コオロギタンパク質粉末を開発するEntomo Farms(エントモファームズ)が370万カナダドル(約3億円)を調達した。
今回のラウンドを主導した投資家は公開されていない。
エントモファームズはカナダ・オンタリオを拠点とする北米最大の食用コオロギを養殖する企業。
さまざまなコオロギ商品を開発しており、同社のコオロギ粉末で、クッキーやマフィンを作ったり、スムージーにしたりできる。
商品は、コオロギ由来のタンパク質粉末から、焼き菓子用のコオロギ粉末、ローストされたコオロギそのものの商品、コオロギ由来のスナックバーやスムージー粉末などさまざま。
ペットフード、肥料用にコオロギを他社へ提供もしており、日本では昆虫食のentomo社が食品企業にエントモファームズの食用コオロギを卸販売している。
エントモファームズは今回の資金で、シェアを拡大し、ブランド認知度を向上させたい考え。現在は約5570㎡規模の生産施設を有している。
コオロギ由来のタンパク質に抵抗のある人は多いが、コオロギは動物肉とほぼ同じタンパク質を含有することがわかっている。
動物肉とコオロギなどの昆虫の栄養素を比較した論文によると、コオロギは動物肉と比較して、タンパク質を十分に含有し、鉄分・カルシウムでは動物性タンパク質より優れていることがわかる。
論文をもとにまとめた下記表からも、コオロギが非常にすぐれた栄養食であることがわかる。
タンパク質 | 脂肪 | 鉄分 | カルシウム | |
牛肉 | 20.6 | 9.3 | 1.95 | 5 |
鶏肉 | 19.9 | 7.2 | 0.88 | 8 |
豚肉 | 20.1 | 12.4 | 0.8 | 7 |
コオロギ | 20.1 | 5.06 | 5.46 | 104 |
※食用部分100gあたりの内訳
エントモファームズの公式サイトによると、コオロギにはほうれん草の2倍の鉄分、サーモンの10倍のビタミンB12、牛肉の3倍のタンパク質、バナナの3倍のカリウム、大豆の2倍のタンパク質があるという。
また、畜産と比較して、昆虫生産で使用する水、土地、エネルギーは少なくすみ、サステイナブルなタンパク質源といえる。
海外の主な昆虫食スタートアップ
エントモファームズのようにコオロギを原料にタンパク質をつくる企業には、ベトナム発のCricket Oneがいる。コオロギからタンパク質やオイルを作っている。
昨年11月にバーガー用パテ発売のために資金調達した。Cricket Oneは食品の口当たりが滑らかになるように、外骨格を取り除いている。
フィンランド発のEntisは、オールミルクに混ぜるタイプのコオロギプロテイン粉末や、チョコレート風味を加えたシリアルタイプの商品を自社DtoCサイトで販売している。
コオロギではないが、バッタを原料にタンパク質を作るイスラエル企業Hargolもいる。Hargolも昨年、約3億円を調達している。
日本に古くからある昆虫食・イナゴ
日本には昔から昆虫を食べる習慣がある。
いまの20代、30代の人でイナゴの佃煮を食べたことある人は少ないだろうが、私のように30代でも、子供のころからイナゴの佃煮を当たり前に食べてきた人はいる。
今でも観光地の多くには、イナゴの佃煮が販売されているし、アマゾンでも買える。
イナゴの佃煮に囲まれて(?)育った身としては、昆虫由来のタンパク質粉末に抵抗のある人が多いことに驚いてしまう。
いちど食べると、その小魚・エビのような食感と味わいに驚くはず。わたしの薦めで30後半にしてイナゴの佃煮に出会い、今では白米にのせて食べる友人もいるほどだ。
日本人にとってとても身近で歴史のあるイナゴの佃煮。
手軽に始められる昆虫食なので、ぜひ食べてみてほしい。
参考記事
Entomo Farms Raises $3.7M CAD for Cricket Protein
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アイキャッチ画像の出典:エントモファームズ