日本でも人気の高いインド料理。
このインド料理を自宅で手間をかけずに作れる日も近いかもしれない。
インドのフードロボット企業Mukunda Foodsは、ドーサ、ビリヤニ、ロティなどのインド料理を自動で作れる調理ロボットを開発している。
同社の製品はインド国立防衛大学(National Defence Academy)を含む3000か所以上に導入されており、その中には、インド大統領の官邸ラシュトラパティ・バワンも含まれる。
自動ドーサ製造機Dosamatic
Mukunda Foodsがはじめに開発した調理ロボットは、自動ドーサ製造機。
ドーサとは、クレープのように薄く伸ばして焼かれた南インドの伝統的な料理。
自動ドーサ製造機Dosamaticの1枚のドーサにかかる時間は1分。1時間に最大60枚のドーサを焼き上げる。
デスクトップタイプのサイズで、材料を投入したら、ボタンを押すだけで、誰でもドーサを作れる。
焼き加減や、ドーサの厚み・サイズも自由にカスタマイズできる。油の量を少なくすれば、脂肪分のより少ないドーサも作ることができる。
自動洗浄機能もついており、使いやすく、調理の手間を減らしてくれる。Dosamaticは2年間で2000台販売されたという。
自動ロティ製造機Doughbot
もう1つは、ロティ。ナンと似ているが、ナンは発酵させて作るが、ロティは発酵させずにつくる。
Doughbotは商用向けの自動ロティ製造機で、混ぜる、こねる、伸ばす、焼くの機能が1台に搭載されている。
小麦粉、水、油を入れて、ボタンを押すだけ。急いで作りたい場合は、調理スピードを変えられる。Atta、Maida、Bajra、Jowarなど複数の小麦粉を使用できる。
ビリヤニ製造機については、公式サイトに製品が紹介されていない。
Mukunda Foodsは、ドーサ、ロティ、ビリヤニのほかに、自動フライヤーも開発している。
自動フライヤーは、設定した温度になると、油から自動で引き上げる。二度揚げする場合は、一度引き上げてから、再度揚げるなどが可能になっている。
27カ国、3000台以上を販売
2020年、インドのロボットスタートアップ企業トップ10に選ばれたMukunda Foodsは、Eshwar VikasとSudeep Sabatの2名の青年が2012年に創業した。
はじめはインドでマクドナルドのようなファーストフード店を作るという夢から始まった。
しかし、店舗が増えるにつれ、人、製造工程、製品という3つの課題に直面する。社内の課題を解決するために、作ってみたのが冒頭で紹介した自動ドーサ製造機だった。
ひとたび提供を始めると、ホテルなどから問い合わせが殺到。2年間で2000台を販売した。
Mukunda Foodsの自動調理ロボットは、これまでに27カ国で計3000台以上導入されている。
The Spoonの報道によると、熟練したスキルを持つスタッフを探すのは簡単ではないという。
Mukunda Foodsの自動調理ロボットは、ビリヤニ、ロティ、ドーサなどを作る工程で必要なスキルまで自動化している。
これまで、ビリヤニを作るにはベテランシェフ2名と90分の時間が必要だった。Mukunda Foodsの装置を使うと、1人に減らせて、ビリヤニを作るのに要する時間も60分に短縮できるという。
人手と時間の削減につながるだけでなく、自動調理ロボットは人と人の接触を減らすことができるので、新型コロナウイルスの感染がまだ収束しない今の社会のニーズにも合致する。
Mukunda Foodsの自動ドーサ製造機Dosamaticの価格は2000ドル。現在、イタリアン、アジア料理などほかの料理への拡大に取り組んでいるという。
インドの自動調理ロボットに取り組む企業には、昨年、スマートキッチンサミット(海外)に登場したNymbleがいる。
NymbleはAIを活用したコンパクトな調理ロボットJuliaを開発している。1つの調理にかかる時間は20分。
アメリカ料理、メキシコ料理、インド料理、イタリアン、アジア料理まで、500以上のレシピがあり、毎月新しいレシピが追加されていく。
日本のインド料理店で、パリッとしたドーサを作るのがロボットになる日はそう遠くないかもしれない。
参考記事
From Dosas to Biryanis, Mukunda Foods is Automating Indian Cuisine
Mukunda Foods leads in kitchen automation
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アイキャッチ画像の出典:Mukunda Foods