代替プロテイン

トマトで代替マグロを開発するスペイン企業Mimic Seafoodとは

 

スペインのフードテック企業Mimic Seafoodはユニークな原料を使って代替シーフードを開発している。

代替シーフードに取り組む企業の多くは大豆など豆類をベースにしているが、Mimic Seafoodはトマトを主原料に代替マグロを開発している。

トマトを使った代替マグロ「Tunato」

出典:Mimic Seafood

Mimic Seafoodの主力製品「Tunato」はトマトを主原料に、オリーブオイル、醤油、藻類抽出物を使って作られた代替マグロだ。

5つの原料のみを使用し、グルテンフリーで遺伝子組換え成分は使用していない。トマトは「Tunato」の67.6%を占める。

これらの原料から水分を取り出し、マグロのような食感を再現するという。取り出した水は廃棄せず、代替イクラの生産に使用する。

出典:Mimic Seafood

「Tunato」は冷蔵で45日間保存可能で、本物のマグロより日持ちする。現在、マドリードとバルセロナの外食産業で提供されている。

同社はデンマークにもチームを構えており、スペインに次いでデンマークへも展開したいと考えている。長期的には小売での販売、さらなる市場拡大を目指している。

大手農業協同組合とのパートナーシップ

出典:Mimic Seafood

Mimic Seafoodは食品業界で20年以上の経験を有するPedro Álvarez氏、シェフのApolinar Amador氏、マーケティングエキスパートのIda Speyer氏、食品科学の専門家であるSilvia Moreno氏が共同で設立した。

Mimic Seafoodは今年非公開のプレシード資金を調達しており、出資者には複数名のエンジェル投資家のほか、スペインの大手農業協同組合La Palmaが含まれる。

これまでにさまざまな国から注文を受けており、調達した資金をエンジンに、来年にはさらなる拡大が予想される。

ヨーロッパで加速する代替シーフード

出典:Mimic Seafood

GFIによると、植物由来、細胞由来、発酵由来の代替品を開発するスタートアップを含む代替シーフードカテゴリーは、2021年上半期の時点で1億1,600万ドル(約132億円)を調達した。この数字は昨年の合計額より2600万ドル(約29億円)多い

Mimic Seafoodと類似したアプローチをとる企業には、アメリカ、ニューヨークを拠点とするOcean Hugger Foodsがいる。同社はトマトベースのマグロ、茄子ベースのウナギを開発、今年3月にタイの食品会社と提携した。

出典:GFI

ヨーロッパでは1人あたり27キログラムのシーフードを消費しており、輸入が国内供給を上回る現状となる。世界の漁獲量の約4分の1がヨーロッパに輸入されているが、人口では世界人口の10%に満たない

こうした実情を背景にヨーロッパでは、スウェーデンのHooked、オランダのMonkeys by the Sea、フランスのAlgama Foodsなど複数の代替シーフード企業が登場している。

バイオマス発酵で寿司用シーフードの開発を手掛けるアメリカのAqua Cultured Foodsがスイスの小売大手ミグロスと提携するなど、海外企業の進出も相次いでいる。

 

参考記事

Mimic Seafood Is Making Raw Vegan Tuna Out Of Tomatoes

Madrid Plant-Based Startup Mimic Seafood Ends 2021 With A Hat Trick Of Goals Achieved

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Mimic Seafood

 

関連記事

  1. Remilk、イスラエルで精密発酵タンパク質の認可取得が間近
  2. アフリカ発の培養肉企業Mzansi Meat、2022年後半の市…
  3. 精密発酵企業Formoがバイオテック企業Brain Biotec…
  4. 植物ステーキ肉のChunk Foodsが約20億円のシード資金を…
  5. シンガポール企業Mycosortia、おからをアップサイクルした…
  6. 英Meatlyがイギリスで培養ペットフードの販売認可を取得、年内…
  7. 【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech E…
  8. Perfat Technologiesによる「次世代オレオゲル」…

おすすめ記事

イスラエルのEver After Foodsが「破壊的な」培養肉生産プラットフォームを発表

費用対効果の良い培養肉生産プラットフォームを開発するイスラエル企業Ever Af…

ユニリーバのBen & Jerry’s、アニマルフリー製品の主原料をオーツ麦へ切り替え

食品・日用品大手のユニリーバは今月、人気の乳製品ブランドであるBen &…

イスラエルのSteakholder Foods、3Dプリンターで生成した世界初の植物性ウナギを発表

3Dプリンターで持続可能な代替肉・代替シーフードを開発するイスラエル企業Stea…

リング型カクテルメーカーBarsys 360|自宅のミクソロジーを新たな高みに

家庭用カクテルメーカーを開発する米スタートアップ企業Barsysがユニークな新し…

Mirai Foodsが厚さ1.5cm以上の培養テンダーロインステーキ肉の作製を発表

スイスの培養肉企業Mirai Foodsは今月、厚さ1.5cm以上の培養テンダー…

ロボットハンバーガー店のCreatorがリニューアル、「パーソナライズ化」を導入

2018年にサンフランシスコにオープンし、話題となったロボットレストランCrea…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/19 15:00時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/20 00:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/20 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/19 21:02時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/19 13:05時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/20 00:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP