キッチンOS

家庭用調理ロボットのNymbleが予約注文を受付中

 

電子レンジやコーヒーマシン程の大きさのNymbleは、人による調理を機械が代替してくれる優れものだ。ユーザーは500以上のレシピから、好きなものを選べる。具材を用意して、必要な材料をセットすれば、トマトソースペンネだって1つの鍋で完了してしまう。

「毎日の食事からすべての苦痛と労力を取り除き、これをシームレスな素晴らしい体験にしたい」とNymbleは考えている。

自律的に調理するスマートキッチンロボットNymble

出典:Nymble

Nymbleの使い方は3ステップと簡単だ。レシピを選び、材料をセットして、ボタンを押すだけ。

まず、タッチパネルからレシピを選ぶ。各レシピには調理にかかる時間や、必要な材料も表示される。

Nymbleでパスタを作る場合、麺とソースを別の鍋で調理する必要はない。まずソースを作ってから、パスタを追加するレシピを開発しているからだ。

出典:Nymble

レシピを選ぶ際に、人数を設定できる。材料毎に必要な量が表示されるほか、それぞれの材料の切り方やサイズもタッチパネルで表示される。

便利なのが、調理ロボットの上部で材料の重さを量れることだ。

出典:Nymble

材料の用意ができたら、材料を所定の容器に入れ、セットする。材料はそれぞれ容器を分けていれる必要がある。

出典:Nymble

ロボット上部はスパイス格納場所になっている。6種類のスパイス容器がある。

出典:Nymble

油と水はロボット下部の容器へ。

出典:Nymble

専用の鍋を組み立て、セットする。

出典:Nymble

調理をスタートする前に、チェックリストが表示される。夜の帰宅後に温かい料理を食べられるよう、調理の予約も可能だ。

出典:Nymble

手間がかかるのはここまで。あとはNymbleがすべてやってくれる。

Nymbleが優れているのは、コンピュータービジョンで投入した具材の状態を判別し、適切なタイミングで次の材料を投下することだ。

出典:Nymble

例えば、タマネギが茶色になった段階で、ソースを投入するなど、シェフが食材の変化を確認してから次の材料を追加するように、調理による食材の色、形、損傷の変化をAIが確認し、材料を投入するタイミングを判断している。

出典:Nymble

Nymbleのレシピで調理した結果、好みに合わなかった場合は、アプリからフィードバックを送ればよい。次回から指示にあわせて調理してくれるという。

使えば使うほど、パーソナライズされた料理が可能になるということだろう。

Nymbleに付属の容器はすべて食洗器に対応しているため、片付けも簡単だ(鍋以外は)。

サンフランシスコベイエリアでは100以上の家庭が使用

出典:Nymble

Nymbleは2022年10月に、アメリカ、サンフランシスコベイエリアでβ版のサービスの提供を開始した。これは2023年4月までの期間限定で、月額150ドルでNymbleを利用できるサービスとなる。

同社は2020年にα版のリリースを発表したが、当時のリリースが6台だったのに対し、β版では60台まで生産をスケールした。この過程で、数千台へスケールアップする知見が得られたと同社はメールマガジンで言及している。

Product Huntのページによると、現在、ベイエリアの100以上の家庭でβ版が使用されているという。

β版のNymble 出典:Nymble

Nymbleは現在、公式サイトで予約注文を受け付けている。通常価格は1500ドルで、現在は期間限定で995ドルとなる。

購入者へは2023年11月以降に順次発送される。発送先はアメリカの主要州に限定される。時期は不明だがアメリカ以外の国でも試験販売を予定しているという。

仕事や育児で忙しい人、体調の悪い人、料理が苦手な人にとっては、気になる料理ロボットではないだろうか。日本が発送対象になる日が待ち遠しい。

参考媒体:Nymbleのメールマガジンリリース、公式サイト、公式動画

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Nymble

 

関連記事

  1. RoboBurgerが世界初のハンバーガー全自動販売機の提供を開…
  2. ピザハットのロボットレストランがイスラエルに登場
  3. ラーメン自販機のYo-Kai Expressが家庭用調理機『Ta…
  4. ロボットハンバーガー店のCreatorがリニューアル、「パーソナ…
  5. 多才な料理ロボットのカナダYPCテクノロジーズが約1億4千万円を…
  6. xRoboticsのピザロボットがピザ店での試験運用を完了、80…
  7. 独GoodBytzが開発した1日3,000食を調理できるロボット…
  8. アメリカで広がるスムージー自販機Bleni Blends|サラダ…

おすすめ記事

米The EVERY Company、代替肉への精密発酵タンパク質使用で南米の加工食品大手Grupo Nutresaと提携

精密発酵で卵白タンパク質を開発するThe EVERY Companyは今月、南米…

培養油脂のMission Barnsが食肉加工企業と提携、培養ソーセージのスケールアップ生産を完了

植物性原料を使った代替肉が普及するなか、代替肉をより本物に近づける試みとして、細…

Gelatex、年間300トンの培養肉生産を可能とする足場生産の試運転をスタート

培養肉用の足場を開発するエストニアのGelatexは先月、ナノファイバー材料の開…

微生物でタンパク質を作るNature’s Fyndが約46億円を資金調達、2021年に製品化へ

このニュースのポイント●Nature’s Fyn…

【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butcheryが来月から培養肉を販売

2024年5月16日更新シンガポールで培養肉が販売されてから2年。これま…

Vowが絶滅マンモスのDNAから培養マンモスミートボールを作製

オーストラリアの培養肉企業Vowは、絶滅したケナガマンモスのタンパク質で作られた…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

【FoovoBridge】(まだ準備中)日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語ニュースサイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/03 13:46時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/02 23:15時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/03 02:57時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/03 19:37時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(10/03 11:59時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(10/02 22:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP