代替プロテイン

米ビヨンドミート、初の菌糸体ステーキ「Beyond Steak Filet」をレストラン限定で提供開始

 

ビヨンドミートが菌糸体ステーキ肉の発売計画を発表してから約10ヵ月。販売動向の行方が気になっていた読者も多いのではないだろうか。

同社は今月24日、菌糸体を使用した新製品「Beyond Steak Filet」の提供開始を正式に発表した

小麦、そら豆タンパク質、キャノーラ油などを原料に使用した既存のステーキ製品「Beyond Steak」と異なり、新製品は菌糸体そら豆タンパク質アボカドオイルを主原料としており、ビヨンドミート初の菌糸体由来製品となる。

Veggie Grill by Next Levelで提供される「Protein Plates」メニュー 出典:Beyond Meat

正式発表に先立ち、今月4日からVeggie Grill by Next Levelの店舗で、午後3時以降の店内飲食限定で「Protein Plates」メニューの一部として提供を始まっていた

24日からは、ニューヨークのベジタリアンレストランLadybirdでバオバンメニューとして期間限定で提供されているほか、ステーキレストランBOA Steakhouseの全4店舗(ウェストハリウッド、サンタモニカ、マンハッタンビーチ、オースティン)でも提供が開始された。近日オープン予定のラスベガス店舗でも導入される予定となる。

レストランに加え、全米のSprouts Farmers Marketなど小売でも展開されている従来の「Beyond Steak」と異なり、「Beyond Steak Filet」は現在、レストラン限定での提供にとどまっている。

ステーキ専門店ヴィーガン専門店の双方で提供することで、ヴィーガン層と肉を好む層の両方を対象に、味の評価や需要動向を測る狙いがあるとみられる。

特に、動物性ステーキを通常提供するBOA Steakhouseでは、同製品が肉の代替としてどこまで受け入れられるかが注目される。

ビヨンドミートの料理部長Diana Stavaridis氏は、「お客様はきっと驚くでしょう。Steakhouseでの体験を妥協することなく再現することを目指した製品です」とコメントしており、今後の評価が待たれる。

出典:Beyond Meat

菌糸体を原料とするホールカット製品は、現時点ではまだ市場の主流とはなっていないが、一部企業が導入を進めている。

The Better Meat Coは独自のマイコプロテイン「Rhiza」を開発し、サクラメントのプラントベースレストランBuddha Belly Burgerなど一部での提供が実現している。シンガポールで昨年、販売認可を取得したものの販売は確認できていない。

一方、英Adamo Foodsもホールカットの菌糸体ステーキを開発中であり、最新の発表によると年内に試験販売を開始する計画だ。同社は現在、戦略的販売パートナーシップを模索しており、一部の試食参加者から「最初は肉だとはわからなかった」との評価もうけているという

2025年は複数の企業による菌糸体ステーキ製品が実際に市場へ流通し始める可能性が高く、ホールカット分野の新たなフェーズが始まりつつある。

 

※本記事は、プレスリリース()をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Beyond Meat

 

関連記事

  1. 中国のJoes Future Foodが豚の培養脂肪のパイロット…
  2. Believer Meats、培養肉の生産拡大に向けてGEAと戦…
  3. 香港グリーンマンデーのヴィーガンカフェGreen Commonが…
  4. 『ミート・ザ・フューチャー~培養肉で変わる未来の食卓~』が6月9…
  5. 分子農業パイオニアの英Moolec Science、SPAC経由…
  6. ポーランドNapiFerynがなたね油粕から代替タンパク質Rap…
  7. 世界初!動物肉を使わないバーガーキングの店舗がドイツにこの夏オー…
  8. Profuse TechnologyとGelatexが成果を発表…

おすすめ記事

Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表

チェコの培養肉企業Meweryは、培養豚肉細胞と微細藻類をブレンドした培養肉のプ…

米The Live Green Co、精密発酵によるヒト母乳脂肪の生成を発表

アメリカの精密発酵企業The Live Green Coは、ヒトの母乳に含まれる…

培養肉開発用の成長因子を低コストで量産するCore Biogenesisが約3.2億円を調達

フランスのCore Biogenesisが2020年11月にシードラウンドで26…

伝統的なチーズ製法で植物チーズを開発するデンマーク企業FÆRM

デンマークのフードテック企業FÆRMは、伝統的なチーズ製造プロセスと酵素の力で、…

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods、バイオ3Dプリンターの商用化に向けて加速

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods(旧称MeaTech)は…

米Pairwise、アメリカ初のCRISPR編集食品を発売

ゲノム編集技術を活用して農産物を開発する米Pairwise(ペアワイズ)は、Co…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/06 15:51時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/07 02:08時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/07 05:51時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/06 21:51時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/06 13:46時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/07 01:06時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP