるという。

代替卵プレーヤーには、インドのEvo Foodsもある。Evo Foodsは既存品をさらに改良して常温でも保管できる卵を開発し、発展途上国の未電化地域に貢献したいと考えている。Evo Foodsは2021年に米国進出を目指しており、今後は代替卵の競争がさらに激しくなりそうだ。

グローバル展開はまだ不明だが、フランスのLes Merveilloeufsは卵黄と卵白を再現できるという、これまでとは異なる代替卵を開発している。

 

今回のラウンドには、Powerplant Ventures、Unovis Asset Management、Strauss Groupなどが参加した。

PowerPlant Venturesはビヨンドミートアピールサイエンス(Apeel Sciences)にも出資しているベンチャーキャピタル。Unovis Asset Managementは微生物発酵による植物性タンパク質スタートアップのThe Protein Breweryに出資。Strauss Groupは培養肉スタートアップのAleph Farmsに出資している。

 

参考記事

Zero Egg Raises $5M for Its Plant-Based Egg Product

Israeli startup Zero Egg enters US market with b2b launch of plant-based egg replacement

Plant-Based Zero Egg To Launch On World Egg Day

アイキャッチ画像の出典:Zero Egg

 

関連記事

  1. MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロ…
  2. Space Fが韓国初の培養鶏肉と牛肉、そして培養豚肉プロトタイ…
  3. 【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butch…
  4. 米イート・ジャスト、年内または2022年に30億ドルのIPOを目…
  5. アグロルーデンスが開発|米と麹から生まれたマイコプロテイン「Co…
  6. 精密発酵カゼインを開発するThose Vegan Cowboys…
  7. 精密発酵の米パーフェクトデイ、約130億円の資金調達とともに創業…
  8. 【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用し…

おすすめ記事

ビヨンドミートが新しいビヨンドバーガーを5月に全米小売で発売

代替肉巨人のニュースが止まらない。ビヨンドミートが新しい植物肉バーガーを…

アニマルフリーな乳タンパク質を開発するイスラエルRemilkが約11億円を調達

イスラエルを拠点とするRemilkがシリーズAラウンドで11…

MicroSaltは通常の半分量で、同じ塩味を実現する画期的な塩「MicroSalt®」を開発

アメリカ人は1日平均3.4gの塩分を摂取しているといわれる。これはFDA…

中空糸バイオリアクターを開発する英Cellular Agriculture、2026年第1四半期にパイロット工場稼働を計画|インタビュー

培養肉や培養魚肉などの細胞性食品用の中空糸バイオリアクターを開発する英Cellu…

GFI、SCiFi Foodsのウシ細胞株と無血清培地を取得し公開へ|重複作業の削減と業界加速を目指す

出典:SCiFi FoodsGood Food Institute(GFI)は今月16日、昨年事…

ベルがパーフェクトデイと提携、精密発酵タンパク質の代替チーズを来月発売

Kiri(キリ)やBoursin(ブルサン)などで有名なチーズ大手ベルグループの…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/15 16:14時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/15 02:52時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/15 06:23時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/14 22:14時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/15 14:15時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/15 01:33時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP