代替プロテイン

ケンタッキー、ビヨンド・ミートの代替フライドチキンを全米で販売

 

ケンタッキーフライドチキン(KFC)は5日、アメリカ企業ビヨンド・ミートの代替肉を使った植物性代替チキン「ビヨンド・フライドチキン」を全国販売することを発表した

今月10日より期間限定で、全米の店舗で販売する。

KFC、ビヨンド・フライドチキンを全米で販売

出典:ビヨンド・ミート

ビヨンド・フライドチキンはビヨンド・ミートがKFC提供用に開発した製品となる。

ビヨンド・ミートは2019年にカナダ、アトランタのKFCと提携して、1日限定でビヨンド・フライドチキンを発売した。この試験販売では2種類(ナゲットと骨なし手羽先)が提供され、5時間かからずに売り切れとなる盛況ぶりだった。

試験販売の成功により、KFCは2020年2月にも複数店舗で期間限定でビヨンド・フライドチキンを試験導入している。2回目も1週間で売り切れとなった。

そして今回、全米のKFCがビヨンド・フライドチキンを提供するに至る。

出典:ビヨンド・ミート

販売されるビヨンド・フライドチキンは、従来のチキンと同じグリルで調理されるため、ビーガンではない。3種類のソースもビーガンには対応しておらず、フレキシタリアンをターゲットとしている。

これはビーガンを疎外しているのではなく、肉好きな層にも代替肉を受け入れてもらい、製品を主流にもっていくまでの、消費者の反応を把握する移行的なプロセスといえる。

マクドナルド、ヤム・ブランズとの複数年パートナーシップ

2019年の試験販売時、アトランタKFCで列に並ぶ人たち 出典:ビヨンド・ミート

ビヨンド・ミートはファーストフード大手のマクドナルド、ヤム・ブランズとも提携している。

昨年2月、マクドナルドと3年間にわたるパートナーシップを締結。この契約により、ビヨンド・ミートはマクドナルドの植物肉バーガー「マックプラント」の優先サプライヤーの地位を獲得した。

マックプラントは、ビヨンド・ミートとマクドナルドが共同開発したもので、昨年、アメリカイギリス、スウェーデン、デンマーク、オランダ、オーストリアに導入された。アメリカでは8店舗での限定販売だったが、今年は販売をさらに拡大する計画を立てている。

出典:マクドナルド

ビヨンド・ミートは同時期にKFC、ピザハット、タコベルを運営するファーストフード企業ヤム・ブランズとも提携した。

中国KFCは2020年にカーギルの植物性チキンナゲットを試験導入していたが、ビヨンド・ミートとヤム・ブランズとの提携により、今後はアメリカ以外のKFCでもビヨンド・ミートの代替肉導入が進む可能性はある。

一方、KFC、マクドナルドの競合となるバーガーキングは、2019年8月にインポッシブルフーズの代替肉を全米で導入した。現在では日本を含め、世界的に地域毎にサプライヤーを使い分けて植物肉バーガーを販売している。

拡大する植物肉市場

出典:GFI

Good Food Instituteの報告によると、米国では動物性製品の代替品となる植物ベース食品の売上は2019年から2020年にかけて4億3000万ドル増加、約1.5倍に成長した。

出典:GFI

GFIは代替ミルク市場と比較して、植物肉には成長の余地があると推測している。植物ミルクが小売用ミルク売上の約15%を占めるのに対し、植物肉のシェアはまだ1.4%。植物肉が植物ミルクと同等のシェアに達すると考えると、植物肉にはまだ140億ドルの市場価値があることになる。

代替肉企業とファーストフード店のパートナーシップ拡大につれて、代替肉市場のさらなる拡大が予想される。

 

参考記事

KFC® AND BEYOND MEAT® DEBUT MUCH-ANTICIPATED BEYOND FRIED CHICKEN NATIONWIDE BEGINNING JANUARY 10

KFC Rolls Out Beyond Meat Fried Chicken Across the US – But Not Yet Vegan

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:ビヨンド・ミート

 

関連記事

  1. 微生物発酵でサステイナブルな着色料を開発するデンマーク企業Chr…
  2. 精密発酵で乳タンパク質を開発するBon Vivantが約24億円…
  3. ビヨンドミートが欧州での小売展開を拡大
  4. ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売
  5. タイソンが出資するNew Wave Foodsが代替エビをアメリ…
  6. 代替タンパク質を「ニッチ」から「定番」に:業界リーダーが語る普及…
  7. Yali Bioが植物由来の培養脂肪生産のためにシードラウンドで…
  8. バイオテック企業が培養ペットフードを開発するGood Dog F…

おすすめ記事

イート・ジャスト(Eat Just)の培養肉が世界で初めてシンガポールで販売承認を取得

このニュースのポイント●イート・ジャスト(Eat…

【現地レポ】シンガポール企業Preferの豆不使用コーヒーを実食|おから、廃棄パン、ビール粕をアップサイクルした持続可能なコーヒー

コーヒーに伴う環境負荷をご存知だろうか。コーヒーは世界的に人気のドリンク…

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foodsが日本で登録商標を取得

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods(旧称MeaTech)は…

2024年1月_Foovoセミナー動画・資料(精密発酵・植物分子農業・代替脂肪)

セミナー当日の様子2024年1月に開催したセミナー動画となります(告知ページ…

Motif FoodWorksが約249億円を調達、植物肉をアップデートさせる成分の市販化に向けて加速

植物ベース食品のアップデートに取り組む米フードテック企業Motif FoodWo…

2021年の代替タンパク質投資額は50億ドルとGFIが報告、2020年の約1.6倍に成長

代替タンパク質の普及を推進する非営利団体Good Food Institute(…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/19 15:00時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/20 00:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/20 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/19 21:02時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/19 13:05時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/20 00:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP