ロボット

ピザ組み立てロボットを開発するPicnicが約17億円を調達

 

ピザ組み立てロボットを開発するPicnicがシリーズAラウンドで1630万ドル(約17億円)を調達したことを発表した

Picnicはシアトルを拠点とするスタートアップで、ピザのトッピングを自動化するピザ組み立てロボットを開発している。

先日開催されたArticulATE: The Food Robotics Summitにも登壇した。

同社は調達した資金で、チーム・装置導入の拡大を図る。

レストランの負担を軽減するPicnicのピザ組み立てロボット

出典:Picnic

Picnicのピザロボットは、ピザ設置部、ソース部、材料部などのユニットが一列に配列されており、ベルトコンベヤーに置かれたピザ生地が移動しながら、ディスペンサーからソース、トッピングが順になされる仕組み。

1時間あたりピザ数百枚トッピングが可能なため、人的コストを大幅に削減できる。

また、タブレットで設定完了後は、ロボットが正確に材料、ソースを分注するため、人手による材料の配置にばらつきが生じることを回避でき、材料のコスト削減につながる。

レストランのピザの種類に応じて、モジュールの数を自由にカスタマイズできる。

出典:Picnic

レシピにもよるが、ピザの焼き上げ時間は約6分。顧客が使用しているオーブンを組み込んで使用する。

月毎の定額制で先行投資の必要はない。配達から設置、メンテナンスまですべて無料。

大きさは約213cm(幅)×142cm(高さ)×約101cmとコンパクトで、比較的狭い場所にも設置できる。

Picinicのロボットを導入することで、街のレストランでピザ製造の大部分を自動化できる。

これまでにT-Mobile Parkラスベガス・コンベンション・センターに試験導入している。

人手不足を緩和し、材料コストの削減に

出典:Picnic

Picnicのようなレストラン裏方の負担を軽減するロボットには、コロナウイルスの感染が収束しない今、人と食材の接触を最大限に減らすと同時に、フードロス削減人的コスト削減を実現し、利益率を上げられるというメリットがある。

ピザの作成ではトッピングが大部分の時間を占める。

特に、人どおりの多いエリアでは、短時間に大量のピザを作ることが求められる。単調だが工数の大部分を占めるトッピングを自動化することで、スタッフは顧客対応など、より付加価値のある作業に従事できる。

また、機械によるトッピングは正確であるため、材料を載せすぎることがなく、材料のコスト削減、フードロス削減につながり、結果的に利益率の向上をもたらす。

さらに、人が行うトッピングに比べ、機械であれば感染リスクを下げることもできる。

出典:Picnic

今回の資金調達は、Thursday Venturesが主導し、Creative VenturesFlying Fish PartnersVulcan Capitalなど既存投資家が参加した。

Picnicのこれまでの調達総額は3420万ドル(約37億円)となる。

資金調達ニュースと併せ、新たな戦略的パートナーシップも発表された。

この中には、ピザやピザ具材を世界中の小売に供給する大手サプライヤーであるOrion Land Mark (OLM)がいる。

OLMは世界中の2000以上に顧客ネットワークを有しており、この中にはレストラン、ピザ屋、コンビニ、軍事基地、大学、スポーツスタジアムなどが含まれる。

OLMの広大なネットワークを通じてPicnicのピザ組み立てロボットがOLMの顧客に導入されていく可能性は高い。

ラスベガス・コンベンション・センターで開催されたCES2020での様子 出典:Picnic

Picnicのように、レストランの負担を軽減するピザロボットを開発する取り組みには他に、エックスロボティクスがある。

ピザを載せたルンバのような円盤が回転しながら、装置内を移動し、ソースがけ、トッピングがなされる。全体の流れはPicnicと似ているが、装置が一体化されているため、モジュールを増減することはできない。

ドミノピザなどは、ピザの配送に自動運転ロボットを導入しているが、今後は店内に、Picnicやエックスロボティクスのようなピザ組み立てロボットが導入されることも考えられる。

 

参考記事

Picnic™ Raises $16.3 Million to Accelerate Growth and Adds Several New Strategic Partners

Pizza Robot Company Picnic Raises $16.3M Series A, Adds Strategic Partners

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Picnic

 

関連記事

  1. ZIKIがロボットキッチンのBowlton Kitchensを買…
  2. 米Bridge Appliancesが開発した卵調理を自動化する…
  3. オランダのEatch、1日最大5000食を調理できるロボットキッ…
  4. 国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2024が1…
  5. Simbe Roboticsが在庫管理ロボットTally3.0を…
  6. 米ColdSnap、常温ポッドから2分で作れるソフトクリームマシ…
  7. 800DegreesとPiestroが提携し完全自動のピザ自販機…
  8. フードテックの祭典Smart Kitchen Summit 20…

おすすめ記事

Betterland foodsがパーフェクトデイのアニマルフリーなホエイタンパク質を使ったチョコレートバーを発売

持続可能性を重視した食品を開発するスタートアップ企業のbetterland fo…

ピザ自販機のカナダ企業PizzaFornoがアメリカへ進出

新型コロナの発生により、自動販売機が新しく生まれ変わろうとしている。日本…

ビーガンハチミツのMeliBio創業者に聞く|精密発酵によるハチミツの開発とターゲット市場

「地球上からミツバチが消えたら、人間は4年しか生きられない」というアインシュタイ…

細胞農業(細胞培養・精密発酵)で代替母乳を開発するスタートアップ企業9社

健康上の理由、仕事による必要性、母乳が出ないなどの理由により授乳できない母親とそ…

培養肉企業のパイオニア、モサミートがオランダに培養肉工場を開設

オランダを拠点とする培養肉企業モサミートは今月、オランダ、マーストリヒトに2,7…

植物性チーズを開発するスウェーデン企業Stockeld Dreamery、今年前半に初商品の発売へ

植物性チーズのシェアは大きくないが、代替チーズに取り組む企業は増えつつある。…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/17 15:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/18 01:00時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/17 04:59時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/17 21:09時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/17 13:14時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/18 00:15時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP