Foovo Deep

チョコレート大手のマース、精密発酵由来の乳タンパク質を使ったチョコレート製品を発売

 

米チョコレート大手のマースは16日、精密発酵で開発されたアニマルフリーな乳タンパク質を使ったビーガンチョコレートバー「CO2COA」を発売した

マースはスニッカーズ、M&M’sなど著名なチョコレート菓子製品に加え、近年さまざまなビーガンチョコレートバーを販売してきた。同社が精密発酵由来のタンパク質を採用するのはこれが初となる。

チョコレート大手のマース、アニマルフリーな乳タンパク質を導入

出典:CO2COA

マースは米パーフェクトデイと提携し、初の試みとして非動物由来の乳タンパク質を使用した製品を発売した。

パーフェクトデイは、代替タンパク質では新たなカテゴリとされる「精密発酵」の代表的プレーヤーで、世界で最初に動物に頼らずに乳タンパク質を開発、商品化した。牛の乳タンパク質を生産するDNAを組み込まれた微生物を使用して、動物を使わずに発酵により分子的に同等な乳タンパク質を生産している。

同社のライフサイクルアセスメントによると、精密発酵由来の乳タンパク質は牛乳と比べ、温室効果ガス排出量を85-97%、水消費量を96-99%、エネルギー消費量を最大60%削減できることがわかっている。

出典:betterland foods

ドイツのQOAも精密発酵によるチョコレートを開発しているが、QOAはカカオの労働・生産に伴う問題解決を目指して代替カカオを開発している。今回の発表は、米Betterland foodsがパーフェクトデイの乳タンパク質を使ったチョコレートバー発売に続くニュースとなる。

CO2COA」は今月16日からオンラインストアで販売されているが、在庫に限りのある期間限定販売となる。これはマースが本格導入に先立ち、テスト販売することで消費者の受容や反応をテストしていると考えられる。

同様の試みとして、スターバックスは昨年、パーフェクトデイの乳製品を一部店舗で期間限定で導入した。消費者の反応が肯定的であれば、マースが最初にアニマルフリーな乳タンパク質を本格導入する大手チョコレート会社となる可能性がある。

パートナーシップ・買収の拡大、工場建設、海外工場の調達

Ryan Pandya氏(左)とPerumal Gandhi氏(右)  出典:パーフェクトデイ

2014年にRyan Pandya氏Perumal Gandhi氏によって設立されたパーフェクトデイは、精密発酵タンパク質の代表的な企業として知られる。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Mars

 

関連記事

  1. 細胞農業で脱カカオを進めるフィンランドのチョコレートメーカーFa…
  2. 精密発酵プラットフォームの提供を目指すFermify、カゼインサ…
  3. 南米を代表するチリのフードテック企業NotCo、シェイク・シャッ…
  4. ビヨンドミート、今年半ばまでに中国事業を停止|コスト削減の一手
  5. 英Meatly、イギリスで世界初の培養ペットフードを発売
  6. 代替肉の「テスラ」を目指す上海の代替肉企業YouKuaiが約7.…
  7. ポーランドNapiFerynがなたね油粕から代替タンパク質Rap…
  8. モサミートが培養肉の工業生産に向けて生産施設を拡大

おすすめ記事

宮崎発・江田畜産社セミナー動画(田中伶氏)|2024年5月開催

今月29日、宮崎県の畜産農家発スタートアップ企業・江田畜産共同創業者の田中伶氏に…

エストニアのÄIO、林業廃棄物を活用した代替油脂の生産拡大|10,000リットル規模へスケールアップ

おがくずなどの林業廃棄物から持続可能な代替油脂を開発するエストニア企業ÄIOは先…

ミツバチを使わない「本物のハチミツ」を開発する米MeliBio

↓ラジオ音声はこちらから↓(登録不要・ワンクリックで聴けます)…

一正蒲鉾がインテグリカルチャー、マルハニチロと培養魚肉の共同研究開始を発表

一正蒲鉾は、培養肉のスタートアップ企業インテグリカルチャーとマルハニチロの3社で…

Meati Foodsの菌糸体肉、全米のホールフーズ全店舗で発売

菌糸体由来の代替肉を開発する米Meati Foodsは先月、全米のホールフーズマ…

シェフと再生医療研究者が立ち上げた培養肉企業ダイバースファームが目指すもの

ミシュラン星付きシェフと再生医療の研究者が立ち上げた異色の培養肉企業ダイバースフ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/17 15:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/17 01:00時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/17 04:59時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/17 21:09時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/17 13:14時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/17 00:14時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP