代替プロテイン

草食動物の腸内細菌で代替タンパク質を開発する米SuperBrewed Food、今年中にビーガンチーズの市販化へ

 

アメリカ企業SuperBrewed Foodは、今年中に微生物発酵により開発されたアニマルフリーなチーズを市場へ出す予定でいる。

同社の微生物発酵で作られる発酵タンパク質(ブランド名はTBD)は、まずモッツアレラチーズ、チェダーチーズ、クリームチーズなどの商品として市販化される。

微生物発酵は近年注目の分野の1つで、酵母(イースト)、菌類などさまざまな微生物を使ったタンパク質の開発が世界中で進んでいる。

その中でも、SuperBrewed Foodは草食動物の腸に存在する微生物にヒントを得て、代替タンパク質の開発に取り組んでいる。

2022年初頭に大量生産へ

今年市販化する製品はブランド食品となるが、共同創業者のブライアン・トレーシー氏(Bryan Tracey)は、将来的には原料として提供する可能性もあることを明かしている。

同社は現在、アメリカのデラウェア州にあるパイロット工場で生産しているが、最近、ミネソタにある大規模エタノール生産工場を購入した。

出典:SuperBrewed Food

この工場は、2022年の早い段階で発酵タンパク質の大量生産を開始するために現在改装中だという。

ミネソタの工場は年間2万トンの生産能力になることが見込まれ、これはハンバーガー10億個分、ピザ5億枚分に相当する規模となる。

ビタミンB12を豊富に含む発酵タンパク質

SuperBrewed Foodの発酵タンパク質の強みは、ビタミンB12の含有量だろう。

ビタミンB12は、動物性食品を摂らないビーガンの人々に不足が心配される栄養素で、多くの場合、サプリメントで補給されている。

SuperBrewed Foodのタンパク質粉末の場合、スプーン1杯で1日に推奨されるビタミンB12の25%を摂ることができる。

ゴリラに着想を得る

トレーシー氏はゴリラが草食動物でありながら、植物だけでいかにして大きな体になるのかに着目した。

答えはゴリラの腸壁にあった。

腸にいる微生物のおかげで、ゴリラは植物だけで大きく成長できることがわかった。

「わたしたちは、さまざまな動物に含まれる微生物叢を調べました。すると、タンパク質の専門家ともいえるものを見つけたのです。これが、食物を消化して、成長するための栄養素を届けていたのです」(トレーシー氏)

 

SuperBrewed Foodのタンパク質粉末は非公開の草食動物から抽出した腸内細菌に、砂糖を与え、増殖させて作られる。

同社は低コストな嫌気的条件下で細菌(細菌は微生物の1つ)を増殖する。細菌が増殖した後、洗浄し、乾燥させたものがタンパク質粉末となる。

代替タンパク質の注目分野である微生物発酵

共同創業者のブライアン・トレーシー氏 出典:SuperBrewed Food

SuperBrewed Foodのように、微生物を使ってタンパク質を生産する技術は「微生物発酵」というカテゴリーに入る。

微生物発酵による代替タンパク質は、畜産と比べて使用する土地と水が少なく、排出される温室効果ガスも少ない。動物や熱帯雨林に害を与えることなく、タンパク質を効率的に生産できる。

こうしたメリットから代替タンパク質の第3の柱とされ、投資も取り組む企業も急増している分野だ。

微生物発酵でタンパク質を作る企業の大部分は、バイオマス発酵と精密発酵に分類される。

両者の違いを説明すると、微生物を培養して食用タンパク質にするのがバイオマス発酵、

「生産工場」として微生物を使い、最終産物には分泌物だけが残るものが精密発酵となる。

 

SuperBrewed Foodはバイオマス発酵に分類される。

これに対し、精密発酵の代表格であるパーフェクトデイは、微生物に乳タンパク質を作るDNAを組み込み、微生物に乳タンパク質を作らせる。

出典:SuperBrewed Food

パーフェクトデイは遺伝子組換えされた酵母を使用する(最終産物には遺伝子組換え酵母は含まれない)が、SuperBrewed Foodは遺伝子組換えされていない微生物を使用している。

具体的には人間の腸にも存在するある細菌を使用しているという。

バイオマス発酵では全食品成分を生成するため、細胞を壊してタンパク質を抽出する細胞破砕の工程が不要となる。

つまり、精密発酵よりも生産工程が簡略化されている。ろ過により収穫される生成タンパク質を洗浄すれば、すぐに使える状態になるという。

SuperBrewed Foodのようにバイオマス発酵でタンパク質を開発する企業にはジェフ・ベゾス氏などが支援するNature’s Fynd、Meati Foodsがあるが、酸素を必要としない嫌気的条件で低コストで生産できる点が、2社と違う点だという。

まもなく追加のラウンドを実施

非営利団体のGFIが2013年に追跡を始めてから、発酵タンパク質企業に集まった投資額は10億ドル以上になる。

このうち2020年の調達額は、2013年から2020年の7年間に集まった調達額の約6割を占め、発酵タンパク質への注目度は高まる一方だ。

すでにアニマルフリーのチーズ、パテ、ハチミツ、アイスクリーム、脂肪に取り組む企業が登場している。

SuperBrewed Foodはブライアン・トレーシー氏とタリー・ソメック氏(Talli Somekh )によって2016年に設立されたニューキャッスルを拠点とするスタートアップ企業。

これまでに4500万ドル(約49億円)の出資を受けており、生産をスケールアップするため、まもなく追加の資金調達を実施する予定でいる。

 

参考記事

Dairy-free cheeses featuring novel fermented microbial protein to launch by year end, says Superbrewed Food

SuperBrewed Foods Uses Fermented Microbes to Create High-Protein Plant-Based Alternatives

 

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アイキャッチ画像の出典:SuperBrewed Food

 

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