独自レポ

【参加レポート】第1回フードテックジャパン展示会

 

日本初となる第1回フードテックジャパン展示会が開催された(2020年11月25-27日まで)。

会場の様子

全体的な印象としては、

 

 

●ロボット

●IoTソリューション

●HACCP関連商品

●自動調理機器

●検査用分析機器

●生分解性プラスチックをはじめとする包装材料

 

など自動化・省人化に特化した出展が中心で、海外で開発が盛んな代替肉のブースはなかった。

この記事では、初回フードテックジャパンで展示されていた一部のテクノロジーをご紹介する。

Ten TenのIoT自動販売機

自動販売機向けのIoTサービスを展開するのがTen Ten

アプリで購入したい飲料を選んで決済するため、自販機ボタンに接触せずにペットボトルを購入できる

新型コロナによって高まる接触レスのニーズを満たせるほか、自販機運営会社にとっては、在庫切れ・自販機への過剰訪問を減らせるメリットがある

これまではベテラン社員の経験・勘にたよって訪問のタイミングを考え、補充していた。

IoTによるデータ活用で、新入社員でも適切な訪問回数・タイミングがわかり、在庫切れによる販売機会損失を防止できるようになる。データを取集することで、リアルタイムで在庫数がわかり、売上予測によるルート計画もたててくれる。

注目したいのが、メーカーを問わないこと。

1社に限定した飲料を提供するのではなく、さまざまなメーカーの商品を取り扱えるという

既存の自販機に専用デバイス(写真)を設置するだけと、導入も簡単だ。

専用デバイスをとりつけるだけ

スタンプによるキャンペーンもある

アプリで購入すると、スタンプがたまるシステムもあり、自販機の利用率向上を期待できる。

コネクテッドロボティクスのそばロボット

そば調理に伴うゆでる・洗う・締めるという一連のプロセスを自動化したのがコネクテッドロボティクスのそばロボット。

主に駅構内のそば店舗を想定したもので、短時間の連続的な調理も、ロボットを活用することで大幅に自動化できる。

そばロボットが1時間に作れるそばは40食程度

お椀にそばを入れる工程については、ロボットがやるのがよいか、人がやるのがよいか、全体に占める工数を見て決めるという。

2020年3月16日~4月15日に、JR東小金井駅の「そばいち」でそばロボットの実証実験を実施している。

今回は展示されていなかったが、コネクテッドロボティクスはそばロボットのほかにも、朝食ロボットたこ焼きロボットソフトクリームロボットを開発している。

コネクテッドロボティクスは2014年設立のスタートアップだ。

参考に、海外で料理ロボットに取り組む企業はこちらで紹介している。

RT CORPORATIONの人型協働ロボットFoodly

Foodlyは人と同じベルトコンベアラインで隣り合って作業できる人型ロボット。

食品製造工程の中でも盛り付け工程は、食材を認識して正確につかむ作業の複雑さから、自動化が難しいと言われる領域。Foodlyの登場により、自動化が難しかった盛り付け工程の効率化が見込める。

Foodlyは食材のピッキングから、トレーへの盛り付けを1台で完結する。

バッテリー式なので導入にあたり電源配線工事は不要で、ロボット用の照明も必要ない。工事なしで導入できるのも魅力だ。

ロボットボディにはネジはないため、異物混入対策もできている。

1時間に700-800個の盛り付けが可能で、連続稼働時間は8時間。キャスター付きなので、移動も簡単にできる。

東芝ライテックの青果鮮度維持モジュール

東芝ライテックが開発中なのが、光照射で野菜や果物を新鮮な状態に保つモジュール。

紫外線を照射することで、青果に付着した菌を取り除き、カビや大腸菌などの増殖を抑え、腐敗を防ぐ仕組み

これにより保存期間が延長するので、フードロスの軽減につながる

傷のあるトマトで行った効果検証実験では、紫外線を照射したトマトでは照射していないものに比べ、3日後の損傷が抑えられていた。

ゆくゆくは果物や野菜のほかに、魚や肉類にも応用したいという。

参考に、海外で同様のサービスを展開している会社にはApeel Sciencesがある。

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微生物分析の工数を劇的に減らせるInterscienceのコロニーカウンターScanStation

インキュベーションから、コロニー検知、コロニーカウントを同時にやってくれる。

研究者が週末に手作業でやっていたコロニーカウントを完全に自動化できる装置だ。

シャーレにコロニーが発現したタイミングからカウントを開始。培養プロセスを30分、1時間毎に撮影し、経時的な変化をすべてコンピューターに自動保存する。

シャーレの移動はすべてロボットアームが自動で1つ1つ運んでくれる。

培養後のシャーレだけを見たのではコロニーと間違えやすい箇所も、発現時から検出することで、高精度なカウントを実現している。

導入価格は2000万円。大学の研究室よりも、メーカーへの導入事例が多いという。

オンキヨーサウンド株式会社の醸造用加振器

まだ解明されていない酵母の発酵メカニズムに、音楽による刺激を試みているのがオンキヨーサウンド株式会社

酵母の発酵工程に音楽を聴かせると、発酵や熟成に違いがでるという。同社は、異なる音楽による振動が発酵や味にどのような影響を与えるか、東京農業大学と共同で研究している。

樽に見立てた容器

会場ではさまざまな音楽を流したときの周波数によって、樽に見立てた容器が振動する様子のデモを見られた。

THKの搬送ロボット

THKのブースで見たのは、昇降リフター付きの搬送ロボットSEED-Mover。

SEED-Moverは昇降リフターと走行台車を組み合わせたロボット。狭いところでも全方向に移動できるほか、360℃旋回可能。昇降リフターは高さを変えられるだけでなく、前後の引き出し動作もおこなえる。

展示会では昇降リフターにペットボトルをのせて指定の場所まで移動すると、ロボットが自動的にリフターを低くし、高さ調整できる様子のデモが行われた。

今年7月から、高輪ゲートウェイ駅構内で実証実験を実施している。人手不足や人と人の接触を減らす狙いがある。

最後に

記念すべき1回目のフードテックジャパンは、半日あればすべてのブースを眺められる規模感だった。

個人的な印象としては、代替食はごく一部で、代替肉・代替魚にいたっては出展ブースはなかった

来年は今年の2倍の規模で開催される予定なので、代替食品、キッチンOS、自販機3.0など海外で盛んな事例をより見られることを期待している。

 

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