レストランテック

ネスレが焼きたてのピザを提供する自販機を試験導入

 

ネスレが冷凍ピザ製品「DiGiorno」を3分で焼き上げるピザ自動販売機の試験を実施していることが明らかになった

これまでにも焼きたてのピザを提供する自販機は国内外で複数確認されているが、大手食品メーカーの試験導入はこれが初と思われる。

Food Diveの報道によると、ネスレは今年4月、コロラド州のウォルマートにピザ自販機を導入した。3ヵ月後には冷凍食品を開発するオハイオ州の自社施設に2台目を導入したという。

出典:Nestlé

このピザ自販機ではネスレの冷凍ピザ製品「DiGiorno」が提供され、注文から焼き上げて提供されるまではわずか3分。ユーザーはタッチパネルで2種類から好きなものを選び、ピザが焼きあがると自販機の取り出し口から出てくる仕組みだ。

動画を見る限りでは、ピザをカットするプラスチックナイフも付属されているようにみえる。

ネスレは2箇所の試験結果に基づき、さらに試験運用を行うか決める予定のようだ。追加で導入する候補地としては、大学のキャンパスや寮、ホームセンター、空港を検討している。ネスレがピザ自販機を本格導入するかは、消費者のフィードバックによるだろう。

ピザ自販機が持つメリット

出典:Nestlé

Foovoではこれまでにさまざまな次世代自販機を紹介してきたが、その中でもピザ自販機が最も多い。省スペースで設置できるピザ自販機は、スーパー、ホームセンター、大学、空港において「ピザレストラン」の低コストな設置を可能とする。特に、企業の社員食堂に設置すれば、忙しい仕事の合間に手軽に食べられる新たなオプションとなる。

ネスレが本格導入すると、冷凍ピザ製品を展開する他の食品メーカーがこれに続く可能性も考えられる。

食品メーカーにとってピザ自販機は、売上向上だけでなく、消費者の声をダイレクトに集めるツールにもなりうるだろう。店舗で冷凍ピザを販売する代わりに、3分の待ち時間を利用して自販機のタッチパネルやアプリを通じたアンケート調査を実施すれば、市場調査をより簡単に行うことができる。

出典:PizzaForno

期間限定レシピを追加することで、小売で追加を検討しているピザのレシピテストを実施できる可能性もある。大学、病院、企業など設置する場所に応じて、各層の消費者が求めているものを調査することもできるだろう。

このように考えると、ピザに限らず出来立ての食事を提供する自販機は、一種のマーケティングツールとみなすこともできる。

国内では「すぐ食べられる」自販機の導入は少ないが、アメリカのYo-Kai Expressが開発したラーメン自販機は上野駅、羽田空港、HISが運営する渋谷の「変なカフェ」などに導入されている

ネスレが試験導入したピザ自販機では同社製品を提供しているが、Yo-Kai Expressの場合は、さまざまな店舗のラーメンを提供するプラットフォームとなっている点は興味深い。こうした次世代自販機はフードサービスにおける慢性的な人手不足の解消策にもなり、国内外の今後の動向に注目だ。

 

参考記事

From the freezer to the kiosk: Nestlé testing a vending machine that makes DiGiorno pizza in 3 minutes

DiGiorno Debuts Pizza Vending Machine, and It Looks a Whole Lot Like Basil Street Pizza

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Nestlé

 

関連記事

  1. Starshipの宅配ロボット、米スーパーSaveMartに初登…
  2. Picnicがピザ組み立てロボットの予約注文受付をスタート
  3. フランス・パリにPazziによるピザロボットレストランがオープン…
  4. スマイルロボティクスが開発した配膳・回収を完全無人化で行う自律走…
  5. コンタクトレスなデリバリーロッカーMinnowがSKS2020で…
  6. 中国OrionStar(猎户星空)がバリスタロボットRoboti…
  7. インドNymbleの料理ロボットJulia(ジュリア)がSKS2…
  8. The Food Robotics Summit2021に登場し…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

蜜蜂を使わずにハチミツを作る米MeliBioがプレシードで約9400万円を調達

代替肉、代替ミルクなど代替タンパク質に取り組む企業が増える中…

パーフェクトデイが約390億円を調達、今秋にアニマルフリーなクリームチーズを発売

アニマルフリーな乳製品を開発する米パーフェクトデイがシリーズDラウンドで3億50…

牛を使わずに乳製品を開発するDe Novo Dairy|南アフリカ初の精密発酵プレーヤー

南アフリカで代替タンパク質に取り組む企業が増える中、今年設立されたDe Novo…

ShiruがAIプラットフォームで開発した最初の製品「OleoPro」を商用化

アメリカのバイオテック企業Shiruは今月、AIを活用した最初の食品原料の商用化…

培養シーフードのAvantが約14億円を調達、来年パイロット工場を稼働

香港の培養シーフード企業Avantが先月、シリーズAラウンドで1080万ドル(約…

100%スピルリナ由来の代替スモークサーモンを開発するSimpliiGood

スピルリナを活用して代替タンパク質を開発するイスラエル企業SimpliiGood…

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,671円(04/28 12:16時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/27 21:33時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/28 01:04時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/28 18:07時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/28 10:49時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/28 21:05時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP