Foovo Deep

米イート・ジャスト、新しい培養鶏肉製品で再びシンガポール当局の販売許可を取得

 

アメリカのフードテック企業イート・ジャストが培養肉で再び快挙を成し遂げた。

同社の培養肉部門GOOD Meatは今月15日、新しい培養鶏肉製品の販売許可をシンガポールで取得したことを発表した。承認された培養胸肉はJWマリオット・ホテル・シンガポール・サウスビーチで今月に提供されるほか、来年にはシンガポールの屋台(ホーカー)で提供される。

イート・ジャスト、新しい培養肉製品で再び販売許可を取得

出典:イート・ジャスト

イート・ジャストが世界に先駆けて培養肉の販売許可を取得したのは1年前にさかのぼる

2020年12月、イート・ジャストは培養チキンナゲット(チキンバイツ)の形態で販売許可を取得した。販売1周年を迎えた今月、新たに培養胸肉の形態で承認された。

培養肉は、生きた動物から幹細胞を採取し、細胞をバイオリアクターで成長させてつくられる。家畜そのものの飼育が不要となるため、家畜を飼育するために広大な土地や飼育施設、それに伴う水、飼料などは必要ない。

培養肉が商品化されれば、これまでの食肉生産に不可欠であった広大な土地、大量の水、抗生物質が必要でなくなり、温室効果ガスの排出量を減らせるほか、動物に由来する感染症の発生を防ぐことができる。

出典:GOOD Meat、JW Marriott Hotel Singapore South Beach

現在まで、培養肉の販売を認めた国はシンガポールのほかにはない。シンガポール食品庁(SFA)が新たに培養肉製品を承認した背景には、2030年までに同国の食料自給率を30%に引き上げるという「30 By 30」の取り組みがある。

共同創業者兼CEOのジョシュ・テトリック氏は、培養肉を海外生産するうえで「シンガポールはハブ」になると昨年コメントしている

同氏は今回の承認を受けて、「昨年、世界では多くの変化がありましたが、変わらないことが1つあります。シンガポールがよりスマートで、持続可能なフードシステムへの世界的な変革をリードし続けていることです。最初の培養肉販売1周年に、今回の重要な承認と商品発表を再びシンガポールでできたことを嬉しく思います」とコメントしている。

GOOD Meat1社の調達額が昨年の培養肉投資額の7割以上に

出典:イート・ジャスト

イート・ジャストは今年4月、フードパンダと提携してシンガポールで培養肉料理のデリバリーを実施した。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:イート・ジャスト/GOOD Meat

 

 

関連記事

  1. 世界初!シンガポールOsomeFoodが開発したマイコプロテイン…
  2. 精密発酵:8ヵ月にわたる企業・政府動向の全記録【Foovo独自調…
  3. 精密発酵のImagindairy、シードラウンドの資金調達を約3…
  4. アメリカが培養肉販売を承認|GOOD Meat、UPSIDE F…
  5. Vowの培養ウズラ、豪州・NZで承認──FSANZ「食品基準コー…
  6. ScaleUp Bio 、食品用途の2つの精密発酵施設を来年シン…
  7. Current Foodsが生食用代替シーフードのDtoC予約販…
  8. 精密発酵カゼイン、シンガポールで初の新規食品申請|オーストリアの…

おすすめ記事

【世界初】シンガポールの小売店で培養肉の購入が可能に|米GOOD MeatがHuber’s Butcheryで新製品の販売を開始

世界で初めて培養肉を発売した米GOOD Meat(イート・ジャストの子会社)が、…

酵母から脂肪を開発するCultivated Biosciencesが約2.1億円を調達

植物由来乳製品の食感を改善するためにクリーミーな脂肪成分を開発するスイス企業Cu…

味の素、ソレイン使用のコーヒー飲料をシンガポールで限定販売|Preferの代替コーヒー原料を採用

出典:Solar Foods味の素は今月27日、フィンランドのソーラーフーズが開発した代替タンパ…

英Hoxton Farmsがロンドンに培養脂肪のパイロット工場を開設

培養脂肪を開発する英Hoxton Farmsは今月、ロンドンに初のパイロット工場…

米Wild Earth、2023年に細胞培養によるペットフード製品を市販予定

細胞培養で代替ペットフードを開発するWild Earthは先月、細胞由来のミート…

BioJapan2025で細胞性食肉の実物が複数登場—国内企業の実用化に向けた歩み【現地レポート】

Foovo(佐藤あゆみ)撮影10月8日-10日にパシフィコ横浜で開催された「BioJapan 2…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/21 16:26時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/21 03:06時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/21 06:41時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/21 22:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/21 14:26時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/21 01:48時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP