3Dプリンターで代替肉を開発するイスラエル企業Redefine Meatが、欧州で3Dプリントされたステーキ肉を発売した。
同社は昨年11月、植物ベースの3Dプリントステーキ肉をドイツ、オランダ、イギリス、イスラエルの高級レストランで販売した。2022年末までに数千のレストランに導入を目指している。
高級レストランで代替ステーキ肉が提供されるのはこれが初。
同社の代替肉製品「New Meat」シリーズはイスラエルのレストラン約150箇所で販売されていたが、今回ステーキ肉が新たにシリーズに追加され、ドイツ、オランダ、イギリスに導入された。
3Dプリントされた植物ステーキ肉を発売
Redefine Meatはグローバルな肉の専門家と協力して、動物の筋肉構造の複雑さを把握、本物の味、口当たり、食感を再現する植物ベースのステーキ肉を開発した。
代替ステーキ肉は、イギリス、ドイツ、オランダ、イスラエルの高級レストランのメニューで提供される。本物のステーキ肉を模倣した3Dデータを基に、Alt-Muscle、Alt-Fat、Alt-Bloodという異なる材料をフードインクとして3Dプリントし、再現したステーキ肉となる。
原料は、大豆、えんどう豆、ひよこ豆、ビートルート、ココナッツオイル、栄養酵母を使用している。
「世界で最も有名なシェフ達を驚かせるレベルの味と食感を実現しました。私たちの独自の技術力により、初めて牛のあらゆる部分を代替できるようになります。一流の料理界と密に連携することで、私たちは今後数ヶ月で製品の展開を加速し、ヨーロッパを皮切りに、アメリカとアジア、来年には複数の流通チャネルで発売する予定です」
(共同創業者のBen-Shitrit氏)
動物に依存しない「世界最大の食肉企業」を目指すRedefine Meat
2018年に設立されたRedefine Meatは、世界の食肉産業における持続可能性を改善し、畜産による環境負荷を軽減することを理念とするイスラエル企業。独自の3Dプリンティング技術を開発し、見た目、質感、風味を再現した植物ベースの代替肉を開発・生産している。
昨年1月にはイスラエルの食肉販売会社Best Meisterと提携、3Dプリントされた肉の世界初となるブラインド試食会を実施した。試食会には600名が集まり、わずか5時間で売り切れるという盛況ぶりだった。翌月にはシリーズAで約30億円を調達した。
昨年7月には新シリーズとなる「New Meat」シリーズを発表、バーガー(Redefine Burger)、牛ひき肉(Redefine Ground Beef)、ラムケバブ(Redefine Lamb Kabob)、ソーセージ(Redefine Sausage)、中東風の春巻き(Redefine Cigar)を発売した。現在はこれにステーキ肉が追加された。
ひき肉からステーキ肉まで多様な製品を提供するのは、同社が肉愛好家をターゲットに、「世界最大の食肉企業」を目指していることが背景にある。
イスラエルに集中する3Dプリント肉の開発
Redefine Meatは今後数年以内にイスラエル、アメリカ、欧州、アジアに5つの工場を建設することを計画している。同社は自社の3Dプリンターとフードインクを世界の食肉企業に販売する構想も持っている。
3Dプリンターで代替肉を開発する企業はイスラエルに特に多い。
SavorEatは先月、3Dプリントされたバーガーを発表した。同社は今年、アメリカ進出を目指している。
MeaTechは先月、バイオ3Dプリンターによる100g以上の培養ステーキ肉を生産したことを発表した。同じくバイオ3Dプリンターを使って培養ステーキ肉の開発に注力するアレフ・ファームズは、増殖培地に必要なタンパク質の生産でドイツの化学メーカーWACKERと提携、すべての培養肉企業がアクセスできるオープンソリューションの開発に取り組んでいる。
参考記事
Israel’s Redefine Meat serves up plant-based whole cuts of beef
Israel’s Redefine Meat to serve 3D-printed, plant-based meat at eateries in Europe
This Israeli ‘beef’ isn’t like anything you’ve eaten before. Here’s why
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アイキャッチ画像の出典:Redefine Meat