Foovo Deep

カナダのTerra Bioindustries、ビール粕由来のタンパク質でカナダ当局から認可を取得、今年後半に市場投入へ

「Protina」を使用したバーガー試作品(出典:Terra Bioindustries)

 

カナダ、トロントに拠点を置くフードテック企業Terra Bioindustriesは今年2月、ビール粕を100%アップサイクルした植物タンパク質「Protina」について、カナダ保健省から「異議なし」のレターを受領したことを発表した。これにより、カナダ全域で「Protina」を食品用途に使用できるようになった。

大部分が動物飼料に活用されてきたビール粕を、人間用の代替タンパク質にアップサイクルする取り組みは世界各地で進んでおり、スイスでは代替肉がスーパーマーケットに導入されるなどしている。

Terra Bioindustries、ビール粕でカナダ当局から認可を取得

出典:Terra Bioindustries

ビール粕はビール醸造後に残る残留物で、ビール生産における主要な廃棄物となっている。世界では毎年約3,640万トンのビール粕が生じており、温室効果ガス排出の要因にもなっている

Terraは、ビール粕の可能性に着目したSteve George氏Ricardo Martinez氏により2019年に設立された。2人は穀物を粉砕し、機能性を損なうことなく貴重な成分を分離するプラットフォームを開発した。

George氏は、ビール粕の約70%が家畜の飼料に、約20%が埋め立てに、約9%が堆肥に、そして人間の食品用などの利用は1%未満にとどまる現状を指摘したうえで、競合他社の存在に関わらず「巨大なチャンスがあります」とAgFunderによるインタビューで述べている。

Terraは現在、ビール粕をアップサイクルして2つB2B原料を開発している。植物タンパク質「Protina」と代替糖「Recyclose」だ。Terraはさらに、同じプラットフォームを使用してビール粕から新製品の開発も模索している

アメリカでも「Protina」の承認申請を開始

出典:Terra Bioindustries

Terraは2023年8月、カナダ保健省に最初の申請を行った。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Terra Bioindustries

 

関連記事

  1. スペインの食品メーカーGrupo Palacios、精密発酵卵タ…
  2. 二酸化炭素から代替タンパク質を開発するJooulesが約1.5億…
  3. 古細菌の力で二酸化炭素をタンパク質に変換|オーストリア企業Ark…
  4. 米New Cultureが精密発酵カゼインのスケールアップに成功…
  5. 培養シーフードのShiok Meatsが生産コスト50ドル/kg…
  6. 菌糸体由来肉のMeati Foodsが全米で販売開始、Sprou…
  7. 英当局、培養肉の規制サンドボックスプログラムを始動-安全性とイノ…
  8. ブロックチェーンを活用して透明性の高いサーモン養殖に取り組むKv…

おすすめ記事

Motif FoodWorksがスケールアップを支援する新サービスを開始

アメリカ、ボストンを拠点とするMotif FoodWorksは、スケールアップを…

Upside Foods、シカゴ近郊に商用規模の培養肉工場を建設する計画を発表

アメリカの培養肉企業Upside Foodsは、イリノイ州シカゴ近郊のグレンビュ…

Esco Aster、2025年までにシンガポールに新たな培養肉工場建設へ

世界で最初に培養肉製造認可を取得したシンガポール企業Esco Asterが、20…

オーストリアのRevo Foods、世界最大の食品向け3Dプリンティング工場を開設|新製品のマイコプロテイン由来サーモンを発売

3Dプリンターで代替シーフードを開発するオーストリア企業Revo Foodsは1…

GOOD Meatが培養肉生産に無血清培地を使用する認可をシンガポール当局から取得

米イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatは18日、培養肉生産に無血清培地…

米Newlightの生分解性プラスチックAirCarbon、プラスチック汚染と温室効果ガスの同時解決へ

カリフォルニアのNewlightは、温室効果ガス排出と海洋プラスチック問題を同時…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(03/19 14:50時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/20 00:35時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/20 04:28時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/19 20:47時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/19 12:57時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/19 23:48時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP