Foovo Deep

おがくずから代替油脂を開発するÄIOが約9.9億円を調達、デモプラントの建設へ

当初の記事では「実証プラント」としていましたが、「デモプラント」に表現を修正しました(2025年3月5日)

 

おがくずなどの林業廃棄物から持続可能な代替油脂を開発するÄIOは先月、610万ユーロ(約9億9000万円)の資金調達に成功した。今回調達した資金で、エストニアにデモプラントを建設し、食品業界で幅広く使用されているパーム油に代わる油脂の提供を目指す。

今回の発表は、今年5月にエストニア、タリンで開催した一般向けの試食会開催に続くニュースとなる。

おがくずから代替油脂を開発するÄIOがデモプラントの建設へ

出典:ÄIO

2022年1月にタリン工科大学(TalTech)からスピンオフされたÄIOは、「レッドオイル」、「カプセル化オイル」、「バター脂肪」の3製品を開発している。これらの製品は、食品に使用されるパーム油の代替品として使用できるほか、「レッドオイル」は化粧品や日用品への使用も想定している。

共同創業者のNemailla Bonturi氏は、「産業残留物から作られるÄIOの油脂は、現在のパーム油や動物性脂肪の生産と比較して、土地利用を最大97%削減、水の消費量を最大1/10に削減するのに役立ちます。また、発酵による油脂生産は10倍速くなります」と述べ、使用資源・生産期間で、従来の油脂を上回るメリットがあることを強調している。

ÄIOは今年初め、「Good Fat Wörks」というイノベーションセンターを設立し、油脂開発やパイロット製品の生産を実施している。デモプラントを建設後は、数十トンの「レッドオイル」、「カプセル化オイル」、「バター脂肪」の生産を開始する予定だ。工場は2026年までに完成予定で、大手工業企業近くの建設する可能性が高いという。

出典:ÄIO

油脂生産に使用する原料は、エストニアやフィンランドの食品関連企業から調達する。また、エストニア企業Fibenolとも協力し、同社の加水分解物に付加価値をもたらすプロジェクトも進めている。

エストニア・海外に120を超えるパートナー企業がおり、原料の提供や、ÄIOの油脂の試験などを行っている。先月には、10 m³(1万L)のスケールアップと生産に向けて、シンガポールのCDMO企業ScaleUp Bioと戦略的パートナーシップを締結した

また、社名は明らかにしていないが、国内外の大手食品、化粧品、日用品メーカー数社と、製品の共同開発で契約を締結しているという。

論文から推測するÄIOの使用微生物

出典:ÄIO

ÄIOがユニークな点は、おがくずなど林業や農業で生じる副産物を、食品グレードの油脂・脂肪に変換できる独自の酵母を開発したことだ。

共同創業者の2人は、エストニアに大量にあるおがくずに着目し、6年の試行錯誤を経て、おがくずから油脂を作る方法を発見した

生産では、Bonturiが作成し特許を取得している「red yeast(赤酵母)」という微生物を使用する。「red yeast」が産業廃棄物を美味しく、食欲をそそる脂肪や油に変換するとしている。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:ÄIO

 

関連記事

  1. オランダのFarmless、約7.5億円を調達し農地不要のタンパ…
  2. NoMy Japan、副産物活用のマイコプロテインで日本市場を優…
  3. アブダビ投資庁がThe EVERY CompanyとVivici…
  4. ダノンが精密発酵企業Imagindairyに出資、細胞農業企業で…
  5. 子どもが培養肉を知るための絵本のクラファンがスタート
  6. 不二製油のカカオフリーチョコレート「アノザM」を試食──新カテゴ…
  7. 大手食肉加工のJBS、ブラジルで培養タンパク質の研究施設建設を開…
  8. MISOLA FOODS、日本初のオーツミルク専門メーカーとして…

おすすめ記事

培養ハイブリッド肉を開発する米New Age Meatsが約2億1千万円を調達

カリフォルニアを拠点とする培養肉スタートアップのNew Age Meatsがシー…

植物の葉から食用タンパク質を開発するLeaft Foodsが約19億円を調達

代替タンパク質の原料は細胞培養、微生物発酵から、えんどう豆、大豆、オーツ麦など植…

豆タイプの代替コーヒーを開発するベルギー企業Koppieが資金調達

代替コーヒーを開発するベルギーのフードテック企業Koppieが、プレシードラウン…

ネクストミーツが代替肉でアメリカ市場に本格進出、代替ミルクの国内D2Cもスタート

日本のフードテック企業ネクストミーツがアメリカに本格進出する。同社は焼肉…

GFIが「植物分子農業」を代替タンパク質の第4の柱として注目

代替タンパク質の普及を促進する非営利団体Good Food Institute(…

オランダの培養肉企業Meatableが培地の共同開発でDSMと提携

オランダの培養肉企業Meatableは、手頃な培地の共同開発でオランダの総合化学…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP