中国の培養肉企業Joes Future Food(周子未来)は先月、シリーズAラウンドで数千万元の資金調達を完了した。
2019年に設立されたJoes Future Foodは中国初の培養肉企業。同社は、中国の培養肉業界を100リットルバイオリアクターのパイロットスケールへと導き、業界をリードする存在となっている。
プレスリリースによると、Joes Future Foodは現在中国で唯一、100リットル規模を実現している培養肉企業だという。
今回の資金調達は、約12億円を調達した2021年10月のシリーズAラウンドに続くもので、中国上海のベンチャーキャピタルQiming Venture Partnersが主導した。
この資金調達により、Joes Future Foodは1000リットル規模のパイロット工場の建設を進める。2024年から2025年には、市場で競争力のある培養肉製品が販売されると見込んでいる。

培養脂肪 出典:Joes Future Food
Joes Future Foodは昨年、中国初の培養豚バラ肉、培養脂肪、培養豚皮などの製品を発表した。筋肉と脂肪の共培養から、低コストの無血清培地、マイクロキャリアを使用しない浮遊培養、培養肉プリンティングなどのブレイクスルーを実現している。
共同創業者の丁世杰氏は、「今回の資金調達が成功したことで、当社は上海研究開発センターを設立し、上海の人材と産業上の優位性を活用して、100リットルから500リットル、1000リットル規模へとスケールアップし、培養肉の大規模な工業生産を加速していきます」とコメントしている。
中国ではJoes Future Foodのほかに、複数の培養肉企業が登場している。
今年4月にはJimi Biotechnologyが、植物性足場を使用せずに100%培養鶏肉の開発に成功したことを発表した。上海を拠点とするCellXは2月、培養肉パイロット工場を建設することを発表した。

Joes Future Foodの100Lバイオリアクター 出典:Joes Future Food
中国は昨年、5カ年計画に初めて「培養肉」の文言を盛り込んだ。「国家農業農村科学技術」第14次5カ年計画のなかで、中国は培養肉に代表される未来の食品製造への支持を明記し、農産物資源の高価値利用と新たな食料資源の開発を推進している。
1月にはアメリカと中国の規制専門家による会議が行われ、中国は今年、安全性評価に重点を置くことが言及された。
国際的には、世界で唯一培養肉を販売しているGOOD Meat(米イート・ジャストの子会社)に続き、Upside Foods、GOOD Meatの二社がアメリカ食品医薬品局(FDA)から安全性に「異議なし」のレターを受け取るなど、成果を上げている。
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アイキャッチ画像の出典:Joes Future Food