イスラエルのSavorEatは28日、3Dプリンターを搭載したロボットシェフのプレスイベントを実施した。
イベントでは、報道関係者が実際にアプリを通じて注文したバーガーパテが提供された。顧客の好み・食事制限に応じてサイズ、脂肪・タンパク質の量を調整できるパーソナライズ化された植物肉バーガーとなる。
3Dプリンターを搭載したロボットシェフを発表
SavorEatは今回、イスラエルのハンバーガーチェーンBBBでロボットシェフをお披露目した。
BBBはイスラエルに100店舗展開しており、BBBにSavorEatのロボットシェフが導入される。BBBの顧客は、自分の好みや食事制限に基づいた独自の味、食感をそなえたバーガーを注文できるようになる。BBBのほか、Moses、Burgerim、Moses Shopなどでもロボットシェフによるパテをまもなく注文できるようになる。
店舗で最初に提供されるのはバーガーパテとなるが、SavorEatは製品の拡大を計画している。
「顧客が肉中心のハンバーガーレストランに来店し、アプリのボタンを押すだけで、ジューシーでデジタル製造されたビーガンバーガーを注文できるというこれまでにないアイディアは、まさに画期的で、並外れた忘れがたい経験を生み出します。
常に前進しようとしない組織は、やがて取り残されると思っています。ですから、私たちは常に、すべてのお客様に多様なソリューションを提供する、持続可能で高品質で栄養価の高い製品の見極めと開発に取り組んでいます」
(BBBのオーナー兼CEOのAhuva Turgeman氏)
パーソナライズ化された調理済み植物性パテをその場で3Dプリント
SavorEatのロボットシェフは、パーソナライズ化された味で調理済みの代替肉を3Dプリントする。
3Dプリンティング技術と、ひよこ豆、えんどう豆、じゃがいもなど植物性タンパク質に同社独自のセルロースナノファイバーを組み合わせて、肉のような食感を作り出している。
脂肪、セルロース、水分、フレーバー、着色料を含む3つの材料カートリッジを3Dプリンターに挿入し、顧客がアプリで脂肪やタンパク質の量を選択して、注文すると、約6分でパテが仕上がる仕組みだ。
植物性の代替肉は多数市販化されているが、顧客の個人的なニーズに合わせて、ロボットがパーソナライズ化された商品を短時間で提供できる点が画期的といえる。
2022年にはアメリカ市場へ参入
2018年に設立されたSavorEatは、イスラエルのレストラン部門だけでなく、アメリカ市場への参入を目指している。
今年8月、フードサービスの多国籍企業ソデクソとの試験プログラムを立ち上げ、2022年にアメリカの大学にロボットシェフを導入する予定だ。
SavorEatは約1年前にテルアビブ証券取引所に上場した。同社はイスラエルのMeaTechに続き、2番目に上場したフード3Dプリンター企業となる。
食品の製造を変える3Dプリンター
SavorEatの植物性バーガーは、パーソナライズ化されていること、食用インクの冷蔵保存が必要ないこと、調理過程に人間が介在しないことの3点で画期的といえる。
他社の植物肉バーガーは冷蔵保存が必要となるが、SavorEatの食用インクは常温で数ヵ月保存可能なうえ、注文が入ってから使用するためフードロス削減効果もある。
3Dプリンターを食品に導入する企業はSavorEatだけではない。
イスラエルのRedefine Meatは3Dプリントされた代替肉をイスラエル、ドイツ、オランダ、イギリスに展開している。来年には数千店舗のレストランに拡大することを計画している。
スペインのノバミート(Novameat)は3Dプリンターによるステーキ肉を開発している。
イスラエルのMeaTechは今月、バイオ3Dプリンターによる100g以上の培養ステーキ肉を生産したことを発表した。同社は培養油脂の開発も手掛けており、B2Bの販売戦略を計画している。
参考記事
Better beef:This robot pirnts 3D-vegan burgers to match your protein preferences
Israel’s SavorEat presents its plant-based burgers to the general public
Israel’s SavorEat launches personalised plant-based 3D printed burgers
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アイキャッチ画像の出典:Savor Eat