代替プロテイン

マクドナルドが植物肉バーガー「マックプラント」の試験販売をスウェーデン・デンマークで開始

 

マクドナルドはデンマークとスウェーデンで植物肉バーガー「マックプラント」の販売を開始した。

期間限定だが、マクドナルドのメニューに「植物肉バーガー」が加わることとなる。

マクドナルドが使うパテは、米ビヨンドミートと共同開発したもの。

出典:Bloomberg

主原料はエンドウ豆で、Bloombergの報道によると、2番目のタンパク質源として米を使っている。

デンマーク、スウェーデンで提供されるマックプラントは、チーズ、レタス、トマト、ピクルス、オニオン、マヨネーズ、ケチャップ、マスタードをトッピングしたもの。

といっても、従来の動物肉パテを焼くグリルを使うため、ヴィーガン向きではない

今回のマックプラント販売は完全導入ではなく、スウェーデンでは3月15日まで、デンマークでは4月12日までと、期間限定の販売となる。

マックプラントはビヨンドミートのパテを使用しているが、今後もビヨンドの代替肉を使うかについてはマクドナルドは明言していない。

マクドナルドは2019年にカナダでビヨンドバーガーの試験販売をしたが、今後、アメリカで本格導入になるかなど、まだ不透明なことが多い。

ファーストフードで高まる植物ベース熱

確認している限り、マクドナルドが植物肉をメニューに完全導入しているのは、香港とマカオのみ。

香港・マカオのマクドナルドは、昨年10月より全店舗でグリーンマンデー傘下オムニフーズが開発したオムニポークをメニューに導入している。

出典:マクドナルド香港

さまざまなファーストフードチェーンを見る限り、マクドナルドは植物肉のメニュー導入について、動きが遅いようにみえる

たとえば、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)はアメリカでは植物肉をメニューに完全導入していないが、カナダでは代替チキンを完全にメニューに導入している。

本国アメリカではマクドナルド同様、ビヨンドミートとコラボして何度か試験販売を実施している。

今年になってからは、シンガポールで期間限定で導入を発表した。このパテはマイコプロテインを原料としている。

現在は、ロシアの3Dプリンター企業と協業し、培養肉と植物肉のハイブリッドチキンも開発しており、使用するサプライヤーを限定していない。

出典:マクドナルド

バーガーキングも植物肉メニューの導入を進めている。

昨年12月には中国の一部店舗で植物バーガーを導入、今年第2四半期からは全店舗で植物肉パテを導入する予定であることを発表している。

中国、南米などの地域では、植物肉売上向上を掲げるユニリーバと提携しているためメニューへの導入が進んでいる。ユニリーバは現地での生産工場の建設計画も進めている。

日本では期間限定でプラントベースワッパ―を販売している。

バーガーキング日本でも植物肉バーガーを期間限定で販売している

スターバックスにいたっては、今月、インドネシア全土で植物ベース肉の導入を発表した。インドネシア発の代替肉企業と提携していることも注目に値する。

さらに、シアトル近郊のある店舗ですべてのメニューを100%植物性にするテストを実施していたことを最近明らかにしている。具体的な店舗名は明らかにされていないが、100%植物メニューに転換したテストはすでに終了したようだ。

マクドナルドはデンマーク・スウェーデンでの反応を見て、ほかの国でもまもなく代替肉を発売するとしている

ファーストフード巨人がいつのタイミングで植物肉バーガーをメニューに完全導入するのか、次の国はどこなのか気になるところだが、数年以内に完全導入が進むのは間違いないだろう。

 

参考記事

McDonald’s Starts Testing McPlant Burger in Europe

McDonald’s Quietly Rolls Out McPlant Burger in Test Markets

McPlant Launch: McDonald’s Trials Beyond Burger Patty In Sweden & Denmark

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:news365.co.za

 

関連記事

  1. 米培養肉Upside Foods、カリフォルニアに培養肉工場を開…
  2. 動物油脂のようにふるまう植物油脂を開発するLypid、約4.7億…
  3. 味の素がイスラエルの培養肉企業スーパーミートに出資、培養肉の商用…
  4. パーフェクトデイ、精密発酵の「biology-as-a-serv…
  5. 幅広い植物肉製品を開発するHungry Planetが約27億円…
  6. ビヨンドミートの新商品ソーセージ、10月から全米の食料品店で販売…
  7. Change Foodsが約13億円を調達、精密発酵の市場投入を…
  8. 韓国の代替肉企業Zikooinが約26億円を調達、植物肉工場を来…

おすすめ記事

「砂糖を再発明する」妥協なき代替砂糖の開発に挑戦するイスラエル企業Resugar

完全に天然由来でありながら、100%砂糖のような代替品を開発するイスラエル企業が…

卵黄・卵白に分かれた植物ベースの全卵を開発するFloat Foodsが約1億8000万円を調達

シンガポールを拠点とするフードテック企業Float Foodsが、シードラウンド…

Fooditiveが精密発酵による代替ハチミツ開発を発表

イメージ画像さまざまな植物由来成分を開発するオランダのスタートアップ企業Fo…

FDAがSensientのチョウマメ由来の青色着色料を承認

FDAがSensientのチョウマメ由来の抽出物を着色料として承認した。Sens…

培養肉企業MeaTechが約100グラムの3Dプリントされた培養ステーキ肉の生産に成功

イスラエルの培養肉企業MeaTechは今月、バイオ3Dプリンターを用いて104グ…

DICがスピルリナ由来ヘムを開発する米BYASに出資を発表

DICは、藻類由来製品の事業拡大のために米Back of the Yards A…

次回Foovoセミナーのご案内

精密発酵レポート好評販売中

培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/30 17:28時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/30 21:10時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/30 14:42時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/31 07:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/30 17:17時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP