Foovo Deep

イスラエルのMarineXcell、独自の核初期化技術で細胞培養によるエビ、ロブスター、カニ開発に挑む【創業者インタビュー】

左からYosef Buganim教授Leonardo Berezowsky氏Gadi Lipiner博士(出典:MarineXcell)

 

培養肉の販売が認められていたシンガポール、アメリカに続き、今年1月にはイスラエルで培養牛肉の販売が認められた。

魚や甲殻類を含めた培養シーフードで販売を認められた国はまだないものの、スタートアップ数は増加の一途をたどる。Foovoの調査では、過去1年で培養シーフード企業は10社以上増え、39社が確認されている。

その1社が、独自技術で培養エビ、ロブスター、カニの開発に取り組むイスラエル企業MarineXcellだ。

海洋生物、特に甲殻類は畜産肉と比べ、幹細胞に関する情報・知見がないといわれるが、MarineXcellは非山中因子を使用する独自の核初期化技術で、培養シーフードを取り巻く種々の課題を克服できると考えている。

MarineXcellの共同創業者であるGadi Lipiner博士(最高経営責任者)、Yosef Buganim教授(最高科学責任者/ヘブライ大学教授)に話を聞いた。

甲殻類生産の課題

出典:MarineXcell

MarineXcellは培養甲殻類に取り組む理由として、甲殻類資源の90%が乱獲されていること、ロブスターなどの甲殻類は養殖が難しいこと、そして甲殻類細胞の培養を試みている企業がほとんどいないことを挙げた。

甲殻類は漁獲されるシーフード全体の6%にも関わらず、漁業による二酸化炭素排出量の22%を甲殻類が占めており、大量の燃料消費が指摘されている

細胞培養で甲殻類に取り組む企業は世界で3社確認されている。代表格のShiok Meatsは昨年、赤身肉を優先させることを発表していたが、先日、Umami Bioworksとの合併計画が発表された。米Upside Foodsは2年前に培養シーフード企業Cultured Decadenceを買収したが、その後の動きは確認できていない。3社目は、培養独島エビを開発する韓国のCellmeatだ。

2023年設立のMarineXcellは、これらの企業と比較して後発だが、他にも類を見ないBuganim教授の核初期化技術で培養エビ、ロブスター、カニの開発に挑戦している。

培養甲殻類を開発するMarineXcellの独自技術

Yosef Buganim教授 出典:MarineXcell

Marinexcellは、幹細胞と初期化分野で世界的に有名な研究者であるBuganim教授が研究開発をリードしている。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

インタビュー実施時期:2024年2月末

 

関連記事

 

関連記事

  1. 海藻由来の代替タンパク質を開発する米Trophic|大豆に代わる…
  2. 中国発の培養肉企業CellXが資金調達、2021年に試作品発表へ…
  3. カナダのTerra Bioindustries、使用済み穀物由来…
  4. スウェーデン企業Hooked Foodsがドイツのスーパー400…
  5. 精密発酵でヘムを開発するPaleoが約17億円を調達、植物性食品…
  6. 代替コーヒー開発の最前線:注目のスタートアップ10社とその市場投…
  7. 培養油脂のMission Barnsが食肉加工企業と提携、培養ソ…
  8. ビヨンドミートとペプシコの合弁会社Planet Partners…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

シンガポールの培養魚企業Umami Meatsが日本進出を発表

シンガポールの培養魚企業Umami Meats(ウマミミーツ)が日本進出を発表し…

オランダのUpstream Foods、植物シーフード向上のためサーモンの培養脂肪を開発

細胞由来・植物由来の代替肉や代替魚の開発が世界的に進む中、本物ならではの風味を補…

MeliBio、高級レストランで蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間限定で開始

精密発酵により蜜蜂を使うことなくハチミツを開発する米MeliBioが、サンフラン…

パーフェクトデイの精密発酵由来の乳タンパク質を使った牛乳が今夏、ついに市販化

今夏、精密発酵で作られたアニマルフリーな牛乳がアメリカで発売される。世界…

【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech Expo Asia 2022)参加レポート(代替タンパク質にフォーカス)

2022年10月26日~28日の3日間、シンガポールのマリーナベイ・サンズにある…

3Dプリンター製サーモンを開発するRevo Foodsが約1億9000万円を調達

3Dプリンターで植物性サーモンを開発するRevo Foodsが150万ユーロ(約…

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(07/27 13:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 22:36時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/27 02:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/26 19:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/27 11:34時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(07/26 22:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP