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海藻由来の代替タンパク質を開発する米Trophic|大豆に代わるタンパク質源の「主役」となるか?

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植物ベースの代替肉といえば、大豆、えんどう豆などが主流だが、数年後には、海藻が主役の座を奪うかもしれない

アメリカ・サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業Trophicは、海藻を使って最も持続可能でスケーラブルな代替タンパク質源の開発を目指している。

Trophicによると、マサチューセッツ州に相当するエリアの海藻養殖で、世界全体の牛肉に代わる十分なタンパク質を生産できるという。

「コスト・スケール面で大豆に打ち勝つ」タンパク質源:海藻

CTOのAmanda Stiles氏 出典:Trophic

Trophicが海藻ベースの代替肉に取り組むのは、美味しさだけでなく、持続可能性だ。

共同創業者のZotter氏は次のように語り、タンパク質源としての海藻の可能性を強調している。

「海藻は、サステイナブルで、高品質なタンパク質源として計り知れない可能性を秘めています。コスト・スケールの点で大豆に打ち勝つポテンシャルが海藻にはあります。

海藻を使った商品は、1㎏あたりえんどう豆より安いですし、大豆と比べると、1エーカーあたりのタンパク質生産量は10倍になる可能性があるのです」

海藻は、苛酷な環境下で、肥料やきれいな水がなくても早く成長できるほか、収量も多い

また、すべての必須アミノ酸に加え、ビタミンB12、タンパク質、食物繊維を含んでおり、含有タンパク質は45%と大豆の34%よりも高い

そして、海藻ベースの植物肉は味がよく、人々が動物肉に求める風味があるという。

たとえば、ダルスという紅藻は調理するとベーコンの味がするとされ、オレゴン州立大学の研究者はダルスに関する特許を取得している。

共同創業者・CEOのBeth Zotter氏 出典:Trophic

Trophicが使うのは紅藻のなかでもRhodophytaと呼ばれるもの。

海藻のゲルのような特性が、筋肉全体を模倣する三次元構造を可能にすることから、ブロック肉の開発に特に関心をもっている。

Trophicによると、植物ベースの食品は調理過程で油と水分を失うため、ジューシーなステーキやバーガーを模倣するのは難しい。

これに対し海藻は保水力が高く、水分と脂肪のある商品になる。

紅藻由来の代替肉は焼くと色が変わる

インポッシブルフーズの代替肉は、コア技術「ヘム」によって焼くと赤色が茶色になる。

Trophicによると、同社の紅藻由来の代替肉も調理したときに色が茶色になるという。ただし、「ヘム」は使っていない。

調理するときれいに焦げ付くことは、Trophicにとって大きなサプライズだった。

ビヨンドミートが色をつけるためにビートジュースを使っているのに対し、天然の赤色が調理すると茶色になることは、肉と感じる視覚効果に訴えるうえで大きなメリットとなる。

同社が現在、紅藻に注力する理由がここにある。

Trophicの紅藻ベースのタンパク質 出典:Beth Zotter氏

といっても、ほかの海藻を使う可能性がないわけではない。現在は紅藻ベースのタンパク質を開発中だが、褐藻や緑藻も試してみたいと考えている。

Trophicは海藻を特別なタンパク質源とするのではなく、コスト、ボリューム、栄養面で大豆に匹敵する新しい「主要な」タンパク質源にすることを目指している。

米国エネルギー省が支援する沖合養殖プロジェクトを主導

Trophicはタンパク質源として何がベストな海藻かはまだ最終決定していないが、タンパク質源の主役を変え、可能な限り早くに大量生産することをゴールに掲げる。

持続可能で量産可能なタンパク質源となる可能性がある海藻だが、現在は、手動の収穫機をつかって個々の漁業者が収穫しているという。

Trophicは海藻の収穫を機械化し、収率を上げるために、ロボットを開発している。

これは米国エネルギー省の部局の1つであるARPA-E(エネルギー高等研究計画局)プロジェクトの一環で、ニューハンプシャー大学らとともにTrophicがプロジェクトを主導、高収量かつ低コストの沖合養殖技術を設計・開発している。

このプロジェクトでは、環境に優しいアンカーを搭載したロボットを開発し、概念実証を実施している。

米国エネルギー省は再生可能エネルギーのためにこのプロジェクトを支援しているわけだが、Zotter氏は、同じ技術を活用することで、海藻を最も持続可能で、スケーラブルなタンパク質源とできると考えている。

海藻ベースのタンパク質をできるだけ早期に量産するために、Trophicは沖合養殖技術にも取り組んでいるわけだ。

このプロジェクトが成功すると、開発中のシステムで1トン(乾燥)あたり80ドル以下という低コストで高収量の海藻生産が見込めるという。同プロジェクトは2022年12月に終了する予定。

TrophicはこれまでにARPA-E のほかに、Good Food Institute (GFI)からも出資を受けている。

ジェフ・ベゾス氏も海藻市場に注目

TrophicはB2Bで原料を供給するビジネスモデルを想定している。

現在は研究室で濃縮物を生産しているが、食品会社にサンプルとして提供するには十分な量ではない。次のステップとして、パイロット規模のフェーズに移行し、1バッチあたり1kgから10kgを生産したいと考えている。

Trophicが目指すのは、すべての必須アミノ酸、ビタミンB12を含み、色も食感も風味も申し分ない代替肉

海藻は肥料もきれいな水もない苛酷な環境で早く簡単に成長するうえ、二酸化炭素を吸収するので、代替タンパク質の原料として大量生産すれば、気候変動に寄与する効果も大きい。

出典:Trophic

低コストでの量産が実現すれば、大豆、えんどう豆などに代わる、申し分のない代替タンパク質源となる。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は昨年11月、ベゾス地球基金から1億ドルを、新しい海藻市場の開拓のために世界自然保護基金に支給した。

Grist誌のインタビューの最後でZotter氏は、来年の目標として、ベゾス氏に海藻ベースのタンパク質で作ったマグロの刺身を提供したいと語っている。

来年には大豆、えんどう豆に代わる海藻由来の代替肉が主流になっているかもしれない。今後の動向に注目したい。

 

参考記事

This startup says seaweed is the secret to a better faux burger — and a healthier climate

Trophic Is Using Seaweed To Develop The Planet’s Most Sustainable Protein

Trophic explores potential of red seaweed protein concentrate as multi-functional ingredient in plant-based meat, seafood

 

アイキャッチ画像の出典:atlantisgozo.com

 

 

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