代替乳製品・代替卵

インポッシブルフーズが開発中の代替ミルク・Impossible Milkを発表、2021年に研究チーム倍増へ

 

このニュースのポイント

 

●インポッシブルフーズが開発中の代替ミルクをお披露目

●見た目も味も本物そっくりで、混ぜたり、泡立てたり、温めたりできる

●コーヒーに加えても分離しない

●2035年までに畜産を経済的に持続不可能な産業へ

●来年に研究チームを倍増

 

 

植物肉の代表的プレーヤー・インポッシブルフーズが代替ミルクを開発している。

先日開催された記者会見で、同社は大豆をベースとする植物性の代替ミルク「インポッシブルミルク(Impossible Milk)」を披露した。

手前・真ん中がインポッシブルミルク、手前・右が本物の牛乳 出典:Impossible Foods

インポッシブルミルクは見た目も味も本物そっくりな代替ミルクで、混ぜたり、本物の牛乳のように泡立てたり、温めたりできる。記者会見では、複数の植物性牛乳と本物の牛乳の横に、インポッシブルミルクを並べてデモンストレーションが行われた。

左は他社の代替ミルク。コーヒーと混ざらない。右のインポッシブルミルク試作品は混ざっている。出典:Impossible Foods

植物性の代替ミルクは通常、ホットコーヒーと混ざらないことが多い。写真左は他社の代替ミルクをコーヒーに加えたもの。二層に分離しているのがわかる。右はインポッシブルミルクをホットコーヒーに加えたもので、固まることなく混じりあっている様子がわかる。

インポッシブルミルクがスーパーに並ぶ日は未定だ。

CEOのパット・ブラウンは従来の食肉産業を「地球上で最も破壊的な産業」とし、2035年までに動物を使用する畜産の廃止を目指している

言い換えれば、インポッシブルフーズは畜産を可能な限り早く、経済的に持続不可能なものにしたいと考えている。そのために、牛肉の中でも米国で最も販売量の多い牛ひき肉を選択した。畜産産業をぶち壊すためには、ひき肉から代替するのが手っ取り早いと考えたからだ。

牛ひき肉以外では、今回お披露目した代替ミルク、代替チキンや代替ステーキの開発にも取り組んでいる。特に消費の多い、牛ひき肉と牛ステーキ肉を作る必要があると考えている。

出典:Impossible Foods

畜産産業の早期廃止を実現するために、記者会見では来年中に研究開発チームを倍増させる計画も発表された。今回お披露目されたインポッシブルミルクは、強化される研究チームが取り組むプロジェクトの一例として紹介したもの。

インポッシブルフーズは今月、香港とシンガポールの小売進出を発表したばかり。8月には2億ドル(約209億円)を追加調達している。今年1月には植物性の豚ひき肉もリリースした。販路を拡大するインポッシブルフーズだが、培養肉には参入しないことを断言している。

 

参考記事

Would you like “milk” with that Impossible burger?

Impossible milk could be coming to your cereal bowl

Impossible Is Prototyping a Plant-Based Milk Product

 

 

 

関連記事

  1. イスラエルのSuperMeat、培養肉の生産コスト削減を発表-1…
  2. イスラエル企業SimpliiGood、スピルリナ由来のビーガンス…
  3. 【創業者インタビュー】精密発酵でヒト母乳タンパク質を開発するPF…
  4. FAOとWHOが培養肉の安全性に関する新レポートを発表
  5. Vivici、欧州企業で初となる精密発酵タンパク質のGRAS自己…
  6. Formoが微生物発酵によるアニマルフリーなクリームチーズを発表…
  7. 英培養肉企業Higher Steaksが約43億円を調達、社名を…
  8. 大豆ミートを食べてみた感想【意外とおいしい】

おすすめ記事

北里大学、ニホンウナギの筋芽細胞株の樹立に成功|持続可能なウナギ供給に向けた重要な一歩

2024年10月15日 査読情報に掲載された旨を追記北里大学海洋生命科学…

オランダのビーガンシーフードスタートアップMonkeys by the Seaが約5700万円を調達、ビーガンツナなどの販売へ

オランダのビーガンシーフード企業であるMonkeys by the Seaが、プ…

米Bond Pet Foods、精密発酵由来の動物タンパク質2トンをペットフード会社に納品

精密発酵によりペットフードを開発する米Bond Pet Foodsが、精密発酵で…

大手プロテインブランドMyproteinが精密発酵タンパク質を使用した新製品を発売

アメリカで精密発酵で開発されたタンパク質の市場投入が加速している。精密発…

培養肉はどんな産業を生み出すのか?|SKSJ2020参加レポート

培養肉が社会・環境にもたらすインパクトは大きい。動物を殺さずに肉を作れる…

植物から短鎖状の食物繊維を取り出す米One Bioが約42億円を調達|食物繊維不足を解消する新技術

植物から短鎖状の食物繊維を取り出す技術を開発する米One BioがシリーズAラウ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/18 15:54時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/18 02:17時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/18 05:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/17 21:55時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/18 13:52時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/18 01:12時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP