アグテック

フードロス削減のために米Surge Alertが開発した気候モニタリングデバイス

 

フードロスを減らすため、ニューヨークを拠点とするSurge Alertは24時間稼働する温度・湿度・光をモニタリングするツールを開発している。

Surge Alertの主力製品はビーコン(標識)という小さなデバイスで、温室、低温輸送車、レストランのウォークイン冷蔵庫・冷凍庫や農場に設置する。

ビーコンは最も重要な指標である温度、湿度と、植物の成長率に影響を与えるをモニタリングする。

温度が高すぎるなど指標に変化が生じると、ユーザーはSurge Alertのアプリでアラート通知を受ける仕組みとなる。

https://youtu.be/VkKaczwkop4

商品は、ビーコン、ゲートウェイ、アプリから構成される。

使い方は、モニタリングしたい場所にビーコンを設置する。ゲートウェイは、ビーコンから300フィート(約91メートル)以内に設置する。

ビーコンはバッテリー駆動で、冷蔵庫では1年間、冷凍庫では6~8ヵ月持続する。ゲートウェイには有線タイプに加え、太陽光発電タイプも用意されている。

1つのゲートウェイに接続できるビーコンは最大25個。

出典:Surge Alert

Surge Alertはこのソリューションがフードロス削減にどれほど寄与するかを確認するため、一部の農場で試験を実施した。

温室に試験導入したウィスコンシン州の農場では、冬に夜間、温度が著しく低下した際、農家はアラートを受領し、作物が損傷を受ける前に温度を調整することができた。

Surge Alertのソリューションは食品サプライチェーンのさまざまな場面で適用できる。

公式サイトには、温室、レストラン、ワインセラー、輸送など場面別のアプリケーションが紹介されている。

出典:Surge Alert

例えば、生鮮食品を適切な状態で目的地まで届けるには、輸送中に一定の温度と湿度を維持する必要がある。

多くの場合、輸送車に運転手は冷却ユニットに誤作動が発生したことを知る方法がない。現に、食品の40%以上は、輸送・流通プロセスにおいて損傷を受けている

閾値を超えたらアラートを伝えるSurge Alertを導入することで、輸送過程での損失を事前に防ぐことができ、収益向上を見込める。

また、Surge Alertは食品だけでなく、ペットの熱射病予防にも活用できる

出典:Surge Alert

車や家にペットを置いていかなければならない状況で、車内や自宅にSurge Alertを設置しておくことで、アラートを受信して、危険を察知することが可能となる。

現在、Surge Alertは公式サイトで、レストラン、食品企業、農家、販売業者、個人などの消費者向けにスタートキットをはじめとする各商品を販売している。

この記事を執筆している時点で、3ヵ月無料キャンペーンを実施している。

気候モニタリングのソリューションを導入している企業はSurge Alertだけではない。

室内農場企業のBrightFarmsElement Farmsは独自プラットフォームを導入して気候をモニタリングし、栽培に最適な温度、湿度などの条件を算出している。

iUNUは、コンピュータービジョンとAIを活用し、温室ハウス内のレールを移動することで、それぞれの作物の成長状態や成長率をリアルタイムでモニタリングできるツールを開発している。

 

参考記事

Surge Alert Uses Climate Monitoring Devices and IoT Technolgy to Reduce Food Waste

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Surge Alert

 

関連記事

  1. Oishii Farmが進める植物工場のパッケージ化|年内に国内…
  2. 英Tropic、「12時間変色しないバナナ」をゲノム編集で開発|…
  3. 植物工場のスプレッドが40億円を調達、代替肉・いちごの新規事業を…
  4. 【5/29】持続可能な畜産業に向けた江田畜産の挑戦|畜産セミナー…
  5. バナナの追熟をAIで予測する米Strellaのソリューション
  6. ポーランドのFresh Insetが開発した鮮度保持シール「Vi…
  7. Colloが開発した、電磁場を利用して牛乳工場の損失を防ぐ「液体…
  8. ポーランド企業Fresh Insetセミナー動画(英語)|202…

おすすめ記事

家庭調理ロボット「Posha」、シリーズAで約11.6億円を調達──“プライベートシェフ”として全米展開へ

家庭向けキッチンロボットを開発する米Posha(旧称Nymble)は今月6日、シ…

【現地レポ】シンガポール企業Preferの豆不使用コーヒーを実食|おから、廃棄パン、ビール粕をアップサイクルした持続可能なコーヒー

コーヒーに伴う環境負荷をご存知だろうか。コーヒーは世界的に人気のドリンク…

コーヒーかすを油脂に変換|英Revive Eco、廃棄物から持続可能な代替油脂を開発

廃棄されるコーヒーかすをアップサイクルする取り組みが増えている。イギリス…

精密発酵タンパク質のB2B生産プラットフォームを開発するFermify

オーストリアのFermifyは、精密発酵でカゼインタンパク質を生産する自社プラッ…

TurtleTreeが精密発酵によるアニマルフリーなラクトフェリンを発表、年内に市販化へ

TurtleTreeは今月、世界初となる精密発酵によるウシラクトフェリンを試食イ…

イート・ジャストの代替卵JUST Eggが欧州の安全性承認を取得

米イート・ジャストの代替卵JUST Egg(ジャスト・エッグ)の主要成分が、欧州…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/18 16:15時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/19 02:55時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/18 06:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/18 22:16時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/18 14:16時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/19 01:34時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP