代替プロテイン

Orbillion Bio、欧州35ヵ国への培養牛肉販売に向けてパートナーシップを拡大

 

アメリカを拠点とするOrbillion Bioは欧州での培養肉上市に向けて、オランダの食肉卸業者Luiten Foodと提携したことを発表した。二社の提携で、Orbillion Bioは2025年までに欧州の35を超える国で高級培養肉の市場投入を目指す。

外食産業、専門小売店、肉屋など1200以上の流通チャネルを持つLuiten Foodとの提携により、Orbillion Bioの培養和牛肉の市場への道筋が確立される。

Luiten Foodはオーストラリア最大の家族経営の赤肉加工業者・卸売業者Thomas Foods International Groupのメンバーであることから、二社の提携により、Orbillion Bioの培養肉が海外市場へ展開される可能性もある。

Orbillion Bioはヘラジカ、子羊、和牛など高級培養肉の開発に焦点をあてており、早ければ2026年までに牛肉製品と同等価格を実現できるとしている

Barclaysによると、培養肉の市場規模は2040年までに4,500億ドル規模に達するペースで成長している。従来の畜産と比較して、培養肉の生産で使用する土地と水は95%、78%少なく、排出される温室効果ガスは92%削減できるとされている。

出典:Orbillion Bio/Luiten Food

Luiten Foodでマネージングディレクターを務めるLennert Luiten氏は、「将来に焦点をあててきたため、84年以上にわたって成功を収めることができました。今、それは持続可能な肉です(中略)。最高品質の肉を仲介するという当社の強みを、将来の食料供給の大部分を占める分野でいかせることを嬉しく思います」とコメントしている。

Orbillion Bioは2019年設立のスタートアップ企業で、昨年5月にはシードラウンドで約5.4億円を調達した。

現在、培養肉が唯一販売されているのはシンガポールとなり、Orbillion Bioが欧州で培養肉を販売するためには規制がハードルとなる。二社は、承認プロセスを共同で管理するという。

培養肉の市場投入に向けて、スタートアップと販路を持つ企業とのパートナーシップが増えている。

イスラエルのスーパーミートは今年7月、スイスの小売大手ミグロスと提携した。フューチャーミートはネスレとの提携に加え、アジア市場に向けた製品開発でタイ食品大手CPフーズと提携している。

今年100億円を超える資金調達を実施した培養サーモンを開発するWildTypeも、全米で展開するレストランと提携するなど、各社、認可取得後に向けた取り組みを強化している。

 

参考記事

Cell-Cultured Meat Pioneer, Orbillion Bio, Partners with Premium Meat Powerhouse, Luiten Food, to Bring The World’s First Cell-Cultured Wagyu Beef to Europe

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Orbillion Bio

 

関連記事

  1. 培養肉セミナー動画(日本細胞農業協会理事・岡田健成氏)|2024…
  2. 牛に頼らず酵母で乳タンパク質を再現するフランス企業Bon Viv…
  3. 精密発酵で乳タンパク質を製造するImagindairyが約14億…
  4. 培養シーフードのShiok Meatsが生産コスト50ドル/kg…
  5. ネスレがマレーシアに植物肉工場を建設&乳製品フリー「ミロ」を発売…
  6. 2021年の代替タンパク質投資額は50億ドルとGFIが報告、20…
  7. 果物の廃棄物を活用して精密発酵脂肪を開発するZayt Biosc…
  8. 高級培養肉Orbillion Bioが日本初登壇|Food-Te…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

フィンランドの研究チームが精密発酵による代替卵白の開発に成功

フィンランドの研究チームは精密発酵技術により、動物を使うことなく卵白タンパク質の…

イスラエル農務省が設立した培養ティラピアを開発する培養魚企業E-FISHient

イスラエルで新たに培養シーフード企業E-FISHientが設立された。イ…

ScaleUp Bio、微生物発酵の商用施設についてシンガポール当局から食品製造ライセンスを取得

食品に特化した精密発酵・液中発酵施設のCDMOであるシンガポール企業ScaleU…

培養ウナギ肉の開発に取り組む北里大学・池田大介准教授にインタビュー

写真はイメージ画像日本で江戸時代から食されてきたウナギは絶滅危惧種に指定…

ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売

ビヨンドミートが北米で代替鶏肉商品を発売した。そら豆・えんどう豆を原料に…

Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証、欧州進出に向けて提携パートナーを探索

精密発酵でカゼインを開発するオランダ企業Fooditiveは試作製造が成功し、欧…

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(07/26 13:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 22:36時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/27 02:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/26 19:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/26 11:34時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(07/26 22:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP