代替プロテイン

【世界初】EVERY Companyが動物由来の卵と同等なアニマルフリー卵タンパク質を発表

▼10/26培養肉セミナーのご案内(画像をクリック)

-------------

 

微生物発酵を活用して卵タンパク質を開発するクララフーズが社名変更を発表した。

あわせて世界初となる、動物由来の卵と同等なアニマルフリーな卵白タンパク質粉末を発表した。

クララフーズは社名をEVERY Companyに変更、高い溶解性をそなえた、動物由来の卵タンパク質と同等な可溶性卵白タンパク質粉末「ClearEgg」を今年後半に発売することを発表した。

EVERYの商品は、シカゴを拠点とする素材大手のイングレディオン(Ingredion)を通じて販売される。共同ブランド成分として、今年後半に小売で販売される。

酵母と砂糖で卵タンパク質を開発

出典:EVERY Company

EVERY Companyは2014年に設立された、サンフランシスコベイエリアを拠点とするスタートアップ企業。

アニマルフリーなペプシンの開発から始まり、このほど、世界初となる動物を使わない卵タンパク質を発表した。代替卵を開発する企業はほかにもいるが、EVERY Companyは動物由来のものと同等な卵タンパク質を発表した世界初の企業となる。

同社は精密発酵というプロセスを通じて、発酵槽と酵母を使用してタンパク質を生産する。

これまでであれば、卵タンパク質を得るには「農場」と「動物」が必要だったが、これを「発酵槽」と「酵母」に置き換えるイメージとなる。つまり、酵母が目的のタンパク質を生み出す「作り手」となる。

出典:EVERY Company

卵タンパク質のDNAを酵母に挿入し、砂糖を与えると、酵母は糖から卵タンパク質を作るようになる。ビール、ワインの生産では、酵母は発酵により糖を分解してアルコールを作るが、DNAを挿入された酵母はアルコールの代わりに卵タンパク質を生産する。

鶏を飼育してタンパク質を得るよりも、必要となる水、土地、エネルギーは少ない。タンパク質の生産には遺伝子工学を使用しているが、最終製品には酵母は含まれないため、非GMOな製品となる。

動物卵に代わる発酵ベースの卵白タンパク質ClearEgg

卵白は100種類以上のタンパク質から構成される。これらは天然に異なる比率で存在し、独特の性質をもつ。EVERY Companyは精密発酵により、これらの卵タンパク質の一部を作り出した。まず開発したのがS-アルブミンを含むClearEggだ。

S-アルブミンは卵白に含まれるタンパク質だが含有量は少なく、1キログラムを生産するのに数千個の卵を必要とする。卵を原料に生産すると、莫大な費用がかかる。費用対効果の高い唯一の方法が、精密発酵だった。

出典:EVERY Company

ClearEggは、卵のような匂い、味がなく、生物学的に利用可能なタンパク質を多く含む。溶解性があり、色への影響もなく、一度溶かすと、溶解した状態を保持する。

こうした特性からClearEggは、タンパク質が不足していたドリンクの用途に最適だという。たとえば、高タンパク質なプロテインビールや、牛乳よりもタンパク質を多く含むプロテインミルクなどの用途が考えられる。

ビール、ミルクのほかにも、温かい飲み物や冷たい飲み物、炭酸飲料、エネルギードリンク、透明ドリンク、スナック、栄養バーなどに、ほぼ味のないタンパク質を加えることができる。製品はコーシャ、ハラールに対応している。

EVERYの製品は、フォーチュン500に選ばれた大手素材業者イングレディオンを通じてグローバルに販売される。EVERYはZX Venturesが支援するBioBrew、世界大手の醸造会社AB InBevとも提携し、精密発酵を活用したタンパク質を大規模に生産する。

長期的には、精密発酵技術を外食産業や消費者向けのアプリケーションにも適用していくとしている。

7年の開発を経て、発酵由来の卵タンパク質の市販化へ

出典:EVERY Company

精密発酵は新しい技術ではなく、チーズの製造で使用されるレンネットやインスリン製剤の生産に活用されてきた。気候危機への対応として、動物を使わずにタンパク質を生産する代替食が普及する中、畜産による環境負荷を軽減するために近年、特に注目される領域となる。

とりわけ、乳製品分野における開発が盛んで、これまで唯一市販化を実現したのが、精密発酵の代表格とされるアメリカのパーフェクトデイ。同社はアイスクリームに加え、今秋にはクリームチーズを発売することを最近発表した。

海外シンクタンクのRethink Xによると、精密発酵によって、アメリカの乳牛数は2030年までに半減すると予想される。精密発酵によるタンパク質の生産コストは2030年までに急激にさがるのに対し、家畜牛から牛乳を生産するコストは2倍になると予想している。

PFは精密発酵を示す 出典:Rethink X

これは、乳製品を生産するのに、牛を使うよりも、生産工場の中でゼロから生産する方が安くなるタイミングが10年以内に到来することを意味する。

フードテック領域における精密発酵はまだ初期段階にあるが、パーフェクトデイに続き、EVERY Companyが7年の開発を経て年内発売の段階まで来たことを考えると、今回の発表は重要なマイルストーンといえる。

共同創業者・CEOのArturo Elizondo氏 出典:EVERY Company

精密発酵を含む、微生物を活用した発酵タンパク質に取り組むスタートアップ企業は過去2年で急増しており、2020年には2019年の2倍となる5億9000万ドルの資金が集まった

2020年の代替タンパク質全体では、肉、卵などプラントベース食品が21億ドルと調達総額では突出しているものの、発酵タンパク質は2020年だけで、2013年から2020年の7年間に集まった調達額の57%を占めており、注目の高さがうかがえる。

最近ではチーズミルク、アイスクリームなど乳製品が主要だった精密発酵のアプリケーションが、卵タンパク質のほかにも、ハチミツチョコレートコラーゲン母乳へと拡大している。

 

参考記事

Clara Foods Rebrands to The EVERY Company, Launches the World’s First Animal-Free Egg Protein

Clara Foods becomes The Every Company and launches animal-free egg white protein

Clara Foods Becomes The EVERY Company, Launches Animal-Free Egg Protein

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:EVERY Company

 

▼10/26培養肉セミナーのご案内(画像をクリック)

 

***無料レポートプレゼントのご案内***

無料メールマガジンに登録いただいた方限定で、 

国内外の培養肉開発に取り組む企業をまとめたレポートを無料でお配りしております。

●全66社

●全15ページ

の無料レポートです。

登録は1分で終わりますので、ぜひこの機会にご利用ください。

メールマガジンにご登録いただいた方には、 週1~2回フードテックの最新ニュースをお届けしております。

↓↓↓↓↓

メールマガジン登録はこちらから

 

>> <<

関連記事

  1. 安価な成長因子を開発するカナダのFuture Fieldsが約2…
  2. 牛を手放し「型破り」な転身を実現したイギリス農家と、それを支援す…
  3. エリンギ由来のジャーキーを作るハワイ発のMoku Foods
  4. 【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表
  5. 3Dプリンターで次世代ステーキを作るRedefine Meatが…
  6. 香港グリーンマンデーがマクドナルドと提携、全店舗で植物肉メニュー…
  7. 幅広い植物肉製品を開発するHungry Planetが約27億円…
  8. スイスの食品大手ジボダン、ビューラー、ミグロスが共同で培養肉の実…

おすすめ記事

微生物発酵で赤色着色料を開発するChromologicsが約8億円を調達

微生物発酵により着色料を開発するChromologicsが、シードラウンドを60…

スイスの食品大手ジボダン、ビューラー、ミグロスが共同で培養肉の実証プラント建設を発表

スイスの大手食品企業が培養肉市場に参入する。ジボダン、ビューラー、ミグロスは共同…

サムスンがIoTアプリに買い物機能を備えた「SmartThings Cooking」を追加、シームレスな料理を追求

サムスンはCES2021でレシピ検索から買い物機能まで備えたSmartThing…

韓国LOUNGE’LABがロボットアイスクリームショップBrown Banaをソウルにオープン

AI、ロボット、ブロックチェーンを活用する韓国のスタートアップLOUNGE'LA…

主食のイノベーションに挑む日本企業ベースフード、目指すのは「健康が当たり前の社会」

世界的にはフードテックのブームは高まる一方で、代替肉、代替卵、代替ミルク、さらに…

フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが約1億9000万円を調達

フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが150万ユーロ(約1億90…

第2回Foovoセミナーのお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業66社をまとめたレポート(全15ページ)を無料でお配りしております。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/25 15:15時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/26 09:08時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,881円(10/25 20:00時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP