植物ベース食品のアップデートに取り組む米フードテック企業Motif FoodWorksがシリーズBラウンドで2億2600万ドル(約249億円)を調達した。
このラウンドは、オンタリオ州教職員年金基金がTeachers’Innovation Platform(TIP)を通じて主導した。
合成生物学のユニコーン企業ギンコ・バイオワークス(Gingko Bioworks)のスピンオフベンチャーであるMotif FoodWorksは、植物ベース食品の食感、口当たり、味をアップデートさせる原料を開発している。
同社は精密発酵と材料工学を駆使し、植物ベースの肉や乳製品に少量添加することで、食体験に大きな違いをもたらす材料の開発に焦点をあてている。
昨年の時点では、研究機関と提携して9の成分開発に取り組んでおり、2021年第4四半期までに成分を市販化する予定だと報道されていた。
Foodnavigatorによると、同社の最初の成分は「植物肉の風味にとって業界で真のゲームチェンジャーとなる」とMichael Leonard氏が語る「筋タンパク」となる予定。
この成分は、ギンコ・バイオワークスの精密発酵技術(合成生物学によりターゲット分子を作るようプログラムされた微生物を使う技術)を使用して作られる。
Leonard氏はこの最初の商品について、今年後半に詳細を公表する予定だとFoodnavigatorにコメントしている。
精密発酵技術によってアニマルフリーな乳製品を作るプレーヤーが多く登場するなか、Leonard氏は「われわれは1つのテクノロジーに固執しない」と語る。
現に、同社は今年5月に溶けて伸びるチーズ、植物性霜降り肉の生産を可能とする技術の独占的使用権を獲得している(この技術に精密発酵技術は使用されない)。
投資家も、Motif FoodWorksが精密発酵だけに注力するのではなく、味、食感、栄養を改善するために全体的なアプローチを採用していることを評価している。
「われわれは1つのテクノロジーに固執しません。消費者の必要性を解決できる最適な技術を使用します。
つまり、この業界の他社よりも広いレンジを持っているのです」(CTOのMike Leonard氏)
植物ベース市場は2020年には27%成長して70億ドルになった。この成長率は、同時期のアメリカの小売食品売上の2倍近くとなる。
こうした成長にもかかわらず、市場にある植物ベース食品には、特に味と食感においてギャップが指摘される。
プレスリリースによると、アメリカ人の3人に2人は、植物ベース食品の味が今よりさらに改善されれば、動物肉ではなく、植物肉をもっと食べてもよいと回答している。
「植物ベース食品は、人類と地球に多大なメリットをもたらす可能性を秘めていますが、このためには、植物ベース食品が、消費者が動物食品に期待しているのと同じ、あるいは上回るものになる必要があります」(CEOのJonathan McIntyre氏)
Foodnavigatorによると、Motif FoodWorksは年内に最初の成分を商用化する予定。この成分は植物肉の風味を改善するためのものとなる。
2つ目の成分は、植物肉の食感を改善するもので、2022年の早くに市販化される予定。
Motif FoodWorksは昨年12月に、ボストン、シーポート地区に10600平方フィート(約984㎡)の最先端のオフィス・研究施設をオープンした。
今回調達した資金で、研究開発を進め、食品技術をスケールアップ・商用化し、チーム・施設を拡充する。同社のこれまでの調達総額は3億4500万ドル(約380億円)となる。
参考記事
Motif FoodWorks Raises $226M to Improve the Taste of Plant-Based Proteins
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アイキャッチ画像の出典:Motif FoodWorks