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培養肉用の食用足場を開発する米Matrix Meatsがシードラウンドで資金調達を実施

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このニュースのポイント

 

●米国Matrix Meatsがシードラウンドで資金調達を完了

カスタマイズ可能な食用ナノファイバー足場を開発

●脂肪、筋肉を別に培養するのではなく、同時に細胞を異なる細胞へと分化させるワンストップソリューション

●7か国14の培養肉企業と協業している

 

 

オハイオを拠点とする培養肉スタートアップのMatrix Meatsがシードラウンドで資金調達を実施した。

同社プレスリリースによると、調達額は非公開だが、今回のラウンドへの申し込みは超過したという。

Matrix MeatsはIkove Startup NurseryNanofiber Solutionsが協業して立ち上げたジョイントベンチャー

Nanofiber Solutions社で10年にわたり再生医療・組織工学などあらゆる領域に使えるナノファイバーの開発に従事してきたJed JohnsonがCTO(最高技術責任者)を務める。

Matrix Meatsはエレクトロスピニング技術を活用して独自の足場を開発しており、7カ国14社の培養肉企業と協業しているという。

今回の資金で開発チームを強化し、顧客・パートナー獲得を拡大させるほか、培養肉市場での戦略的に重要なつながりを強化していくとしている。

CEOのEric Jenkuskyは次のように語り、自社技術に自信を見せる。

「当社の技術は、培養肉市場が成熟するために不可欠な部分だと自負しています」

細胞の立体構造を保持する足場・細胞外マトリックス

出典:Matrix Meats

培養肉に従事するスタートアップはたくさんいるが、Matrix Meatsは培養肉開発に必要な材料の1つ、食用足場を開発している。

「足場」はスキャフォールドともいわれ、細胞の接着、増殖、分化を促して、立体構造を保持するための「土台」「骨組み」の役割を持つ

ここで、わたしたちの身体のつくりについて、補足しておくと、生体組織はすべてが細胞で満たされているわけではなく、細胞細胞外マトリックスから構成される

 

細胞外マトリックスとは、細胞の外にあり、細胞を支えたり、細胞を守ったりする土台、骨組みとして働くものをいう。

 

細胞と細胞外マトリックスの関係をわかりやすくいうと、

スポンジの穴に細胞が入り込んで、三次元構造が成り立つイメージともいえるし、

さらにわかりやすい例では、栗羊羹フルーツロールケーキのイメージに近い。

 

栗羊羹では、栗=細胞羊羹=細胞外マトリックス

 

フルーツロールケーキでは、フルーツ=細胞生クリーム=細胞外マトリックス

 

となる。

生クリームがなければ、フルーツを真ん中に保持して立体的にできないように、細胞が立体構造を形成するためには、細胞を支える骨組みが必要となる

この役割を担うのが細胞外マトリックスだ。

生体内で、細胞は細胞マトリックスのおかげで、ほかの細胞と相互作用しあって、三次元組織を構成している。

このため、バイオリアクターの中で細胞を培養する際、細胞が接着し、増殖していくために、細胞外マトリックスに相当する足場が大切となる

足場の「硬さ」が細胞の運命を変える

もう1つ、足場には細胞の運命を変える働きがあることがわかっている。

幹細胞は周りの「硬さ」を感知し、「硬さ」に応じて異なる細胞へと分化する

CTOのJed Johnsonは「筋肉、脂肪を別々に培養するのではなく、足場からワンストップで異なる細胞へと分化させる」と語る。

これはつまり、足場の硬い部分では幹細胞は筋肉に分化し、足場の柔らかい部分では、細胞は脂肪へと分化することを意味する。

カスタマイズされた足場を作るMatrix Meats

Matrix Meatsはエレクトロスピニングという技術を活用することで、さまざまな材料を使って足場を作製している。

独自の特許技術により、ファイバーの直径、配列、多孔率、分解率などを制御して足場を製造できる。

同社によると、細胞の分化を制御するようファイバーを並べることができ、これは従来の大豆タンパク質を使った足場ではできないことだという。

同社の特徴は、一律的な足場を作るのではなく、ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズした足場を作れることだ。

Spoonの報道によると、Johnsonは自社のサービスを「Saas」になぞらえる。

「Saas」がユーザーの使いたい機能だけを切り取って使える形態であるように、Matrix Meatsは培養肉開発企業に「足場」に特化したサービスを提供する

出典:Matrix Meats

培養肉の各プレーヤーがニッチな領域を開拓しようとしているからこそ、Matrix Meatsは、一律的なサービスではなく、各企業のニーズにあわせてカスタマイズした足場を開発する。

同社の足場は、50の公開・出願中の特許技術が集結したものとなっている。

さらに、歯ごたえ、風味を実現するほか、足場が細胞の増殖を早めることで、最終製品にかかる時間とコストの削減につながるという。

CEOのEric Jenkusky(左)、Devan Ohst(中央)、Zac Graber(右) 出典:Matrix Meats

今年8月の報道では、培養肉企業と協業して年内に薄いステーキ肉の試作品を発表するとしていたが、今回のプレスリリースでは言及されなかった。

今回のラウンドは、Unovis Asset ManagementCPT CapitalSiddhi CapitalClear Current CapitalIkove Startup Nursery FundによるSPV(特別目的事業体)が参加した。

Matrix Meatsは、Nanofiber Solutionsと今回のラウンドに参加したIkove Startup Nurseryによるジョイントベンチャーで、2019年に設立された。

今後の動向で気になるのは、試作品の進捗、協業している培養肉企業だろう。

 

参考記事

Matrix Meats Completes Seed Stage Round

Matrix Meats, Maker of Alt-Meat Scaffolding Tech, Raises Seed Funding

Cell-cultured meat gamechanger? Matrix Meats to showcase nanofiber scaffolding in ‘solid meat product’ this year

再生医療工学におけるバイオマテリアル研究の最前線

 

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