代替プロテイン

英培養肉企業Ivy Farmとバイオテック企業BSF Enterprise、中国進出に向けて提携

 

イギリスの培養肉企業3D Bio-Tissuesを所有する英バイオテック企業BSF Enterpriseと同国の培養肉企業Ivy Farmが、中国における培養肉の資金調達、発売、規模拡大に向けて提携したことを発表した。

プレスリリースによると、中国は年間の食肉消費量が1億トンを超え、世界の食肉消費量の4分の1以上を占めている。食肉消費の多い中国にとって培養肉は食料安全保障の側面からも無視できない技術であり、中国は2022年、5か年計画に培養肉を盛り込むことを発表した

BSF Enterprise Hong Kong(BSF HK)は、中国市場での販売とパートナーシップを構築するために、BSF Enterpriseと別の事業体として最近設立された。

BSF Enterpriseのマネージングディレクターであり3D Bio-Tissues CEO(最高経営責任者)のChe Connon氏は、「私たちは、重要な成長市場に提供するさまざまな培養肉製品を開発するために、資金調達を実施し、主要メーカーと協力することで、Ivy Farmsの中国市場参入を支援できることを嬉しく思います」と述べている。

出典:Ivy Farm

Ivy Farmは2019年にオックスフォード大学からスピンオフされたイギリスの培養肉企業。同社は高級和牛、アバディーン・アンガス種や大ヨークシャー種の組織から栄養価の高いミンチ肉を生産し、ミートボール、スコッチエッグ、ハンバーガーなどの最終製品を生成している。

同社は2022年8月、イギリス、オックスフォードに年産2.8トンのパイロット工場を開設した。長期的には、再生可能エネルギーのみを使用した施設で1万2000トンを生産し、従来の畜産と比較して温室効果ガスを92%、土地利用を90%削減することを構想している。

BSFは、Ivy Farmが現在進めている資金調達ラウンドを支援し、大量生産用のバイオリアクターに対応するため技術の拡張を促進したいと考えている。

出典:Ivy Farm

Ivy Farmsはまた、BSFの子会社である3D Bio-Tissuesとも協力している。3D Bio-Tissuesは角膜を生産する組織工学を技術基盤に、足場を使用せずに培養肉のプロトタイプを作成している。昨年には、足場フリーの培養豚フィレ肉の生成に成功した

3D Bio-Tissuesとの提携では、アジア市場での培養肉の生産コスト削減を目標に、同社の無血清培地City-mixを使用する試験を実施している。

欧州企業で中国市場をターゲットに取り組むのはIvy Farmが最初ではない。ドイツの培養シーフード企業Bluu Seafoodは2022年4月、中国の培養肉企業CellXと提携した。

 

参考記事

BSF Enterprise (Hong Kong) Ltd and Ivy Farm Technologies Enter Partnership

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Ivy Farm

 

関連記事

  1. Novameatが約7億円を調達、独自3Dプリント技術による代替…
  2. Haofoodはピーナツを使用した代替チキンで約4.5億円を調達…
  3. 2024年1月_Foovoセミナー動画・資料(精密発酵・植物分子…
  4. スイスの食品大手ジボダン、ビューラー、ミグロが共同で培養肉の実証…
  5. NotCoが約95億円を調達、食品業界向けのAIプラットフォーム…
  6. 食肉大手JBSが培養肉に参入、培養肉企業BioTech Food…
  7. 植物性3Dプリント肉を開発するRedefine Meatが約15…
  8. 牛を使わずに乳製品を開発するDe Novo Dairy|南アフリ…

おすすめ記事

菌類由来の熱安定性に優れたビーガン着色料を開発するMichromaとは

アルゼンチンのMichroma(ミクロマ)は菌類を活用してビーガンな赤色着色料の…

食品ロスに取り組むToo Good To Goが約31億円を調達、米国での進出拡大へ

フードロスに取り組むデンマーク企業Too Good To Goが2570万ユーロ…

ベルがパーフェクトデイと提携、精密発酵タンパク質の代替チーズを来月発売

Kiri(キリ)やBoursin(ブルサン)などで有名なチーズ大手ベルグループの…

オランダのビーガンシーフードスタートアップMonkeys by the Seaが約5700万円を調達、ビーガンツナなどの販売へ

オランダのビーガンシーフード企業であるMonkeys by the Seaが、プ…

植物から短鎖状の食物繊維を取り出す米One Bioが約42億円を調達|食物繊維不足を解消する新技術

植物から短鎖状の食物繊維を取り出す技術を開発する米One BioがシリーズAラウ…

KFCがシンガポールで植物肉バーガーの販売を期間限定でスタート

シンガポールのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が植物肉バーガーを期間限定…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/11 15:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/12 01:27時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/12 05:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/11 21:30時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/11 13:30時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/12 00:37時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP