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植物の葉から食用タンパク質を開発するLeaft Foodsが約19億円を調達

 

代替タンパク質の原料は細胞培養、微生物発酵から、えんどう豆、大豆、オーツ麦など植物由来と多岐にわたるが、地球上で最も豊富な「葉」からタンパク質を抽出するスタートアップが登場した。

ニュージーランドを拠点とするLeaft Foodsだ。Leaft Foodsは食品メーカーに向けて葉由来のタンパク質濃縮成分を開発しており、先月にシリーズAラウンドで1500万ドル(約19億円)を調達した

ラウンドはシリコンバレーを拠点とするKhosla Venturesが主導し、Ngāi Tahu Holdings、ニュージーランドACCのClimate Change Impact Fund、NBAバスケットボール選手であり投資家のスティーブン・アダムズ氏が参加した。

John Penno博士Maury Leyland Penno氏が2019年に設立したLeaft Foodsは、世界の主要な食品メーカーに向けた葉由来のタンパク質濃縮成分の製造を目的としている。葉由来のタンパク質製品は、動物由来や穀物由来のタンパク質よりも栄養価が高く、環境フットプリントが低いことが期待されているという

葉由来のタンパク質濃縮成分を製造

出典:Leaft Foods

Leaft Foodsはすべての緑色の葉にみられるタンパク質(酵素)ルビスコを抽出する。ルビスコは光合成に関与するタンパク質で、ケール、ほうれん草、アルファルファもやしなどに含まれ、地球上で最も豊富なタンパク質だといわれている

ルビスコは4種類の形態で存在する。特にタイプ1のルビスコは、葉のタンパク質の半分を占め、栄養や機能性で重要なタンパク質源とされるが、抽出プロセスが煩雑で食品での使用は制限されている

Leaft Foodsは、ルーサン(アルファルファ)などの窒素固定作物の葉内部から、人々が消化しやすい形でルビスコを分離、抽出する技術を開発した

Leaft Foodsのタンパク質は高い消化性に加え、ニュートラルな味と色を有する。アレルギーを起こしにくい特性は、ホエイ、大豆、卵タンパク質に感受性のある人々にとってゲームチェンジャーになる可能性があるとLeaft Foodsは考えている。

2%の農地利用で世界人口を満たすタンパク質

出典:Leaft Foods

プレスリリースによると、葉由来の植物タンパク質は動物タンパク質のように作用し、牛肉と同様の完全なアミノ酸プロファイルを有する。これを利用することで、世界中の全農地の使用を2%未満に抑えつつ、世界人口にタンパク質を供給できる可能性があるという。

「自然界で最大の動物である象、バッファロー、牛はいずれも草食動物であり、葉のタンパク質を消化するよう進化してきた。バッファロー、牛については複数の胃を持っている」と共同創業者のPenno博士はコメントしている。

「しかし、植物細胞の中に閉じ込められている間は、人間が十分なタンパク質を得るために十分な葉を食べるのは難しい。まして、植物のすべてを消化するのは難しい。私たちの技術は美味しくて、栄養のある、スケーラブルで誰もが利用できる植物タンパク質を採れる方法を生み出す、本当に変革的なものだ」。

既存の農場システムと一体化

Maury Leyland Penno氏(左)とJohn Penno博士 出典:Leaft Foods

共同創業者のPenno博士Penno氏は2人とも農家であり、農業が直面する課題や、環境フットプリントを削減するための実用的な選択肢が少ないことを深く痛感してきた。

そこで、農家が植物タンパク質の生産に土地を利用するのを可能とするモデルを意図的に設計した。Leaft Foodsは食品由来の温室効果ガス排出量の大部分が農場で発生し、わずかな排出量が加工、輸送、流通に由来すると考えている。

「現在のフードシステムの課題は十分理解している。だから、既存の農場システムと一体化するビジネスモデルを設計した。Leaft Foodsは、ニュージーランドが2024年までに36億ドル規模に達する世界の植物タンパク質市場でイニシアティブをとる機会を作り出す」とPenno氏はコメントしている。

ニュージーランド政府が研究開発を支援

Leaft Foodsを訪問したダミアン・オコナー農業大臣(左から2番目) 出典:Leaft Foods

Leaft Foodsによると、葉物作物から直接ルビスコを生産することで、従来の乳製品タンパク質と比較して、1ヘクタールあたりのカーボンフットプリントを10分の1に抑えられるという

これは既存の食料生産システムを根本から変える可能性を秘めている。持続可能な方法で栽培された葉物作物から植物タンパク質を抽出するLeaft Foodsの技術の革新性は、ニュージーランド国内・国外の投資家の注目を集めている。

スタートアップを支援するのは投資家だけではない。ニュージーランド第一次産業省(MPI)は昨年Sustainable Food & Fibre Futures fundを通じて、Leaft Foodsに対し800万ドル(約10億円)の助成金を授与した。これは同社の5年間の研究開発プログラムに対するものとなる。

 

参考記事

$15mUSD Series A accelerates mission to create new protein system

LEAFT FOODS YIELDS PROTEIN FROM THE WORLD’S MOST ABUNDANT SOURCE: LEAVES

アイキャッチ画像の出典:Leaft Foods

 

 

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