このニュースのポイント
●フード自販機のVEATがプレシードで資金調達
●外食産業をアップデートする可能性を持つ自販機3.0
●VEATは植物性メニューを提供
●2021年に欧州他国への展開を狙う
移動型レストランともいえる、フード用自販機のスタートアップVEATがプレシードラウンドで50万ユーロ(約6190万円)の資金調達に成功した。
VEATはスウェーデンを拠点とするフード用自販機のスタートアップだ。
外食産業をアップデートさせる自販機3.0
フード用自販機は自販機3.0と呼ばれる、新しいタイプの自販機。
できたものを販売するこれまでのスタイルに、提供メニューをカスタマイズできる機能が追加されている。
レストランを自動化・ポータブルにしている点で、「移動型レストラン」という方がイメージしやすい。
こうした自販機3.0は、オーダー、調理、提供、決済のすべてに人手を介さない点で、withコロナ時代のニーズに極めてマッチした新しい形態といえる。
初の資金調達に成功したVEATはスウェーデン・ストックホルムに今月1号機となる植物性食品の自販機を設置した。今回調達した資金を活用して、今後はほかの欧州諸国に進出を狙う。
VEATの自販機は、新鮮なサラダなど、植物性メニューをいつでも入手できるのが特徴だ。トッピングをカスタマイズできる機能はないと思われる。
植物性メニューを提供するVEAT
創業者Andreas Karlssonが2019年にVEATを設立。同社の特徴は、提供されるメニューがすべて植物性であること。
シカゴを拠点とするFarmer’s Fridgeやニューヨーク発のFresh Bowlのように、100%植物性の料理を提供する自販機のブランドを欧州で確立したい考えだ。
VEATの自販機で購入できるのは、サラダ、巻物、インスタント食品、スナック、飲料水。価格は2.8ユーロ(約340円)~8.3ユーロ(約1000円)。提供される料理はすべて、スウェーデンシェフが手掛けたもので、VEATが所有するキッチンで地元の材料を使って作る。
VEATは今月ストックホルムに最初の自販機を設置。今後は、百貨店、コワーキングスペース、金融機関本社などに設置する。年内にさらに10個の自販機をストックホルム市内に設置する予定。2021年には欧州の他の国への展開を目指している。
今回のラウンドには、気候変動に取り組むベンチャーキャピタルPale Blue Dot、Robert Ahldin、ドイツ・ベルリンのシードファンド(ごく初期のベンチャーに投資するファンド)Purple Orange Ventures、Erik Segerborg、Shio Equityらが参加した。
新型コロナによって、自販機のアップデートが加速している。日本においても、数メートル歩けば自販機があるというやや煙たがられる存在から、ゼロタッチの購入・配達・決済を実現するツールに変わる可能性は十分にある。
安全・安心だけでなく、好きなメニューにカスタマイズできる利便性も兼ねた自販機3.0は今後の外食サービスをけん引する存在になるだろう。
参考記事
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アイキャッチ画像の出典:VEAT