自販機3.0

3分でサクサクのピザを焼くBasil Streetのピザ自販機

 

 

このニュースのポイント

 

ピザを3分で焼く自販機を作るBasil Street

●特許出願中の高速オーブンを採用、ピザに応じて調理方法を変えられる

月額5万円でレンタル

病院、工場、空港など人の流れの多い場所をターゲットに

 

 

米国のピザ市場は450億ドルと言われている。

この巨大市場を狙って、ピザを作る自販機で参入を狙う企業がいる。

自販機なら24時間、365日休むことなく稼働できるので、収益アップを狙える。また、新型コロナウイルスの感染が収束しない中、接触レスでピザを買いたいと思う人は多い。

そんなニーズにこたえるのが、Basil Streetのピザ自販機だ。

同社のピザ自販機はまだパイロット運用中で商品名も未定だが、3分でクリスピーなピザを焼くことができる。

3分でピザを焼くピザ自販機

出典:Basil Street

Basil Streetのピザ自販機は約1.8㎡で、作れるピザは150個(もちろん、材料を補充すればもっと作れる)。

薄いサクサクのイタリアンピザをわずか3分で作れるというから驚きだ。

1枚のピザは10インチ(約25cm)で、価格は1枚6.95~11.95ドル購入者はタッチスクリーンから、ペペローニ、クアトロフォルマッジなど好きなメニューを選ぶ。

冷凍ピザは自販機に内蔵されたオーブンに運ばれ、3分後には焼きたてのピザが出てくる。

ピザに合わせて焼き加減を変える独自技術を採用

Basil Streetのピザ自販機は高速電子レンジは使わず、特許出願中の高速オーブン技術を導入しており、それぞれのピザの特徴に応じて焼き加減を変えることができる

たとえば、トマトを載せたピザは、ピーズのみのピザとは焼き加減は異なる。チーズだけのピザも、ペペローニピザとは焼き加減が異なる。

ピザのタイプに応じて、調理開始時の温度、ピザの高さなど、調理プロファイルを変える特徴を持つ

さらに、Basil Streetのピザは冷凍されているので、自販機の中で1ヵ月保存できる

ターゲットエリア

出典:Basil Street

Basil Streetはターゲットエリアとして、空港、病院、軍事基地、大学、工場、スーパーマーケット、コンビニなど、人の出入りの多い場所を想定している。

CEOのDeglin Kenealyは、人が温かいものを早く欲しがるエリアは、米国に25万か所あると考えており、最初の導入エリアとして、南カリフォルニア、ラスベガス、ノースカロライナ、テキサスをあげている。

欲しいのはデータとしての「資産」

出典:Basil Street

ピザ自販機のレンタルにかかる費用は月額500ドル(約51000円)

ピザ自販機の運営、メンテナンス、レシピの開発はすべてBasil Streetが担当する。提携している製造会社でピザを作り、導入先へ配達する。

自販機にはIoTセンサーが内蔵されているので、発生しそうな問題を事前に分析、診断。実際に問題が発生する前にアラートを通知するので、自販機が動かなくなる前に修理スタッフがやってくる。

Basil Streetは最初の商品としてピザを選んだが、その理由は配達・調理が簡単だからだという。

同社が重視するのは、データとしての資産

いつ、どこで、どんな人が買い、どれくらいの頻度で買うのか、自販機を運営する会社にはすべてのデータが集まる。

こうして得られる生のデータは、ピザよりも資産として価値があると考えている

蓄積されたデータを活用して、新しい料理や新しい設置場所を試みることができると考えており、Kenealyは同社の独自オーブンならどの料理もできると語っている。

1000万ドルを資金調達、パイロット運用へ

出典:Basil Street

Basil Streetは2020年3月に1000万ドルを調達し、4月から複数都市での試験プログラムを開始すると発表した。

最初の試験プログラムには、ノースカロライナの大企業、大手医療施設、大学、軍事基地、屋内スポーツ施設などからたくさんの申し込みがあったという。

昨年3月の報道からは海外リストも構築中であるとあり同社が海外展開も視野にいれていることが読みとれる

Basil Streetのパイロット導入がその後、どうなったのか、その後の情報は確認できていない。2020年後半から2021年初期にかけて、ピザ自販機を販売する予定と書かれているが、これも確認できていない。

公式サイトによると、2021年前半に資金調達を実施する予定だという。

Basil Streetの他にピザ自販機に取り組む企業として、フランス発のAPI Techがいる。

API Techはコンタクトレスな注文・決済機能を搭載したピザ自販機Smart Pizzaを開発している。ピザメニューは200。

Basil Streetと異なるのは、自社ではピザは作らず、食品会社に自販機を販売している。2019年に米国に最初の2台を設置しており、米国・欧州あわせて225台を設置している。

 

参考記事

Basil Street Raises $10 Million for its Pizza Vending Machines

Basil Street Wants to Bring its Automated Pizza Kitchens to Airports, Dorms and Bases

Pandemic piques interest in ‘brick-oven-style’ pizza vending machines

 

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アイキャッチ画像の出典:Basil Street

 

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